第11話「少年と長女とメイドの行方」
とりあえず主人公サイドを書かないとですね。
第11話「少年と長女とメイドの行方」
【マジレース学園正門前】
「僕はディアシー、”赤の魔女”の弟子……いや、
教えを乞う魔法使い見習いで、ミーナの友達です!」
「魔女だって?そんな馬鹿な、あれは伝説の……」
どうしよう!勢いとはいえ言っちゃいけないことを!
”ザァァァァァァァァァァァ!!!”
激しく降る雨のおかげで、野次馬は散り散りになっていき、
僕の言葉を聞き取れたのは、ミーナのお姉さんだけ……だと思う。
”キン……”
「信じよう、ひとりでに動き回り、しかも喋る杖など、見たことも聞いたこともない。
そんな高レベルの魔道具であれば、ミーナが今ここにいるのも頷ける。」
ミーナのお姉さんは剣を収めてくれた、どうやら信じてもらえたようだ。
「ディアシーと言ったな?剣を向けた非礼を詫びよう。
私は、マジレース学院3年生筆頭、ヒトミ・ランセル。
ランセル家の長女で、ミーナの姉だ。」
ミーナのお姉さん……ヒトミさんは片膝をつき、頭を下げる。
その姿は、まるで本で見た騎士のようだった。
「あ、頭を上げてください、別に気にしてませんから!」
ボクは慌てて、ヒトミさんに頭を上げるように言う。
「いくら妹の事でかっとなったとはいえ、貴族のすることではなかった。」
ヒトミさんは立ち上がり、優しい目で言った。
「ディアシー殿、貴公が、我が妹ミーナを救ってくれたのだな?」
「あ、いえその、たまたま通りかかって、ミーナが食べられそうになってて」
しどろもどろに伝えようとするが、上手く伝えられない。
「ふふ、面白いな君は、ミーナが縋りつくように助けを求めるとは……。
ポイズンバジリスクを1撃、それに短時間で現場に移動できるというのは、嘘ではないな?」
「はい……」
クスリと笑われたと思ったら、真剣な眼で問われたので素直に答えた。
「詳細を詳しく聞きたいところだが、貴公は今からニナを捜しに行くというのか?」
「はい、手遅れかもしれないけど、それでも……」
「ニナ……ニナぁ……」
うわ言を口にするミーナの顔を見つめ決意を伝える。
「そんな状態のミーナを連れてか?」
そうだった、僕はニナさんの顔を知らないしどんな格好かもわからない。
ミーナがいないと、でも……。
「私が同行しよう、誰か!こっちへ来てくれ!」
「え?ヒトミさ……ミーナのお姉さんが?どうして?」
いきなりの進言に驚く僕の側に、正門前から数人の生徒が駆けつける。
「筆頭、お呼びですか?この少年……と少女は?」
「ディアシー殿、ニナの顔姿なら私が知っている。
それに、今のミーナには休息が必要だ……頼む!」
「そうですね……すみません、気が付かなくて……お願いします!」
真剣な眼差しに、ミーナの状態を考えず、無茶をしようとしていた自分を恥じた。
「その子をお預かりします、こちらへ……」
眼鏡をかけた黒髪の女生徒に促され、ミーナを託した。
「フランチェスカ、私の大事な妹なんだ……後を任せてもいいか?」
「お任せください筆頭、ご武運を!」
フランチェスカと呼ばれた女生徒は、ミーナを抱えたまま学院内へと走っていった。
ヒトミさんは自分の装備の一部を、生徒の手伝いで素早く外していた。
皮の篭手と胸当ての軽装に、腰に剣を下げている。
「少しでも軽い方がいいだろう?鎧や上着も、邪魔なら外すが?」
「いえ、大丈夫です、来る時と変わりません」
僕の荷物が積まれたままのクラッシュ3号を見る。
『オーバーブーストの使用が可能となりました、天候悪化の為、
オーバーブーストの使用は通常時よりも抵抗・負荷等が上昇するものと思われます……』
「ああ、わかった!」
「凄いな、目の前で見てもまだ信じられん」
出発準備が整った、矢先に誰かが走ってくる。
「ちょっとぉぉぉ、まってぇぇぇぇぇぇ!!!」
「学院長?何故ここに?」
「はぁ、はぁ、間に合ったぁ……ヒトミさん!これをジーナさんたちに!」
学院長と呼ばれた女性が、肩で息をしながら、大きな肩掛け袋をヒトミさんに渡す。
「学院長、これは一体?」
「はぁ、はぁ、それはジーナさんたちの着が……いえ、なんでもないわ!
草原沿いの街道で、えっと、とにかく”赤い”のがいるからそれを渡して!」
「は、はぁ……わかりました」
ヒトミさんは受け取った袋を肩にかける。
「では、ディアシー殿行くとしよう……これはどうやって乗るのだ?」
「えっとですね……」
本来二人乗りじゃないけど、ミーナと同じでいいかな?
「雨に濡れる美少年……イイ……」
「学長?」
学院長さんがじっとこっちを見ている、何か怖い?
「い、いえ、なんでもありません、とにかく”赤い”のは刺激しない様に、
”赤い”のは怒らせると……世界が滅ぶかもしれないのです……いいですね?」
「はぁ?えっと?ひゃぁ!?」
「時間がない!ミーナと同じで行きますよ!」
僕はヒトミさんの足を払い、強制的にお姫様抱っこして、
クラッシュ3号に飛び乗り、急上昇する。
「ちょ、ちょっと待て!何でこんな……うわわ!?」
「行くよ!クラッシュ3号!さっきの場所迄”全力落下”だ!」
『レディ、オーバーブーストの使用、及びシールドを展開します、
天候悪化の為バランスに注意してください。
目標到達までおよそ8分、カウントスタート!5・4・3……』
「な、何が起こっている?」
「今から全力で落っこちるので、舌を噛まないでください!」
『2……1……』
「え?」
ヒトミさんの悲鳴と共に、全力落下が始まった……間に合ってくれよ!
色々とつながりを調整中です。




