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―5―

 ドンドンッ


 ドンドンドン!


 レオーナがお城へと帰って(正確には強制送還だったけれど)行ったのでクリスティーナの父であるハイドが夕食まで部屋にいると良いと言った為、部屋で過ごしていた。



 のだが、部屋でのんびりしているといきなり扉を物凄い勢いで叩かれ返事をするとこれまた物凄い勢いで兄であるタハトが入ってきた。


「俺の可愛いティナ!!大丈夫だったか!?」



「兄上、大丈夫ですから落ち着いて下さい。」


『また扉の修繕を頼まなければ...。』等と顔を青くしてクリスティーナを心配しているタハトを横目に先程の勢いに負けた扉を見ながらクリスティーナは思うのだった。


「あの男が婚約者だったというのも腹が立つのに、今度は婚約破棄などと!!傷ついただろう、ティナ。可哀想に...」


 母であるティエラと同じ空色の瞳を潤ませて見てくる。


 精悍な顔つきは父、ハイドに似ており社交界ではご令嬢方からとても人気でひっきりなしに声がかかる。


「...いえ、傷付きなど全くしませんでしたからそんなにキツく抱きしめないで下さい。苦しいです...。」


 副隊長を務めるタハトの腕力は凄まじく、鍛えている為筋肉質ではあるがガタイが良いわけではないのに少し力を入れただけで窒息死するのでは無いか?と言う程の抱擁にクリスティーナは毎回回避出来ずにいる。


 というよりは、回避すると泣いてしまうので意図的に回避しないのた。


「おっと、ごめんごめん。本当に傷付いて無いのか?強がりは良くないぞ。あの男をお兄ちゃんが締め上げるからな!」


「本当に大丈夫ですから締めあげなくて良いですから。兄上が締め上げるなんて洒落になりせんよ。」


「洒落などではないぞ。本気で殺る!俺の可愛い可愛いティナがあんなクズに傷付けられたんだ。黙ってはいれないだろう?」


「いやだから、傷付いてないから。兄上、本当に落ち着いて下さい。トールス殿の家には父上がちゃんと然るべき措置をしてくれますから。」


「だとしても!後に父上が婚約解消する予定だったらしいが今回の事で変に噂が立つかもしれないんだぞ!ティナは一生俺が面倒みるからお嫁になんて行かなくて良いが、それでも噂されるのは嫌だろう?」


 父ハイドや母ティエラは若い頃、それぞれとても人気があり社交界では有名だったらしい。まぁ今でも2人が参加する夜会は人気で、2人が参加するかどうかでその家の価値が変わってくる程らしい。


 その為、2人の息子や娘に過度の期待をしているので少しでも期待を裏切るような行動をしてしまうと瞬く間に好奇の目に晒される。


「まぁ噂など気にしないけれど、僕のせいで両親や兄上達が変な目で見られるのは...嫌、ですね。」


「俺らの事は気にしなくて良いんだ、ティナ。それに噂もあのクズがもう社交界に居られなくなるような噂を俺が流すからな!絶対変な噂を立てないようにするから、安心するんだぞ。あのクズがもっと考えて行動していれば良かったものを。あのクズめ!!」


 美形が怒ると迫力が凄く心臓に悪いのでクリスティーナはタハトを宥める。


「兄上、ご心配お掛けして申し訳ありません。でも本当に大丈夫。だから、気にしないで下さい。それにそんな怒った顔は格好良い兄上には似合いません。」


 と、最後を強調して言うと顔を赤くして頬が緩み破顔する。それはそれで破壊力があり、たまたまクリスティーナの部屋の前を通ったメイドが数名真っ赤にした後、失神した。


『自分の顔の美形度を理解して欲しい。』と思うクリスティーナだった。




ここまで読んで下さってありがとうございます。

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