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五十二話

今回はちょっと短めです

 ドカンドカンと、ジブとストリアの辺りで物騒な音が響いている。

 村から離れて良かった、と心の底から思う。

 

「そういやさ、アルフィーは宿屋の人と何を話してたの?」


 武刀の脳裏に今朝のことが過り、聞いた。

 

「鱗のことを教えてもらったの。村じゃあ対処できないから、国に報告するんだって」


 まあ、そうだろうな。

 あんな爆弾を抱えて過ごすのは、俺も御免だ。

 

 アルフィーの言葉に、武刀は頷く。

 

「まあ、そうなるか」


「それで、護衛してもらえないかって頼まれて」


「どこに行くの?」


「近くの町。馬車で七日ぐらい掛かるらしい」


「一週間、か。それで町に行く、と。そうなるとこの村に居続ける理由もなし、か」


 これからの予定を武刀は頭の中で考える。

 魔術も簡単に教えた。

 あとは、実戦あるのみ。

 

「行こうか。その町に」


「分かった。帰ったら伝えておく」


「助かるよ」


「武刀はいいの? 魔術を使わなくて?」


「俺?」


 武刀が首を傾げると、アルフィーが頷く。


「そう言われてもなあ……」


 右肘を曲げて手を開く。

 すると、右手に槍が握らていた。

 

「ある程度、見知った魔術だし」


 武刀は立ち上がる。

 魔法、魔術で肉体と槍を強化する。

 

「転移魔術もあることだし、やることといったら!」


 槍の持ち方を変えて右手を後ろに下げ、右足を前に出して踏ん張る。

 そして、槍を投げる。

 

 投げられた槍は残像と化し、目標である木に槍が貫き、木の中心に空洞が出来る。

 

 その槍はどこかに消えて分からなくなった。

 が、すぐに戻って来た。

 武刀の右手に。

 

「やることは投げ槍ぐらいしかないんだよね」


 アルフィーは武刀の言葉に、心の中で否定する。

 

 嫌々嫌々。おかしいから。投げ槍だけとか、おかしいから。

 

「そ、そうなのか」


 アルフィーは頬を引きつりつつ、頷いた。

 

 武刀の戦法は槍を投げては戻し。槍を投げては戻す。

 それを繰り返すだけだ。

 威力は木に穴が開くほどに、だ。

 

 それが投げ槍だと考えると、アルフィーは常識が崩れて頭が痛くなり、右手で頭を押さえる。


「大丈夫か?」


 アルフィーが頭を押さえたことに気になって、武刀は声を掛けた。

 

「まあね」


 彼女は平気な顔を装る。


「そう」


 武刀はそれを知っても、追及しなかった。

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