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「誇り高き騎士を輩出するルーベルト公爵家の娘がそんな陰湿な苛めをすると本当にお思いなのかしら?」
「ふん、この可愛い俺のニーナに嫉妬したんだろう。そんな男のような格好をして可愛くないから婚約者である俺に振り向いてもらえないからニーナを苛めたんだろ!?」
クリスティーナを抜いてどんどんと2人で話が進んで行くためここはレオーナに任せて自分はブッフェ形式で並べられているデザートでも取りに行こうかと悩んでいる。
「嫉妬は貴方ではなくって?貴方より断然格好良いティナはご令嬢方からそれはそれは人気がありますもの。婚約者であるティナに振り向いてもらえず、他のご令嬢方からも人気のティナに貴方は嫉妬した。」
扇で口元を隠しているレオーナの表情は読み取れないがたぶん凄く楽しそうに口元は弧を描いているだろう。
「それにそこにいるニーナ様は最初ティナに引っ付いていたでは無いですか。」
「...べ、別に引っ付いてはいなかったわ!クリス様が女性だと知らなかったし...それにクリス様、私の事ちっとも構ってくれなかった!」
『あんな子いたかなぁ?』なんて呑気にクリスティーナは思いながら先輩が取ってきてくれたケーキを呑気に頬張りながら観戦モードだ。
「構ってくれなかったからティナの婚約者に手を出して構ってもらおうとしたのかしら。」
「...」
「ニーナ、君は俺に惚れた...んだろ?まさか、そんな...。クリスティーナの当て付けに俺へ近寄ってきたのか!?」
レオーナの言葉に黙るニーナに隣にいたトールスが信じられないといった表情で問う。
「なぁレオーナ、そろそろ僕帰って良いかな?」
レオーナが来てから言葉を発してなかったもう1人の当事者であるクリスティーナは興味が無いといった表情で少し前で楽しんでいるであろうレオーナへと声をかける。
「ティナ、貴女の事なのよ。」
「まぁそうなんだけど、婚約してたなんて知らなかったしあちらが婚約破棄したいならすれば良いよ。その事も父様に伝えなきゃならないから早く帰りたいんだ。」
と最もなことを言ってるが本音はただこんな茶番劇から逃れたいのと本当に面倒な為、家に帰ってのんびりしたい。
「まぁそうね。ルーベルト公爵にも婚約破棄の件は伝えなきゃいけないものね。私も行くわ。」
『っていつの間にそんなにケーキ食べてるのよ。』というツッコミがありつつ広間の真ん中で喧嘩しだした2人とニーナの肩を持つ男性達を置き去りにして後のことは卒業する先輩達に任せてクリスティーナとレオーナは退出したのだった。
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