↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/65

第35話「母の温もりと消えた剣」その8

第35話「母の温もりと消えた剣」その8




【マジ区・イロの村】



<命名ミッション4日目>



「それでは、1本目……始め!」


「たぁぁぁぁ!!!」


メイド長の開始の合図と同時に、私は地を蹴り、マリスとの距離を詰め剣を振り被った!


ブォン!


ズザザ……!


私の大上段からの一撃を、マリスは横っ飛びで躱し、距離をとる。


「うひゃー、今、完っ全に殺す気でしたよね? 容赦ないなぁ」


「当たり前だ! 死にたくなかったら真面目にやれ!」


「そうですね、それでわ……」


ザン!……ギィン!


マリスの身体が沈んだと思った瞬間、マリスが一足飛びで間合いを詰め斬りかかってきた。


「くっ! はぁ!」


ギィン! シュカ! ザシュ!、シュカカ!


マリスの右の一撃を剣で下に受け流すが、マリスはそのまま身体を回転させ、左の一撃を私の左肩に振り下ろす、私は半歩下がって盾で受けた。


「をー、やりますねー! これに反応するなんて」


最後の一撃を、盾で防いだ私に感心するマリス。


「ふん、レンジャー程度に後れを取るわけにはいかんから……な!」


ヒュン!


スタン! タン! タァン!


「ちぃ、すばしっこい奴め!」


マリスの脇腹目がけて剣を突き出したが、マリスは身を捩って躱し、曲芸の様にバク転をしながら距離をとる。


「んー、貴族、貴族って言う割には、優雅さも礼節もないですねぇ?」


やれやれといったポーズをしながらマリスが言った。


「き、貴様! 私を愚弄する気か!」


「なぁ、ジギー、”ゆーがさ”とか”れーせつ”ってなんだ?」


「んー、まぁ、俺には全く無いモンなんだが、そうだなぁ……この場合は”貴族っぽくない”って事だな」


「そんな事ないぞ! お姉は凄い貴族なんだぞ!」


背後でジーナたちの会話が聞こえるが、ジギーの言ったことは間違っていない、マリスは私を侮辱したのだ。


「平民の、冒険者風情が……」


「……(むか)」


ザン!……ギィン!


「くっ! このぉ!」


先程とはうって変わってマリスは積極的に打ち込んできた、だが、軽い!


「はぁぁ!」


ガギィィィン!!


ヒュンヒュンヒュン……ザザン!


「参った」


私の放ったアッパースイングで、武器を弾き飛ばされたマリスが両手を上げる。


「1本、そこまでです!」


メイド長の声とともに剣を下げる、剣のバランスは悪いとはいえ、あんな奴に私が負けるわけがない。


「はぁ、はぁ、どうだ!」


「お見事、流石は貴族様、奇麗な太刀筋ですね」


弾き飛ばされたショートダガーを回収し、開始位置に戻るマリス。


「ふ、ふふ、お前の攻撃は、軽すぎて私には効かないが、私の攻撃は、一度でも喰らえば終わりだな」


呼吸を整えながら、私は勝利を確信していた。何度かマリスの攻撃を受けたが、鎧に全て弾かれ、表面を削っただけだ。


「そうですね、純戦闘職でないレンジャー風情ですから、真っ向勝負で打ち倒すのは困難ですね」


「ふん、土下座して謝るなら、許してやらんこともないぞ?」


どうせ、次で終わりになるだろうと、私は貴族の余裕を見せつけてやった。


「んー、お心遣いは大変有り難いのですが、私は”受けた依頼は何があっても最後までやり通す”主義ですので……」


「あえて恥をかくか、良いだろう、今度はすぐに終わらせてやる!」


「どうせなら、一つ賭けをしませんか?」


「賭けだと?」


一体、マリスは何を言っているんだ?


「ええ、残り2本、私が勝ったら、今後、私の事を”お姉ちゃん”と呼んで貰います」


「はぁ?」


「おや? 自信がありませんか?」


「くっ、良いだろう、私が勝ったら……冒険者を辞めてもらおうか?」


ふん、どうだ! これなら泣いて謝るだろう、墓穴を掘ったな!


「構いませんよ? それじゃ交渉成立という事で……」


あっさりと受諾し、メイド長に視線を送るマリス。


「ランセル家、メイド長の名に懸けて、正式な交渉と認めます」


「おい、お前! 冒険者を辞める事になるんだぞ? 何考えてるんだ!」


「大丈夫ですよ? 負けなければ良いだけの話ですから、さぁ、始めましょうか」


「こ、後悔するなよ……」


何だ? 何故そんな条件で勝負を受けられる? 私は動揺する心を落ち着けながら開始位置に立つ。


「それでは、2本目……始め!」


「む?」


シュバ!……ダン!


「え?」


メイド長の合図と同時にマリスの手元が光り、視界からマリスが消え、喉元に冷たい感触があった。


「1本、そこまでです!」


「な……?」


何があった? 私は負けたのか? 喉元に押し当てられたショートダガーが離れると同時にどっと汗が噴き出す。


「ヒトミ”ちゃん”大丈夫? びびって漏らしてない?」


「ばっ! 馬鹿にするな! 貴様! 今何をした!」


「別に何も、 偶然、陽の光が武器に反射しただけじゃないかな?」


「反射……だと? メイド長! 今のは無効だ!」


「いいえ、有効です。 それとも、ヒトミお嬢様は”相手の武器に陽の光が反射し、目が眩んで負けたら全て無効”と仰られるおつもりですか?」


「そんなことが、”ランセル家の家訓”だって言うのなら、今のを無効にしてあげたっていいんだけど? どうする?」


「ぐぅ、私の……負けでいい!」


「ひきょうだぞ! 絶対わざとだろ! お姉に……もがもが!」


「ジーナ落ち着け、これが実戦や魔物相手だったら、言い訳すらできないで死んじまうんだぞ?」


「くそう……お姉が……お姉が負けるなんて……」


納得の行かないジーナが暴れて、ジギーに取り押さえられる。ジーナが私の代わりに憤慨し、悔し涙を流してくれたおかげで、私の頭も冷えた。


「次だ! 次は油断などしない!」


私は気を取り直し、開始位置に戻る。


「ふふーん、少しはマシな顔つきになったね、ヒトミちゃん!」


今まで猫を被っていたのか、からかう様に話しかけ、開始位置に戻るマリス。


「……今までのは、私を油断させるための演技だったワケか?」


腰の低い態度や言動は、全て演技だったのなら合点がいく。


「まぁ、そうだね、ヒトミちゃんは騙すまでもなく、頭に血が上りやすかったし、変なプライドがあって隙だらけだったから、隙を見て、ちょいとお灸を据えてやろうと思ってたんだけど……」


マリスがチラリとメイド長に視線を送ると、メイド長は静かに頷いた。


「そういうことか……」


「流石、ニナさんは良く分かってるよ、我侭なヒトミちゃんに言う事をきかすなら、この方法が一番だってね」


私は深呼吸をしてから、剣を構える。


「ふん、油断さえしなければ、そんな貧相な武器など恐れる事はない!」


「……貧相ね、ちょっと今のは、カチンと来ちゃったな……」


マリスの目つきが替わった、そんなボロボロの装備をけなされた位で怒ったのか? 


「お姉ぇー! クシカツ―! まけんなー!」


ジーナが声を張り上げている、まったくクシカツではないと……だが、長女として妹の期待には応えてやらないとな。


「それでは、3本目……始め!」


私は先制をとられぬ様、肩幅に足を開き、盾を前にしながら、油断なく構える。


「来い!」


マリスとの最後の勝負が始まった。







おかしい、予定だともっと短くするつもりだったのに……。長くなっちゃってます、主人公も暫く出てきていません、他のキャラが文句を言っている……等々、書くスピードが落ちている気もするorz

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。