表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/126

六十三話

「全滅させた、でいいのか?」


 ジブがリザードマンを倒したのを見て、武刀は呟く。

 勿論、警戒は解いてない。

 

「いいと思うぞ。周りには魔物がいないようだ」


 アルフィーの報告により武刀は安堵の息を漏らし、警戒を解く。

 

「そうか……」


 内心、武刀は少し安心していた。

 攻撃が全く効かない魔物を相手にしたくない。

 もし体力が少なくて経験値の多い銀色の魔物だったら、喜々として探す。

 

 しかし、リザードマンはそんな魔物じゃない。

 頑丈な上に強かった。

 そんな相手なら、もうプロレス技しかないと考えていた。

 

 まあ、それをしなくていいのは良い事だ。

 そもそも、肉弾戦はぶっちゃけると苦手だ。

 遠い所から一方的に戦うのが好きだ。

 

「これどうする?」


 斧を担いだジブが、リザードマンの死体を左手で指差す。

 

「回収しよう。素材になるから」


「了解」


 ジブは空いた左手でリザードマンを掴み、地面を引きずりながら馬車へと向かう。


「これは?」


 凍らされて氷の残骸となったリザードマンを、武刀は軽く蹴る。

 

「それは……使えないから放っておけ」


「了~解」


 武刀もジブ同様にリザードマンを回収する。

 回収できたのは三体だけ。

 残りの五体は使い物にならないとアルフィーは判断し、置いていた。

 

 もしこれが伝説級の魔物だったなら回収するのだが、生憎とリザードマン。

 ただの雑魚だ。

 そこが残念だ、とアルフィーは心の底から思っていた。

 

 

 

 

 リザードマンを倒した武刀達は、その死体を馬車に回収して馬車の中で休憩することにした。

 あの戦闘の後である。

 少しの休憩が必要だ。

 

 襲撃で周りの魔物がいなくなったみたいで、警戒はていない。

 それでも念のため、アルフィーが精霊を使って警戒している。

 

 武刀の向かいにアルフィーとジブがいる。

 隣には、今まで鎧代わりとなっていたストリアがいる。

 ストリアは膝枕をしてもらい、武刀は休んでいる。

 

 武刀にとって、あのリザードマンは魔族であるスピア以上の相手であった。

 どちらか強いのか云えばスピアだが、あの時は魔導書があった。

 

 しかし、攻撃が効かない相手は武刀にとって久しぶりだ。

 大抵なら戦うほど相手は疲労し、障壁が弱くなるからだ。

 

 今ではそんなことが出来るのは、アルフレッドぐらいしかいない。

 アルフレッドはただの変態だが、魔術師では五本の指に入る。

 

 それと同等の硬さ持つ相手はいない。

 もう戦いたくはない、という願望はある。

 しかし、戦う前のアルフィーのあの変わりよう。

 

 気になる。

 そして、また戦いそうな予感がする。

 今回はジブとアルフィーのお蔭で倒すことができた。

 

 俺はただのお荷物にしかならなかった。

 何かしらで力を付けなければ。

 あとは、アルフィーから情報を得たい。

 たしか、暴走魔法≪バーサーク≫と言っていたはずだ。

 

「アルフィーはあのリザードマンだっけか? あれは何が起きたんだ?」


「暴走魔法≪バーサーク≫で魔物が変わったんだ」


「変わった? 具体的にはどんな風に?」


「まずは性格が変わる。魔物は臆病だったり、冷静だったりする。しかし、暴走魔法≪バーサーク≫に掛かった魔物は全て好戦的になり、それ以外は考えられなくなる」


 洗脳、か。

 それは本当に怖いな。

 北米大戦の影響か、洗脳に嫌な印象しかない。

 

「他には肉体がそのものが変わる。前よりも強靭に、頑丈に」


「だから槍が効かなかったのか。普通だったらどうなの?」


「あんなに強くはないな。ジブはどうだった? 魔物側の意見として」


「ん~……力加減が難しかったぐらいかな」


 ジブは少し考えて言う。

 

「そういえば、ジブはドラゴンだったな」


 アルフィーの独り言にジブは意味が分からず、首を傾げた。

 

 ジブはドラゴン。

 人とは違うからこそ、考える内容が違う。

 圧倒的な強者であり、相手のことを考える必要がないのかもしれない。

 

「ムトウ」


 アルフィーが真剣な顔をし、真剣な物言いをする。

 

「どうした?」


「私は、次の町に辿り着いたら一緒にいることはできなくなる」


「ハッ!? どうして!?」


 武刀は身体を急いで起こし、驚く。

 突然の言葉に、武刀は頭の中が真っ白になる。

 ドッキリなのではないか。と思ってしまう。

 

「やることができた」


「それって、まさか……」


 今までの会話の流れで、察しが付いてしまう。

 

「ああ、暴走魔法≪バーサーク≫を発動した者を見つける。それが私の新しいやることだ」

明日は祝日!!!!

ということで投稿します。

理由は、そういう気分なんです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ