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異世界ロック  作者: 林 広正
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ジョーイ9、

 そんなに緊張しなくてもいいんじゃないか?

 遅れて外に出てきたジョーイがそう言った。

 僕はチラッとジョーイに顔を向け、すぐに目の前の生き物を見上げた。

 お前に言ったんじゃないよ。緊張しているのは、そっちの二人だよ。

 ジョーイはその生き物に顎を向ける。

 この匂いを嗅ぐとどうも胸が苦しくなっちまう。早く出て行ってくれよ。

 ミドリの濃い方がそう言った。

 そうは言ってもな、こいつは理由があってここに来ているんだ。あんたらには迷惑かも知れないけれど、しばらく面倒を見て欲しいんだよ。この土地でな。

 そいつは勘弁して欲しいな。俺たちは地球人とは仲良くなれない。他を当たってくれよ。

 ミドリの薄い方がそう言った。

 とにかくあいつには会わせてもらえるんだろ? 話はそれからだよ。

 あいつは・・・・ そろそろ帰って来るかもな。

 二体の生き物が同時にそう言った。

 二足歩行には違いはないけれど、正確には尻尾でその巨体を支えている感じがする。ティラノサウルス? もしも人型に進化したらこうなるのかもと思えなくもない姿をしている。

 あいつって・・・・ 確かな予感があったけれど、口にはしなかった。

 俺たちの姿がそんなに気になるのか?

 ミドリの濃い方が僕に向かってそう言った。

 それほど珍しい種族じゃないんだけどな。センターにも俺たちの仲間は大勢いただろ? ここじゃあお前達の方が珍しいくらいだ。

 ミドリの薄い方がそう言った。

 見ての通りだな。俺とお前は、ここじゃあ珍しい。けれどな、お前の仲間がどこにいるのかは、ここでなければ分からないんだよ。

 どうしてなんだと言おうと思ったけれど、カバンのサックが代わりに答えを教えてくれた。

 ここは、地球で言う所の恐竜が進化した生命体が多く集まる場所なんだ。彼らがそうなんだよ。地球とは違う星からやって来ている。君が地球人だってことはその匂いで一発だよ。地球人は、塩臭いんだ。

 僕はふと自分の腕を嗅いだ。カバンのサックの言葉は僕にしか聞こえていないはずなのに、みんなの視線が僕に集中していた。正確には、僕が肩にかけているカバンにだけれど。

 彼らはダイソーっていう名の星からやって来ている。残念だけど、彼らもこの世界の原住民ではないんだよ。この世界では、地球人ほどじゃないけれど、多く見かけるね。特にこの地域には。彼らにとっての都会は、森の中なんだよ。ここは一見自然環境にも思えるけれど、彼らが生み出した人工物なんだ。

 彼らも人なのかと、なんだか不思議に感じた。種の交配が出来るっていう意味では、まさしく人なんだよ。君と彼らの仲間は、同じDNAを持っているんだ。君たちの世界ではどうか知らないけれど、ダイソーには地球人とのハーフもいるって噂だよ。地球にもたった一人いたって噂もあるけれどね。

 僕には、彼らこそがハーフに見えていた。人間と恐竜のね。

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