5話〜ゴブリンに挑む者
「それで、争いってのはなんなんだ?」
一角狼に依頼の報酬を取り付けた私は詳しい話を聞こうと尋ねる
「ここら一帯が我ら一角狼が縄張りとする森なのだがここ数年でゴブリンの数が増加してな」
ゴブリン、これは流石の私もゲームに出てくるデザインは知っている。
たしか、高い繁殖能力と人間ほどではない知能を持つと言われている…
「でもゴブリンって普通にいるもんじゃないのか?」
高い繁殖力があると言われているのだから、その辺にいるものじゃないのか?
「本来なら我らの敵ではなく、共存を目指していたのだから、放置しておいたのだが、つい一ヶ月前に我らの群の一つがゴブリンに潰されたのだ」
「ゴブリンが強くなったということか?」
だが、私の問いに対してアルビノの一角狼は首を振り否定した。
「ゴブリン20体ほどいて漸く我ら一体分の強さを持つ、その強さに変化はなかった様だが、3万もの軍勢が一角狼100体の群れを襲ったのだ」
数の暴力…
腕がなるな
「それで、私はそのゴブリンの軍勢を壊滅させてやればいいのか?」
「さも当然の様に…だが、それも無駄だ。核を倒さなければな」
「核?ゴブリンのリーダー的な存在がいるのか?」
「“ゴブリン王”数百年に一度生まれると言われる、ゴブリンを率いるゴブリンだ」
ゴブリン王なんか強そうだな、ちょっとは期待しても良いのかな?
「場所は…ハァわかる…かハァ?」
「恐らくゴブリンの群れの中心に奴はいる、だが大丈夫か?息が荒くなっているが」
「ハァ…いや、大丈夫だ方向さえ教えもらえれば今すぐにでも向かおう」
「今からか?…まぁいいが、我も着いていこう流石に全て任せることは出来ないし、いざという時は命に変えても貴様を逃がそう」
「勝手にしなさい、でもね…戦いに割り込まないでね?」
金属バットを肩に乗せて振り向きざまにそういうと、何かを感じたのか一角狼はビクッと体を震わせた。
「しょ、承知した」
アルビノの一角狼と並走して小走り程度に走っている、その後ろには息を切らしてなんとか他の一角狼が着いて来ている状況。
思った以上にこの森は広いようですでに2分…3キロ程度進んだくらいだが、森はだんだんと深くなり出口なんて見えてこない。
そんな自然の匂いに満ちた中で突然漂って来たのは、腐臭、悪臭
そしてそこからさらに500メートルほど先に緑色の人型の何かが蠢いているのが見えた。
「見えるのか?目もなかなかにいいのだな」
蠢くそれを見て立ち止まった私にアルビノの一角狼が同じく隣に止まって声を潜めて話しかけて来た。
「というとあれがゴブリンか」
私の問いかけとも呟きとも取れない言葉に対してアルビノの一角狼は無言で肯定した。
辛うじて付いてきていた他の一角狼は、へばってしまったのか伏せの状態で舌を出している。
「とりあえずやって見ていいか?」
「え?」
私は金属バットを片手でブンブンと回してゴブリンの群れの方へと進んでいく。
その時に生ずる風圧で木々が揺れ、その音で手前側にいたゴブリンが気づきこちらに向かってきた。
ゴブリンの背丈は子供くらいで割と筋肉質、知能があるせいなのか羞恥心か、防御力のためか木で作った盾や鎧をつけている、そして各々太い木の棒や中には槍のようなものを持っている
見える範囲だけでもゆうに1万は超えるだろうか…さすがにこれほどの数と相手したことはない
力が入りすぎて背中の方から震える
その震えは地面さえも揺るがす
見える範囲全ての敵が私に殺意を向ける
威嚇か、鳴き声か、言葉にならない鳴き声がゴブリンたちから鳴り響く。
「さて…かかってこい!!!」
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