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五話

二回目です

「では、皆さんも水晶に触れてください」

 水晶を持ってきた兵士が俺を蔑んだ目で、バッチイ物に触れるように、しっしっ、と追い払う手の動きをする。

 俺は水晶から離れ、クラスメイト達の一番後ろに戻る。

 

 戻ると、彼らは俺を憐みの目、小馬鹿にするような目で見てくる。

 まあ、当り前だ。

 異世界に来てまで、無能、だと言われているのから当然だ。

 

 俺もやっぱり悔しい。

 こんな所に来たんだから、そういう能力が欲しい。

 

 全員の能力を調べ終わるのを、静かに聞いた。

 俺と同じように、能力なし、と言われたものはいない。

 

 まあ、使えない能力だ、と言われた者もいた。

 それを聞いただけで俺の心はほっこり。笑顔になる。

 

 仲間がいるって、いいね。

 

「これからのみなさんのことについて説明しますね」


 一ヶ所でずっと待ち続けて暇を持て余していたクラスメイト達が、緊張が緩んでお喋りをしている中、ミリヤが喋り出す。

 

 すると、今までお喋りしていたクラスメイトは、喋るのをやめると王宮が静まりかえる。

 

「今はもう夜。これから歓迎会があるので、みなさんはそこでお夕食をお食べ下さい。歓迎会には護衛の兵士や王族の私達がいるくらいなので、みなさんもお楽しみ下さい」


 後ろの大きな扉が開き、そこを見ると、使用人が机だったり食事が乗った大量の皿を持ってきた。

 ものの数分で準備が終わり、歓迎会が始まった。

 

 歓迎会は和やかに進み、仲の良い者同士で一緒に食べ、王様やミリヤが一人一人、生徒や先生に話しかけている。

 だけど、俺の元には来なかった。

 

 それがまた、疎外感があって酷く辛かった。

 皿の上の食事が全て消え、歓迎会が終わり、既に夜が更けていた。

 

「これから皆さんをお部屋にお連れします。部屋は一人一部屋ありますので、ゆっくりお休みください」

 

 後ろの扉からクラスメイト+一人分のメイドが現れ、メイドが他の者をお辞儀をして仲良く話しながら移動して行く。

 そして、俺の方も目の前でメイドが立っていた。

 

 ぶすっとした、つまらなさそうな顔をする少女だった。

 メイドはすぐにお辞儀をして、颯爽と移動していく。

 

 クラスメイトと話していたメイドどのギャップに驚きながら慌てて追いかける。

 彼女はスタスタと、早足で移動していく。

 

 その姿はまるで、全てを拒絶しているようだった。

 

「あ、あの、いつからここに勤めてるんですか?」


 何かコミュニケーションを取ろうと質問をしいたが、彼女は見向きもせず、答えもせずに早足で移動し、立ち止まった。

 右には、扉がある。

 

「ごゆっくりお休み下さいませ」

 

 メイドは軽くお辞儀をして、すぐに離れていく。

 その速さに半眼にして呆れ、部屋の中に入る。

 

 部屋の中には片隅にベッドが、窓の前に机と椅子が、置いてある。

 シンプルな部屋だ。

 

「う~ん」


 右手は上げて左手は右肘を握って伸びをする。

 やっと解放されたせいか、何か解放感がある。

 誰にも見られていないというのはいいことだ。

 本当だったら。

 

 気づかれないように、壁に魔法陣がある。

 普通の人だったら、気づかないと思う。

 だって、模様のように、周りの壁にも似たような魔法陣があるから。

 

 だけど、それら全てが偽物であり、一つだけ本物があった。

 この魔法陣も、学校で転移した時と同様に、知っているのと似ていた。

 だからこそ、分かった。

 

「これはなんだ?」


 魔法陣の目の前に立ち、顎に手を置いて考える。


 見たのは昔の本。

 索敵だったり、監視だったりするような奴だったような気がする。

 監視カメラみたいに、バッチリ分かるやつじゃない。

 

 居場所を探るタイプだったと思う。

 まあ、それほど有害なやつじゃないから無視していいけど。

 どうして似てる?

 

 考えるが答えは浮かばず、ベッドで横になる。

 あ~あ。能力が欲しかったな、俺も。

 

 魔術師といっても、男子。

 やっぱりそういう力には憧れるものだ。

 

 それに、現在は枷を嵌めていて魔術は使えない。

 何か別の方法で、この危険な世界から生き残る術を得なければならない。

 

 加えて、英雄探索の任務がある。

 まあ、それはもう諦めてる。

 なんせ、英雄じゃなくてクラスメイト達が全員が勇者になった。

 

 もう探すことは無理だ。

 まあ、元の世界に帰れたら探すと思うが。

 

 色々あって、疲れたな。

 考えを放棄した。

 

 明日になればなんとかなるさ。

 楽観的に考えた。

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