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「おはよう!僕の可愛いティナ!今日ティナは休みだろう?」
「おはようございます。はい、そうですね。兄上が良ければ訓練所に一緒に行っても良いですか?」
「あぁ!良いとも!僕もティナを連れて行こうと考えていたから嬉しいよ。今日もティナは可愛いね。」
朝からとても元気なタハトに疲れを感じながらもタハトと剣の稽古が出来るのが嬉しい為、浮かれているタハトを部屋の外に出し専属侍女のエミリアに着替えを手伝ってもらい着替えを終えた。
「お待たせしました。」
「可愛いティナの為ならいつだって待つからね。さぁ朝食を食べて向かおうか。」
騎士団の訓練所へと着くと先程までクリスティーナを頬を緩めて眺めていた顔を引き締めて馬車から降りる。
『この切り替えの速さ流石だ。』と思いながらタハトに続いて馬車を降り訓練所へと向かう。
「お!タハト、はよ。ん?ティナちゃんも今日は来たんだね。おはよう」
「汚い顔をティナに向けるな。ティナが減ってしまう!」
タハトの同僚であるセルークがクリスティーナへと近づくのをタハトが阻止してしまう。
「兄上...。セルーク様、兄上がすみません。おはようございます。」
「ティナちゃんには相変わらず甘々だな、お前。そんな姿を部下達が見たら驚くぞ。良くバレないよな。ちょこちょこティナちゃん来てるのに。それと、まだティナちゃんが男だって思ってる奴も多いしな。」
訓練所ではクリスとして通っていて手加減して欲しくないクリスティーナはタハト達には女だと言わないで欲しいとお願いしてある。
「バレないものですね。女だとバレて手加減されるのも癪なので助かっています。学園に弟や妹がいる人は何となく気付いているみたいですが。」
「ティナちゃん、学園のご令嬢達にとっても人気なんでしょ?俺の妹がティナちゃんのファンクラブに入ってるらしくて会う度にティナちゃんの魅力を教えてくれるよ。」
『耳にタコが出来るくらいね。』と遠い目をしながらセルークに苦笑いするクリスティーナ。
「セルーク様の妹は確かユリアナ様ですね。いつも可愛らしいお菓子を作ってきてくれますよ。」
クリスティーナの一つ下のユリアナは手先が器用で良くクリスティーナに可愛らしいお菓子を作って持ってきてくれるのだ。
「いつも失敗作を俺に寄越してくるんだよな。俺は成功品を食べた事ないからなぁ。ティナちゃんから言ってくれよ、たまには優しいお兄ちゃんにも美味しいお菓子をあげて。って」
笑いながらタハトを避けてクリスティーナに近づき肩を組む。
「ユリアナ様のお菓子はどれも美味しいので知りませんでした。伝えておきますよ。...セルーク様、兄上に殺される前に離れた方が良いかと」
「おい!セルーク!俺のティナに何軽々しく肩を組んでるんだ!汚いだろ!消えろ!!」
「おい!さっきから汚い汚いって、俺はゴミか!お前がそんなに束縛しているとティナちゃん、息苦しいだろうが。もう妹離れしたらどうだ。」
兄のタハトとセルークが言い合いを始めたのでクリスティーナは2人を置いて行くことにした。
「言い合いになると長くなるんだよね。」
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