三十九話
昨日は投稿が遅かったので、投稿時間を二十二時にしようと思います。
「もう行ってしまうのですか?」
「ええ。私達の目的は武刀を見つける事。だからずっとここにいるわけにもいかない。転移の方はよろしく」
「承りました」
これから、神の転移により武刀のいる世界に移動する。
ここに来れたのは、教室にあった転移の魔法陣があったからだ。
ただ、転移して来たのは武刀がいる世界ではなく、その世界の神がいる世界だった。
そのため、武刀の元に行くには神の協力が不可欠であり、頼んだ。
「そっちのほうは済んだかい?」
イリスと神が話をしている時、アルフレッドがこちらに向かって歩いて来る武刀の配下に声を掛けた。
「問題ないさね」
白が答えた。
ただし、その横にいるヴァルは少しボロボロだった。
「数の暴力には勝てなかったよ……」
彼女は死んだ目をして、掠れた声で呟く。
言葉の意味が分からないアルフレッドは、首を傾げていた。
一人だけ武刀の枷を外すパスワードを知っていたヴァル。
彼女はただ一人、武刀に褒められたいがために仲間達に教えなかった。
その結果、争いが起きた。
ヴァルはボロボロの姿となり、教えるしかなかった。
「こっちは終わったさね。そっちは大丈夫なのかい?」
「こちらは大丈夫だよ。あとは転移するだけだからね。じゃあ行こうか」
アルフレッドはイリスを見ながら言った。
「お前が私に命令すんな!」
声を荒げて、アルフレッドの左脛をつま先で蹴る。
勿論、強化魔術を使うのは忘れない。
「イッタァ!」
アルフレッドは左膝を両手で抱え、痛みにより何度もジャンプする。
叫び声は痛みによるものではなく、どちらかとういうと歓喜の声だ。
イリスは豚の鳴き声を無視し、周宇の方を向く。
「そっちは用意できた?」
周宇は、杏氏にお茶会の道具一式をかたずけている所だった。
「こっちはもう大丈夫です」
「そう。アリシアは……」
アリシアは笑いながらクルクルと回っている。
「大丈夫か」
全員が近くに集まる。
「転移をお願い」
「分かりました」
神は頷き、両手を前に出す。
すると、イリス達の足元に魔法陣が生まれる。
魔法陣の光は強くなりはじめ。
「転移する前に教えて欲しいんだけど、あなたが神になる名前を教えて?」
イリスは聞いた。
神は元は人間だった、と言っていた。
それが気になり、イリスは聞いた。
「私の名はシュタール・イントラットです」
名を告げると、転移魔法が発動してイリス達は消えた。
私の名はシュタール・イントラット。
魔法使いだった。
今は知らないが、私の時代では魔法使いというのは、一種のステータスのようなものだった。
魔法使いは限られた者にしかなれず、それは努力をしたってなることは不可能だ。
私は魔法使いの中でも優秀で、天才といわれるほどだった。
そんな私は他人よりも優秀で、他人を見下して愉悦に浸かっていた。
だが、私は知らない間に、天才、という肩書が重りになっていた。
そのため、私は不可能とまで言われた魔法、転移魔法を実現するべく頑張って来た。
何年も、何十年もすぎ、やっと使える所まで辿り着き、成功するか確認するために、試しにやってみた。
結果は、成功だった。
転移した場所は、どこかの外。
囲うように人がいて。近くには供物を捧げて、呪い(まじない)をやっているように見えた。
服装は何世代も昔の服を着ていて、頭の片隅に思った。
ここはどこか、今までとは違う、と。
呪いをやっていた人間から、救世主だと呼ばれ、魔を倒して欲しい、と言われた。
私に拒否権はなかった。
なんせ、少し離れれば全く見た事のない世界なのだから。
生きるためにも、私は断ることは出来ず、魔と戦うことを決意した。
この世界で生きていく中で、私は魔法を教えてみた。
彼らは魔に襲われているが、戦う術をあまり持たなかった。
あまり期待はしていなかった。
魔法は、選ばれた者にしかできないのだから。
しかし、彼らは魔法を扱うことができた。それも全員。いとも簡単に。
私は喜んだ。戦力が増えた、と。
だが内心では、たった一つの存在価値がこんなにもあっさりとなくなるのか、と実感し、どうなるのか心配していた。
魔の王を倒した私は英雄と言われ、もてなしを受けた。
私は元の世界に帰るために、帰る方法を捜した。
しかし、見つからなかった。
こうしている間にも、この世界の魔法使いたちは新しい魔法を作っているはずだ。
初めて、私は焦っていた。
前の世界では天才と言われた私も、この世界ではただの凡才だ。
自分よりも相手は劣っておらず、同じくらい。
勿論、自分よりも劣っている者はいる。
だが、同じくらいの者がいるのも事実だ。
焦る要因は他もあり、噂するのだ。
私のことを、本当は優れていないのではないか、と。
天才魔法使いという立場を奪われかけ、英雄という立場も失われようとしている。
だから、私は元の世界に帰る手立てを捜した。
元いた世界では、私は敬われていたのだから。
しかし、見つからなかった。
何もなくなりかけた時、私は頭の中に声が響いた。
神にならないか、と。
気が付くと、私は神になっていた。
白い空間で、永遠と過ごした。
それは狂うほどに。
腹も減らず、眠くもならず、ただずっと何も変化しない白い空間で一人。
私に残っているものはただの自尊心だけ。
そんな時、来訪者が現れた。
私はそいつらを、敵だと認識した。
またしても、奪いにくるのだと。
それが主の出会いであった。
八月は夏休みですので八月まで毎日投稿しようと思います。
追記、予約投稿してたら、ストックが予想以上にあったので、朝の八時にも投稿します。




