第3話〜全裸のヤンキー
連続投稿で取り敢えず3話!
幼女が私に触れると、一瞬にして視界が別のものに変わった。
先ほどまでいた山小屋みたいな場所ではなく、だだっぴろい草原の真ん中で…
全裸だった
「なんか…すっごい開放感…あ、そういえば」
そうつぶやきながら右手に握られた1つの封筒を見つめる。
幼女いわく、地球にいたころと見た目は変わらないが肉体の適正はこの新しい世界に合わせてくれたらしい、出なければ私もここについたとたんに死んでしまうから。
そのほかにも神の加護というものを与えてくれるらしいのだが、それを直接付与することはできないみたいでこうして手紙という形にするしかなかったとのことだ。
私が今全裸である原因もそこにあるらしく、神の力をもってしても、対象以外を転送するには、手紙位が限界らしい。
封筒は不思議な感触で、紙というのは何となくわかるのだがどちらかと言えば絹とかそういった類の触り心地で、表面にはよくわからない記号の羅列と裏面には幼女の顔をデフォルメしたかわいいロウ付けがしてあった。
どうしようかと一瞬迷いがあったが、ほかに何をすればいいのかわからないので封筒のロウ付けしている場所に触れると、それはいとも簡単に溶け出し消滅した。
それとほとんど同時くらいに、頭の中に”声”が流れた
『スキルを獲得しました”異世界言語 ランク0”』
その声は無機質で、いわゆる合成音声ソフトのように聞こえた。
どうやら今のロウを溶かしたことで異世界の言葉を理解できるようになったみたいで、先ほどまで読めず記号の羅列のように見えていた封筒の表面にはしっかりと”ヤガミ・アリア”と読めるようなっていた。
そして今度は、同じ感触の便箋を取り出すとそこには、ちゃんと読めるようになった文字で書かれていた。
【先ほど説明したことを文章でも記しておきます。ちなみにこの文章は異世界言語のランク0を所持していないと読むことができません。
この世界”イース”は地球と並列で作られた世界ですが、中身は大きく異なります。
まず人族、亜人属、エルフ族、ドワーフ族、魔族の5種族がそれぞれの領域をもって暮らしています。一応ですがアリアさんは人族となっています。
私が送り届けた場所は一番近い人が住む場所から大体20キロほど離れ、人目がほとんどない人族の領域という条件を満たす場所になっています。でないと町の中に全裸で放り込む形になってしまうので。】
なにそれ怖いっ!
【また、同封している金属のプレートに触れると、事前に約束したものが出現するようになっています。
スキルを獲得した後は”ステータス”と念じるか言葉にすることで詳細を知ることができます。
それでは最後に、こちらのミスで地球でのアリアさんを死なせてしまい申し訳ありました、イースでの生活が幸福なものであることを願っています】
と読み終えると、手紙に書かれていた通りに、封筒の中には名刺サイズほどの金属のプレートが入っておりそれを取り出してみると、そのプレートに触れると、さっきのロウと同じような幼女のデフォルメされたデザインが入っており、これまた同様に溶け出すように消滅した。
『複数のスキルを獲得しました。”生活魔法 ランク10””アイテムボックス ランク10””健康体 ランク10””ド根性 ランク10”』
あのプレートには4つのスキルが付与されていたようで、頭の中に再び無機質な声が響く。
それを聞き届けた後に試しにと思い
「ステータス」
とつぶやくと、視界の右下の方にパソコンでいうウインドウのようなものが半透明で表れてそこには
・・・・・・
生活魔法1 “ステータス”の初回起動によりMPを1消費した。再使用時の消費魔力は0
・・・・・・
そしてそのウインドウが閉じられると、今度は正面に少し大きめのウインドウが表示され、現在の私の能力が数値化されていた。
・・・・・・
ヤガミ アリア 人族 17歳
称号:鬼姫のアリア
LV:1
HP:250/250
MP:49/50
ATK:152
DEF:40
INT:5
LUK:∞
スキル:異世界言語10・生活魔法10・アイテムボックス10・健康体10・ド根性10
・・・・・・・
「HPとMPは何となくわかるけど…ほかのはどういう意味なんだろ?」
スマホのアプリでツム〇ムしかやったことのない私にはステータス画面の内容を見る知識すらなくどうしようかと考えていると、ふいにピントのあったATKの右下に1つともう一つ視界の右下にさらに小さなウインドウが表示された。
・・・・・・
ATK:攻撃力の数値を表す、現在の体調での平均値を表示する。
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・・・・・・
生活魔法2 “チェック”の初回発動によりMPを1消費した。再使用時の消費魔力は1
・・・・・・
どうやら、生活魔法で調べることができるらしい、でもこれはステータスと違ってMPを1使うからあと48回しか調べられない…
と思いながらまだ開かれているステータスのウインドウを見ているとMPが50に戻っていた。
それを見て、これなら無駄に調べてももんだいないかーと思い片っ端からチェックを発動した。
まずHPはその名の通り体力のことで、体調によって変化はせず傷を負ったりすると減少し、回復薬や魔法、時間経過で回復するらしい。
MPは魔力のことで、魔法の発動やスキルの発動で消費してこれも時間経過や回復薬で回復するらしいのだが
このMPとHPの二つは本来なら1分で1程度回復するのが基本的な回復量だけど、スキルにあった健康体のおかげで30秒間経過ごとに50回復するみたいなのだ。
他にもDEFは防御力
∞と記されているLUKは幸運度
あからさまに低いINTは知能らしい…
どうしてこんなにも幸運度が高いのだろう…すこーしくらい知能に回してくれても怒ったりしないのに…
スキルの方は説明文が結構長いからあとで適当に読んでおくとして…
とりあえず服が欲しい
相変わらず私は全裸のままで草原に立っているのだがいい加減服を着たくなってきた。いくら雑な性格とはいえ、ずっとは辛いもので、幼女に言われたことを思い出して
「アイテムボックス」
と声に出した。
すると再び大きなウインドウと右下に小さなウインドウが表示され、右下の方はいつも通り消費した魔力が表示される。
どうやら初回で10使ってそのあとからは5ずつ使うみたい
そして開かれたアイテムボックスは5×5の25マスになっていて、そのうちの3つがすでに埋まっていた。
そのうちの1つに真っ白な上下服が入っており、指でそれに触れると、感触はないがタップできるようで、タップすると“装備”と“取り出す”の二つのコマンドが現れ、迷わずに装備を押すと、アイテムボックスに表示されていた真っ白な服ではなく、着なれたセーラー服を身に纏っていた。
「おっ!全く同じ着心地、やっぱこれだね」
とようやく服を着ると開きっぱなしだったアイテムボックスを見て、同じように枠の中に入っていた金属バットを取り出して装備する。
「さて…と、取り敢えず村か町を目指そうかな」
気になったら下の方にあるブックマークというボタンを押してくれると幸せになれます…私が