第7話~勝者は立ち去る
なかなか書くのが遅くて申し訳ない限りです。
「本当に倒せるとは思わなかった」
ぐちゃぐちゃになって原型をとどめていないゴブリン王を前に返り血に染まった私の姿を、少し恐怖心を持った状態でアルビノの一角狼が声を掛けてきた。
「私の強さなんてこんなものじゃないわよ?なんなら本気でやってみようか、多分この森の半分は吹き飛ばせると思うわ」
と私が冗談交じりに提案すると、それは周知のことだから辞めてくれということを露骨に表情で表しながら全力で首を横に振った。
「ところでこれで問題は解決ということになるのか?ゴブリン自体はまだたくさん残っているみたいだけど…大丈夫なのか?」
「ん?あぁそれは問題ないゴブリン王さえ居なくなれば、ただの烏合の衆でしかないからな、ある程度数が減った後はいつも通りになるだけだ。」
「そうか、なら大丈夫だな。それじゃあ、しっかりと約束は守ってもらおうか?」
一角狼はごくりと唾を飲み込む
明らかに緊張しているのは感じ取れているが、これはこいつらと交わした約束による報酬だ、存分に楽しませてもらおう!
そのふわふわとした毛並みを!
だけどその前のこの返り血を何とかしなければいけないな
でないとせっかくのふわふわもこもこがべとべとになってしまう。
そう思って何かいい方法ないかと生活魔法のチェックをまだ確認していなかった生活魔法自体に発動してみた
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生活魔法1 ステータス 自分の現在の状態を知る
生活魔法2 チェック 物体や文字の詳細を知る
生活魔法3 ライト 明りをともす
生活魔法4 ウォータ 少量の飲み水を生成する
生活魔法5 ファイア 小さな火種を作る
生活魔法6 ミニヒール HPを回復する
生活魔法7 フュージョン 2つ以上の物を合成する
生活魔法8 クリア 服の汚れや体異物を除去する
生活魔法9 アンリミテッド 生活魔法使用に関する制限を解除する
生活魔法10 使用者の許諾によって発動可能
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ずらりと表示されたそれらの中には、もう少し調べてみたものがあったが目下必要な魔法を見つけ、ためらわずに発動する
「クリア」
私の声に反応したのか、声をトリガーとして私の意図を汲み取ったのかわからないが、あっという間に私の体にしみついていた血やら汚れが匂い事きれいさっぱり消え去ってしまった。
その消えたものはいったいどこにと思うが、考えても理解できるものではないと直感しすぐにその思考を切り捨てた。
それよりもだ、体の汚れはなくなった
これで思う存分モフモフすることが出来る!
再び一角狼に緊張が走るがすでにあきらめており、私が満足するまでアルビノの一角狼を含めて群れのすべてが徹底的にモフモフされた。
ーーーーーー
「さて」
と私が満足して立ち上がるころには太陽が地平線に沈みかけているところで、森の中は横方向からの日光によって日中よりも明るく見えた。
ちなみに地面にはアルビノを含む近くにいたすべての一角狼がぴくぴくと痙攣のような動きをして倒れていた。
まぁ、ちょっとやりすぎたようにも思うがそれでもちゃんとした報酬だ。罪悪感なんて何もない。
「んじゃ、そろそろ私は行くとするよ。目指してたのは森じゃなくて町だったからね」
そういいつつすでに方向感覚なんてなくなっている私は、適当な方向を向いて歩き出そうとした。
「夜は魔物が活性化するから…と貴様には必要のない忠告だな」
ふらふらとだが立ち上がったアルビノが、なんだか失礼な発言をした気がする…もう一回モフっとくか?
「ちょ、ちょっとま待ってほしい」
私の考えを読み取ったのかアルビノは焦った様子で言葉を挟む。
「我ら一角狼だけでなくこの森を救ってくれたことに感謝する。ありがとう」
そのアルビノの声に合わせて、他の一角狼も一様に少し頭を下げるような動作をする。
「再びこの森を訪れるような事があれば、我々にできる最大限の礼を尽くそう」
相手は狼とも言えどここまで礼儀正しく、そして恩を感じてくれると、非常に気恥ずかしい気持ちになる。
「そうだな、そうしたらいずれ生まれる私の娘や孫にでもその礼をしてくれ」
そういいながら立ち去っていく私を、私の視力でもって見えなくなるまで一角狼達は私の方を見ていた。
完結までしっかり描いていきますのでよろしくお願いします。