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四十九話

「そう、なら始めるとしようか。ではジブ。鎧を脱いで裸になろうか」


 それを伝えた三秒後、アルフィーは杖を襲い掛かった。

 

「魔術を教えると言っていきなり服を脱げ、とかムトウは馬鹿か」


 アルフィーは杖で撲殺しようとするが、武刀は槍を横にして受け止める。

 

「理由があるから。一旦落ち着こう。な!」


 彼女は杖で殴ったが、殺そうとは思ってはいないはずだ。

 もし本気で殺そうとするなら、魔法を使うはずだ。

 

 なら、今回のは変態発言によるツッコミなのだろう。

 そう考えると、あれだ。

 

 撲殺がツッコミとか、おかしいと思うな。

 

「そう言うなら……」

 

 アルフィーは杖を納め、ジブの横で腰を下す。

 

「えっと、ごほん」


 武刀は咳払いをする。

 その時にジブを盗み見る。

 

 ジブは顔を赤くし、両手で自身の身体を抱きしめて隠そうとしていた。

 

「俺も見たいけど流石に場所は選ぶよ」


「見たいんだ……」


「見るのか」


「見る?」


 ジブ、アルフィー、ストリアの順に言う。

 

 というかストリアさん。

 見るってどういうこと?

 私はそこまで好感度上げてましたっけ?

 

 ストリアの言葉に少し動揺してしまう。

 それはアルフィーやジブも同様で、ストリアを説得している所だ。

 

 それに対し、ストリアは首を傾げている。

 きっと、どうして説得されているのかが分からないのだろう。

 彼女は彼女で、人の心というものを勉強してるのだと思う。

 

 魔物だったストリアが人になり、人の心を勉強する。

 それはいいことだ。

 いいことなのだが、俺以外には言わないでほしい。

 

「裸になってほしいのは、身体に魔術回路があるからそれを見たいんだ」


「服ごしでは駄目なの?」


 自分の裸が掛かっているため、ジブはいつもより真面目だった。

 

「駄目ではないが……んー、俺がジブの肌に直接触らないといけないからね」


「それは腕や手でもいいの?」


「難しいな。出来れば身体に近い部分が好ましい」


 魔術回路を見るためにも、身体の中にある魔術回路を起動して、それをはっきりと認知する必要がある。

 そのため、胴体の真ん中にある魔術回路を起動するには近い部分の方がいいのだ。

 

「触りたいから、とかじゃないの?」


「ハハハ。触るなら人化の時に触るよ」


 武刀は笑いながら言う。

 但し、目は本気だ。

 

「まあ、うん、分かったよ。なら、首とかでもいい?」


 本気の目をしていたため、ジブは信じて鎧を脱ぎ始める。

 防具を脱ぎ、薄く白いピッチリとした、半袖の服と半ズボンになる。

 

 下着がピッチリとしいているせいか、ボディラインがはっきりと分かる。

 それを防具を脱いでいる時に気づいたジブは、少し貧相な胸を両手で覆うように隠し、後ろを向く。

 

 無防備に、触れることを許したジブに、武刀は右手で後ろから首に触る。

 目を瞑り、指先に意識を向ける。

 

 指先で触れた部分からジブの身体、その内部にある魔術回路を認識する。

 

 これは……。

 

 それと同時にジブの身体が熱くなり、赤く光る。

 

「熱い」


 熱くなったのは、魔術回路が起動したためである。

 魔術回路は起動すると、熱くなる。

 本来なら、魔術が発動すれば熱くなる。

 

 しかし、他人が違う人間の魔術が使うことはできず、魔術回路が起動するだけなのだ。

 そのため、できるだけ早く終わらせないといけない。

 でなければ、魔術回路が焼け切れてしまう。



 赤く光る図形は、魔術回路。

 武刀の魔術回路はあみだくじのようなものだが、ジブのは複数の図形が組み合わさったようになっている。

 

 魔術は強化が一つ、それと、風が一つ、他は……火が多ッ!

 まずジャンル別にしよう。

 

 あるのは強化系、風系、火系の三つの魔術。

 火が多いのはドラゴンだったせいか。

 

「なんかジブの身体から赤く光る線が、魔法陣みたいに見えるな」


 赤く光るジブの身体を見て、アルフィーが呟く。

 それは目を閉じている武刀に聞こえていた。

 

「元々、魔術の元は魔法だからね。それに、魔術は魔法陣を解読して魔術回路に変えたものだからね。その魔術回路も人によって形は違うし」


「どう違うんだ?」


「俺のは魔術を多く使うから魔術回路はあみだくじ、線が多いけど、人によっては獣の形だったり、ジブみたいな図形だったりする」


「だからか!」


 アルフィーが、何か納得したような声を出す。

 ただ、武刀は目を瞑っているため状況が理解できていなかった。

 

「何が?」


「魔術回路というのがあった場合に魔法が使えない訳だ。どこかの国が身体に魔法陣を描いた場合魔法が使えない、という結果があったのを憶えてる」


「そうなのか? それはあとで聞こうかな。今は、ジブ! 今から俺が魔術を起動させる。それを覚えろよ」


 話の続きを聞くためにも、早く終わらせることにした。

 

「う、うん」


 語気の強い武刀にジブは驚きつつも、頷いた。

 武刀はジブの魔術回路を三回、起動していく。

 

「強化魔術。次、風魔術。最後、火全部」


 間隔を開けて言い、最後の火だけは一気に起動する。

 

 武刀のやっていることは、なったばかりの魔術師にどの魔術が何の魔術回路が反応するかを、教えている所だ。

 

 そして、ジブは火の魔術の所で戸惑った。

 なにせ、多すぎるのだ。

 魔術回路の数が前までの二つとは、桁が違いすぎる。

 

「これは多すぎるよ」


「そんなんどうでもいい」


 ジブの苦情をすぐに切り捨てる。

 

「次はストリア」


 アルフィーの話を聞くため、彼は頑張る。

 だが、他にも理由があった。

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