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異世界ロック  作者: 林 広正
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ジョーイ3、

 お前は俺を知っているのか?

 突然のジョーイの質問に、僕の頭はハテナマークで埋め尽くされた。

 当然だろ? って言うか、ジョーイ達を知らない人なんて、ロック好きじゃあり得ない!

 そうか、俺を知ってるのか? だったら俺と一緒に来た他の三人も知ってるよな?

 当然だよと叫びたくなった。その四人がロックの歴史を変えたって、僕は感じている。

 俺たちは四人でここに来たんだ。出るときもそれは変わらない。こうして死んじまった後でもだ。全員が死ぬまでここには戻れなかった。俺は一番最初に死んだから、十三年間も待たされたんだ。向こうの世界にある、ドアの前でな。

 それじゃあみんなこの世界に来ているってこと? 一緒にバンドやってるってこと?

 僕は興奮していた。ジョーイはまだ生きている間にバンドを引退させている。当時のメンバーはオリジナルの四人ではなかったけれど、オリジナルの四人共に生きてはいた。僕はジョーイの生前を知らないけれど、音源や映像での体験は多い。どの時代も好きだけど、やっぱりオリジナルの四人の時代から受ける衝撃は圧倒的だった。その四人が揃ってこの世界にいる。興奮しない理由が見つからない。

 残念だけど、俺たちはもう必要とされていないんだ。全員が揃った時は嬉しくて、一度だけ演奏している。今は他の三人が何処にいるのかも知らない。好き勝手に余生を満喫しているみたいではあるけれどな。

 ジョーイの言葉には、違和感しかなかった。必要とされていない? そんなはずはない。余生? 一度死んでいるのに?

 まぁ、細かいことは気にするなと、僕の表情から内情を見透かしたジョーイが言った。

 兎に角お前はこの世界から出られない。出るには二人を待つか、探し出さないとならないんだよ。

 それじゃあしばらく待ってみようか、なんて思ったけれど、それじゃあダメなんだろうなとの予感がした。きっと、二人を探し出すことに意味があるんだ。エイミーがそんなようなことを言っていた気がする。

 少しはノンビリしたいけれど、どうせそうもいかないって言うんだろ? 僕はジョーイに少しきつめの言葉を投げかけた。

 分かっているなら話が早いな。それじゃあ早速準備をして出かけるとするか。

 僕は部屋の中で準備を始めた。と言ってもなにをどう準備すればいい? 僕の荷物は二つの楽器だけ。それ以外にはポケットに財布とスマホが入っているだけだった。

 この部屋の荷物は全てお前達の自由に使っていいんだ。必要のない物は置いていっても構わない。お前達以外にこの部屋に入れる者はごく僅かだ。

 必要なものなんてない。僕にはこれがあればそれで十分だ。僕は担いでいるベースに視線を飛ばしてそう言いながらも、部屋を見回した。

 そこにはさっきまではなかった物で溢れていた。

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