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四十七話

「魔術回路とは元々、魔法使いしか使えない魔法を一般的に扱えるようにしたもの」


 上の服を脱ぎ、上半身を晒す。

 武刀の肉体は意外と筋肉があり、古傷の跡もある。

 

「そのお蔭で魔法が使えない俺でも魔法を魔術として扱えることが出来た。俺みたいな奴も多く、今では魔術を扱える奴の方が多い」


「魔法を使える者はいないのか?」


 アルフィーから質問があった。

 

「それは分からん。ただ、魔法使いは素質がなければならない。そのせいで教えられる人も減り、教える人も減った。出会えればいいんだがな」


 上の服を後ろに放り投げる。


「で、その魔術を発動するために必要なのが、魔術回路。魔法でいう、詠唱代わりだったりする」


 武刀の身体が赤く光っている。

 その原因は線だ。

 無数の線が武刀の身体にはしっている。

 

「これが魔術回路だ。普通の人間はこんなに多くもない」


「普通だったらどれくらいなの?」


 ジブが恐る恐るという感じで質問をする。

 

「魔術回路も人によって形が違うし正確には言えんが、俺の五分の一もないよ」


「どうしてそんなに少ないんだ?」


「少ないんじゃないよ。俺が異常なだけ。魔術回路は一度描けば消すことはできない。自分の血を使うから当然だ」


「もし失敗すればどうなるんだ?」


「失敗すれば、それはただの落書きにしかならない。魔術回路にはなりはしない」


「武刀」


 ジブが右手を伸ばす。

 

「僕の身体にはどんな魔術があるの?」


「調べるのには時間がかかるし、それは明日にしよう。ついでに魔術回路も詳しく話すよ」


「ムトウは、どれくらい強いの?」


 アルフィーは初めて、武刀の強さを知りたくなった。


「魔術師として、俺は五本の指に入るぐらいかな」


 武刀の言葉に、アルフィーは少し驚いたのと同時に、納得はした。

 スピアという魔物、魔竜ジブラリア。

 強敵を二体に対し、全く臆することはなかった。

 

 武刀と一緒に転移してきた者達とは、何か違う、とは思っていた。

 

「そんなに強いのか……なら、一人で何でもできるんじゃないか?」


「前に言ったと思うけど、枷で魔術が使えなくてな。それで手持ちの魔術がほぼ使えないんだ」


「武器の魔術は扱えるのに?」


「枷がないからだ。枷は魔術回路の流れを阻害するが、その枷は肉体のほうにあるから武器の魔術は使えるんだよ」


 アルフィーの目線が槍に映る。


「なら、その槍にはどんな魔術があるんだ?」


「今あるのは二つ。一つが強化。もう一つが転移」


 最後の転移を聞き、アルフィーが噴き出した。

 

「転移!? 転移ってムトウは使えるの?」


「使えるよ。作ったの俺だし」


 衝撃の事実を知り、アルフィーは少し目が眩んだ。

 ジブとストリアはまだ理解できず、二人で顔を見合わせて顔を傾げている。

 

「その魔術を使えばここから」


「無理無理。転移魔術は入口と出口の魔術回路がないといけないから無理」


 武刀がアルフィーを喋っている時に被せた。

 

「転移魔術なんて、魔法だったらかなりの難易度なのによく作ったな」


「だって、俺の好きな娘がいるのに離れて会えなかったからね。なんとか作ったよ。それはもう──」


 武刀が喋っている最中、アルフィーは少しだけ武刀の事が分かった。

 

 人外のためなら努力を惜しまないんだろうな。

 

 好きな娘、人外に会うために転移魔術は勿論。

 魔物を人に変えてしまう短剣もそうだ。

 

 熱心に喋る武刀の姿を見ながら、アルフィーはそう思った。

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