第3話「少年と学校」その1
ちょっと主人公の生活が閉鎖的な気がしたので少し冒険?をさせようかなと
『第3話』少年と学校 その1
【魔女の森の中とある家・食卓】
「我がでし、学校に行ってみないかい?」
「学校……ですか?」
師匠は夕食後、温めたミルクを一口すすり唐突に言った。
「学校って、人間の子供が通う教育施設ですよね?」
「をいをい……君だって人間だろう、我がでし」
伝説の魔女と一緒に生活をしていて、同年代の人間と接点がないと、
どうもそこらへんがあやふやだった。
「君も、もうすぐ12になるだろう?
いい加減、人付き合いってのも覚えた方がいいかと思ってね」
「ふぅん、そんなものですか……」
いまいち実感がわかずに、僕もミルクに口をつける。
「そんなものなんだよ我がでし、
まぁ、修行の一環として行ってみるといい」
「まぁ、そういう事なら……、
でも学校なんてこの付近にありましたっけ?」
いつも買い出しに行く、近くの村にはそのような施設はなかった気がする。
「ああ、徒歩で1日位のところの隣街に、
魔法学を専攻している『マジレース学院』がある」
「”マジレス”ですか?」
「ぷくく……”マジレース”だよ我がでし」
なんだかへんちくりんな名前だが、師匠は何故かにやにやしている。
「私の知己がそこの学園長をしていてね、
ちょっと脅は……お願いしたら、快諾してくれたんだよ」
師匠が今ちょっと悪い顔をした、絶対何か良からぬことを……。
「わかりました、でもいつ頃伺えばいいんです?」
「とりあえず明日の昼にでも行ってきたまえ」
”ぶは!げほ!ごほ!”
とんでもない発言に、僕はミルクを噴出した。
「さっき、徒歩で1日とか言ってたじゃないですか!」
「んっふっふっふっふっふっふっふっふぅ~♪」
あ、すっごい悪い顔をしてる、このパターンはアレだな……。
「ちっちっちっち!我々は魔法が使えるのだよ?我がでし!」
師匠は指先を振って、自慢気に胸を張りながら僕を指さした。
「飛んでいけば、いいじゃぁないかい?」
「飛んでって、僕はまだ短距離の低空飛行しか……」
「そんな貴方に、この魔法具!ぱぱぱぱーん♪
高機動強襲型魔法杖、その名も『クラッシュ3号!』」
「ちょっと、名前ー!!」
「これをこうしてこうすると……えい!」
僕の突っ込みをスルーして、師匠はクラッシュ3号を
窓に向かって投げた!?
「窓が……割れ……ない?」
窓の手前で制止したクラッシュ3号は、
師匠の元へ戻って行った。
「クラッシュ3号はね、
重力に極端な指向性を持たせることが出来る……つまり!」
なんかやな予感
「これに乗って”横に落ちて行けば”いいのさ!どやぁ……」
よくもまぁ、次から次へと珍発明を……。
「これを入学祝として、君に進呈しよう!我がでし!」
「は……はい、ありがとうございます。」
まぁでも、使い方によっては便利だし、
消費魔力も抑えられそうだいいモノかも?
「因みに、元はむかつく貴族の屋敷……もとい、
離れた位置にいる魔物を爆撃する為に開発した
『ロケットスタッフ』の名残なので、オプションで最大級の火力を……」
「わぁ!すごいなこれならいどうもへいちゃらだ!ありがとうございます!」
怖い話になってきたので、とりあえず大喜びの姿勢で打ち切る。
「喜んでくれて何よりだ、我がでし。
これが紹介状だ、ある程度話は通してあるが学園長に渡してくれ」
「あ、はい」
僕は急に、本当に急に学校へ通う事となった。
どうしよう、まだ心の準備が……。
可愛い子には力づくで旅をさせろというパワーワード