マーク4、
君の仲間は、この先の海の向こうにいるんじゃないかな?
マークがそう言った。僕には地平線しか見えないその先に視線を送りながら。
僕が案内出来るのは、その海までだね。そこから先には行きたくないんだ。
なんでなの? って僕は聞いた。行きたくないっていう言葉と、その時の哀しげな眼差しが気になった。
海は、恐ろしいんだ。
そう言った時の、マークの表情の方が恐ろしかった。
僕は何故だか突然手を伸ばしてマークの腕を掴んだ。男同士で腕を組んで歩くなんて、初めてだった。けれど僕は、それがすごく自然な行為に感じられていた。
地球にいた頃君と出会えていたら良かったのにね。
マークの笑顔は、とても魅力的だった。
誰があの二人を攫ったのか知っているんでしょ?
僕は当然そう思っていた。
僕がかい? マークは小さなその目を見開いてそう言った。
知っているとも言えるし、知らないとも言えるね。なにせ僕は、その現場を見ていないからね。
地平線しか見えていなかった目の前に、突然大きな建物が現れた。
あそこで休憩をしようか? 久し振りに沢山歩いたから、少し疲れてしまったようだ。
そこは映画の中では見たことのある、アメリカのガソリンスタンドのような場所だった。併設されているレストランに、マークが僕を引っ張るようにして中に入った。
その中の雰囲気は、アメリカではなかった。どうしてこんな場所に? 僕にはそこが図書館のように見えた。いくつもの棚に多くの本が並んでいる。街の図書館という感じではなく、古い時代の木造校舎の学校図書館。いくつかのテーブルがあり、そこで食事を楽しんでいる姿が見える。小さな子供? 地球人のような姿も見えるけれど、ダイソー人や他の姿も多く見られる。けれど何故? 全員が子供のような姿になっている。
君は気がついていないのかい?
そう言うマークに顔を向けると、いつの間にか、マークまでもが小さくなっていた。
までもがと言ったのは、僕自身の姿も小さくなっていたことに気がついたからだ。