マーク2、
君は賢いから、質問はしないんだね?
僕はただ呆然としていただけだった。突然の出来事に、言葉を無くしていたに過ぎない。もっとも、質問が無意味だってことは理解していた。ジョーイは消えた。家に帰った。それだけだって納得した。
ところで君は、僕に会いに来たんだよね? なんのために?
そうだった!
僕は思わず声を出してそう言った。
ジョーイがいないと、その理由が分からないことに気がついた。
僕はマークのことが大好きなんだ! もちろんジョーイも好きだし、エンケンも大好きだよ!
僕の口からは、そんな言葉が自然と飛び出してきた。
君はやっぱり面白い。
マークはそう言って、今度は僕に向かって掌を向けた。どこかに消される? そう思った僕は、何故だか掌をマークに向けてクロスした両手で顔を覆った。
そんなことをしても意味はないよ。
そう言ったのはボニーだった。
あなたはバカなのね! 可愛いおバカさんなのね!
クライドが僕を見つめて笑う。
マークはあなたの心を覗いているのよ。知ってるでしょ? マークは魔術が使えるってことくらい。
そうだよ。地球で有名になったのもその魔術を使ったからじゃないか!
それって・・・・ なんか少し僕の知っている話とズレている気がした。マークは確か、魔女との契約で有名になったはず。
真実なんて大抵は間違っているんだよ。
マークが口を開いてそう言った。
君がなにをしにここに来たのかはよく分かったよ。けれど残念だよ。協力しか出来ないなんて。
マークがそう言うと、何故だかクライドとボニーが笑った。
私達はもう帰ってもいいわよね? 後は二人で楽しむべきよ。
クライドがそう言うと、ボニーと連れ立って走ってどこか森の奥にに去って行った。
やっと二人っきりになれたね。こっちに来て話をしよう。
マークはそう言いながら僕に肩を並べた。そして僕の肩に背中越しに手を乗せた。
君とは契約なんて必要がないよ。仲間を探すのだって、本来なら僕の手なんて借りなくても充分なんだ。けれどこうして出会えたんだからね、楽しもうじゃないか!
マークは僕をどこへ連れて行くつもりなのかなにも言わずにいた。僕が聞いても、別の話題を振りまく。どんな音楽が好きなんだい? 日本は美しい国だよね! 僕は単純にマークとの雑談を楽しみながら、いつの間にか深い森から抜け出ていた。