表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ロック  作者: 林 広正
34/44

ジョーイ10、

 彼らは鼻が効く。君の身体や感情に染み付いた匂いから二人を探すんだ。人探しをするにはダイソー人を使うに限るんだ。まぁ、試してみることだね。その凄さは想像以上なんだ。

 カバンのサックの言葉に、僕はずっと心の声で対応していた。そういうことなんだ。教えてくれてありがとう。ここへ来た意味を理解した。

 なかなかにいい友人を手に入れているんだな。

 緑の濃いダイソー人がそう言った。

 こいつは僕の親友だよ。家族だと言っても間違いじゃない。

 そんな事を言われると照れるなぁ。なんて事を言うカバンのサックに、僕からの好感度は上がっていく。

 正直に言わせてもらうが、俺たちはお前のその匂いが大嫌いなんだ。

 緑の薄いダイソー人の言葉に、ジョーイが反応を示す。

 それはお互い様だろ? 俺たちは別々の星からやって来たんだ。同じ遺伝子を持っていても、育った環境が違うんだ。そう言った細かいことを気にするのはよくないな。

 嫌いなものは嫌いなんだよ。それでもこうやって我慢して相手をしてやってるんだ。ありがたいと思いな。

 そうだ! なんだかんだ言いながらも結局はお前たちのいいなりになるんだからな。少しくらいの愚痴は勘弁しろよな。

 緑の薄いのと濃いのが交互に話す。最初は恐ろしく感じていたダイソー人だったけれど、話を聞いているうちに彼らも人間なんだと感じるようになっていた僕は、自然とこの口から言葉が漏れていた。

 二人の名前を知りたいのは僕だけかな? ジョーイは当然知ってるんだろ?

 僕の言葉を聞いて二人が笑った。

 俺たちを二人と呼ぶのか?

 二人が声を揃えた。

 ボニーとクライド。濃いのがボニーで、女の子だ。薄いのが男の子のクライドだよ。

 ジョニーの言葉に、二人が笑った。僕は冗談だと思った。ジョニーがつけたあだ名だと。

 俺たちは地球人とは違って見た目で性別も名前も分かるようになっているんだ。もう気がついているだろ? この瞳の中に文字が彫り込まれているんだ。地球語じゃなく、ダイソー語だけどな。読めるだろ?

 クライドはそう言いながら僕の目の前にその瞳を近づけてきた。

 その文字自体は全くの未知の形をしていたけれど、読むことが出来た。というより現実は、感じることが出来ると言った方が正しい。そのシルエットだけを見て犬と猫の違いが分かるのと似ている。見間違えることも多々あるけれど、それは文字も同じで、読み間違いはなくならない。

 これで分かっただろ? 俺たちは見た目に様々な情報を表示しているんだ。

 ボニーがそう言った。

 緑が濃いのが女の子ってこと? 僕がそう聞くと、横でジョーイが笑っていた。

 色が違うのは育った環境が違うからだよ。地球でもそうだろ? ジョーイの言葉だ。

 男女の違いは鼻の形で分かるんだ。よく見てみなよ。

 そう言われた僕は、ジッとボニーの鼻を見つめた。恐怖心は少しもなく、一歩も二歩も前に進んでボニーの鼻と僕の鼻がくっつくほどに近づいていた。

 ふんっ! とボニーの鼻息が飛んできた。そして一度、目の前からその鼻が遠退いたと思うと、すぐさま戻って来る。僕の鼻に衝撃が走った。

 鼻の穴をジロジロ見るなんて失礼よ!

 見るべき鼻が違うんだよ。クライドの鼻を見ればすぐに分かる。

 眉間に鉄の匂いを感じた。鼻の穴からは血が垂れてくるのを感じる。目の前のボニーは僕を睨みつけている。

 あら! あなたの血も赤いじゃない!

 そう言いながらボニーはヨダレを垂らしていた。

 ダイソー人は赤い血が好きで、地球のトマトが大好きだという。僕は痛みを忘れて一歩を引いた。

 女の子の鼻をじっと見つめることは失礼に当たるんだよ。

 クライドがそう言った。

 地球人が女性のおっぱいを見つめるのと似ているんだ。

 もう! ボニーがそう叫び、クライドの背中をその大きな尻尾で引っ叩いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ