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異世界ロック  作者: 林 広正
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ジョーイ7、

 運転中のジョーイは、無口だった。時折ミラー越しに僕を見つめるだけで、僕がなにかを尋ねても、頷きすらしない。

 代わりに、隣に置いたカバンがよく喋る。

 僕と君は仲良しだね。君といると楽しいよ。君が早く目的を果たせるように協力するから、君も頑張るんだよ。

 カバンが喋ることに驚きはなかった。部屋の中でもその声を聞いていた気がしていたからね。僕は自然と、カバンに対して返事をしていた。もちろん、声を出して。

 これから向かう先を知ってるのかい? あの男はちょっと苦手だな。君からはいい匂いがするよ。この出会いはきっと運命だから、君もいつかはいなくなってしまうんだ。僕がいる限り、君がこの世界で困ることはないよ。君のこと、好きだなぁ。

 一方的なカバンの言葉は、聞くだけでも楽しかった。僕が相槌を打つだけでカバンは喜ぶ。

 君って声も素敵なんだね。君の言葉は綺麗だな。言葉遣いじゃなくて、言葉そのものが綺麗に聞こえるよ。出会えたのが君でよかった。君の荷物は僕が責任を持って預かるよ。

 君の名前は? カバンにだって名前はあるんだろ? 僕がそう言うと、カバンは嬉しそうにその場で跳ねた。バタバタと蓋を揺らしながら。

 サック。この世界ではそう呼ばれているんだ。君はやっぱり素敵だよ。カバンに名前を聞くなんて、ロマンティックだと思うよ。

 カバンのサック。おかしな言葉遣いが、僕は気に入っている。

 なんだか嫌な匂いが混じってきたね。

 カバンのサックが怪訝そうにそう言った。カバンに表情はないはずだけれど、そんな雰囲気が滲んで見える。

 ここいらできっと、車を停めるはずだよ。

 カバンのサックがそう言うとすぐ、ジョーイがブレーキを踏んだ。

 ここから先は歩いた方がいいだろうな。それから妙な独り言は控えた方がいいと思うぞ。

 ドアを開けながらジョーイがそう言った。

 僕もドアを開けて外に出る。 カバンのサックとの会話に夢中で、外の景色は少しも目に入ってなかった。いつの間にかの別世界に、僕は驚く。

 ここって・・・・ こんな森の中で二人を探せって言うのか?

 突然ジャングルのど真ん中に立たされた。そんな景色が周りには広がっていた。

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