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35話

 ヴァルは、剣を高々に掲げる。

 掲げた剣の刀身が赤い線が幾重にも走り、真っ赤に光る。

 赤く光った刀剣は小さな赤い稲妻を纏い、振り下ろされる。

 

 振り下ろされた剣から放たれる赤い斬撃は、神に狙いを定めていた。

 放たれた斬撃は神を衝突する寸前、障壁という壁にぶち当たった。

 

 斬撃と障壁はぶつかり合い、短な拮抗の末に斬撃が障壁を切り裂き、さらに突き進むが二度目の障壁にぶつかり、弾け散った。

 

 神だけあって障壁は頑丈か。だけど、囮としての役目はやることができた。

 

 迎撃として魔法が放たれるが、その全てはアルフレッドに誘導されていく。

 魔法が意味ない、と分かった神は身体から伸びている無数の手が、ヴァルの元に伸びていくが、ジグザグに後ろに下がりつつ、剣で手を斬り飛ばす。

 神はヴァルに注意を引かれていた。

 

 その後ろで、化け物が動き出した。

 障壁が連続として破壊される音が響いた。

 神は急いで振り向いた。

 

 そこには、アリシアがいた。

 切断された身体は元通りに戻り、両腕が異様なほど太く、指先が長く、爪は鋭くなっている。

 

 腕を一振りをするだけで障壁を破壊していた。

 障壁を破壊され続け、一瞬にして残り最後の一枚になった。

 

 神は急ぎ、身体の後ろから伸びている無数の手がアリシアを襲った。

 だが、またしても髪を横合いから襲う存在があった。

 

 近づく気配に神が気づいた時には、既に障壁が破壊された音が聞こえた。

 それは、銀色の大きな狼だ。

 

 狼は人よりも大きく、一噛みで障壁を破壊した。

 守りを失った神は、また守りを固めるよりも先に攻撃を行おうとした。

 

 だが、銀の狼に気を取られて、アリシアの対応に少し遅れた。

 それは一瞬だった。

 

 アリシアは両腕で近づく手を薙ぎ払い、近づく。

 

「武刀君はたしか~、この魔術を使っていたっけ~?」


 巨大化し、鋭利となっていた左腕は元に戻り、右腕は変形した。

 より長く、より鋭く、それは槍のようにも見えた。

 

「ロンギヌス」


 槍の形を模した右腕から血が噴き出し、その血は魔術回路と化す。

 

 アリシアが発動した魔術回路は、ロンギヌス。

 それは聖槍だと有名だが、一つの魔術回路でもある。

 魔術回路、ロンギヌスは神や英雄を殺す事に特化したものだ。

 

 槍のなった右腕で、神を突き刺した。

 ぶよぶよとした身体に槍が突き刺さると、槍に触れた部分から煙が立ち始め、燃えた。

 

「アアアアアアアアーーーーーー!!!」


 神が痛みのあまり、絶叫を上げた。

 

 ユーミルの魔術回路とアリシアの魔術回路は、神殺しという点では同じだが、性質は全く異なる。

 

 ユーミルの魔術回路は、弾丸を撃ち込まれた相手に猛毒を送り込む。

 そしてアリシアの魔術回路は、浄化する効果がある。

 

 ロンギヌスは英雄や神など、限定とした相手にだけ効果があり、触れた部分を激しく燃え上がるような痛みを味わう。

 

 激しく燃えるような痛みを味わい、毒が身体を巡りながらも、神は口から血を吐き出しながら血走った眼でアリシアを睨んだ。

 

 アリシアはそんなことを気にせず、槍を引いては突き、引いては突きを繰り返していた。

 

「あははは~。あはははは~」

 

 神は血走った目をし、身体から生える無数の手がアリシアを襲った。

 それでもアリシアは気にも止めず、突きを繰り返していた。

 

 伸びている無数の手がアリシアに触れる直前、唐突にアリシアが後ろに一歩下がった。

 その空いた空間に、斬撃が地白い地面を削りながら伸びていた手を切り裂いていく。

 

 神はその斬撃が放たれた方向に目を向けると、そこにはヴァルがいた。

 もし障壁を張っていればこんなことはなかっただろう、と後悔し舌打ちをした。

 

 だが、アリシアは離れ、ヴァルは斬撃を放った直後で追撃は来ていない。

 その間に、神は障壁を張ろうとしたが、それを銀の狼はそんな暇を与えることを許さなかった。

 

 銀の狼が気配を感じさせず忍び寄り、一瞬にして迫った。

 大きく口を開き、神の身体に噛みつこうとした。

 

 だが、身体から生えている手が邪魔をし、銀の狼に巻き付いて持ち上げた。

 銀の狼は暴れて抵抗するが、巻き付いた手は離れることはなかった。

 

 それでも銀の狼は暴れ、口元に近付いた手に噛みついた。

 直後、神はロンギヌスと似た痛みを味わった。

 

 咄嗟のことで、狼に巻き付いていた手を解いてしまい、狼は自由を得た。

 自由を得たが、噛みついたままで落ちたりはしない。

 

 逆に、より強く噛み、離そうとしない。

 そのため、痛みがより強くなる。

 

「フェン! そのまま噛みついてください」

 

 ヴァルは狼に向かって叫んだ。

 神に近付いたヴァルは、剣を神に向けている。

 剣には、赤いあみだくじのような魔術回路が浮かんでいる。

 さらに、足元には魔法陣が浮かんでゆっくりと回転している。

 

 フェンと呼ばれた狼は、ヴァルに言われた通り離さないように、より強く噛む。

 そのせいでまた痛みがひどくなり、さらにその後ろでアリシアが槍を突いていたが、大きく引き戻して、今までよりも深く突き刺した。

 

 ぶよぶよとした身体に右肩まで埋まった。

 が、アリシアは口が三日月のようになる。

 

「術式、解放~」


 槍に描かれていたロンギヌスの魔術回路が変わる。

 血で描かれた魔術回路が動き出し、別の魔術回路になった。

 

 その魔術回路により、身体の外にある中にある物を封じ込める見えない鎖が解き放たれた。

 

 ジロリ、と神は身体に右腕を突き刺したアリシアを睨む。

 神と目が合ったアリシアは、直観で両足に力を込めて腰を下げ、足が一瞬にして太くなり、後ろに下がって距離を取った。

 

 神と離れたアリシアは息を吸って胸を上げ、

 

「つうた~つ!!」


 遠く離れた所にいても聞こえるように、大きな声で叫んだ。

 それが幸いし、ヴァルは魔術と魔法の混合術を放つのをやめて、耳を澄ませた。

 

「術式、縛殺が聞きませんでした~。そのため~、殲滅に入りま~す」


 アリシアの言葉で、ヴァルは発動しようとしていた魔法、魔術を総入れ替えし、フェンは即座に口を開いて着地し、離れた。


 暇を持て余していた者達も、本腰を入れて介入する準備を始めた。

やっと地獄が終わる(今日まで)

なので、投稿をまた再開していきます。ストックが多少あるので、毎日投稿する予定です。

まー、また地獄がすぐにやってくるので週一にまたなると思うのであしからず。

投稿時間は未定です。主に昼とか、夜とかになるかも。

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