三十話
会議が終わり、ヴァルは一旦家に戻った。
家は二階建ての、少し大きめな家だ。
そこで家に住む者達、女性を全てリビングに集めた。
但し、全てが普通の女性ではない。
全員が人外であり、人の形はしてるものの、その正体は人ならざる者達である。
集まった所で全員に会議の内容を話した。
「こういうことがありました。なので、連れて行くのは私合わせて五人です。というわけで、これよりその五人を決めたいと思います」
ヴァルが伝えた直後、暴動が起きた。
「どうしてヴァルちゃんだけ決定事項なんだー!」
「そうだーそうだー」
「横暴だー」
「職権乱用というやつだー」
「アイス奢れー」
「シャラーップ!!」
思いを聞き、ヴァルは声を張り上げた。
すると、周りが静まった。
「五月蠅いです。何故私が辞退しないといけないのですか。おかしいでしょ! 私は参加したい。だから、決定事項なんです!」
断言すると、また周りがワーワーと騒ぎ始める。
だが、
「まだ騒ぐ方は、参加は絶対にない、ということで」
途端に静まった。
「みんな現金ですね。まあ、それはいいでしょう。今回の五人、ある程度誰を連れて行くかは決めています。一人目は白、行けませんか?」
白、という名を呼ばれて、全員が顔を動かして目線は一ヶ所に集まる。
そこには一人の女性が椅子に座って、ミルクティーを飲みながら耳を傾けていた。
「ん?」
名を呼ばれた白は、落ち着いた表情で小首を傾げた。
白という名前通り、髪の毛は真っ白で腰まで届くほど長き、。
肌もまた、透き通るほどに白かった。
「お願いできませんか?」
「行くのは構わないよ。けど、どうしてわたくしなんだい?」
「あなたは龍です。空も飛べますし強いからです」
「なるほどね。行きましょう」
「ありがとう」
一人は決まった。残りは四人。
「次は二人目の発表です!」
そう言うと、辺りが静かになり緊張が走る。
「二人目はフェン、頼めますか?」
フェンと呼ばれた白狼が人になったような少女は、スペアリブを片手で、二つ持ちながら食べていた。
「ん? なあふぃ?」
フェンは食べながら喋ったため、上手く喋ることができなかった。
「まずは話すか食べるか、どちらかにしなさい」
そう言うと、フェンはこくりと頭を縦に頷き、また食べ始めた。
「食べる方が優先ですか……まあ、フェンのことだから了承してくれるでしょう」
これで二人目が決まった。
「それでは三人目の発表ですが、三人目からは夜型の方で、残りの二人は皆さんで決めてください」
「「「おおー!」」」
まだ決まってない者達が手を丸くして振り上げ、人数が多いせいで空間自体が声で震えるように感じた。
「夜型の皆さんはこっちに集まってくださーい。他の方は少し離れて二手に分かれてくださーい」
皆が動き出し、こちらには夜型、夜行性の者達が集まった。
少し離れた所で、二つの塊が出来ている。
「あ! ヴァルさーん!」
その塊の一つから、手を上げている少女がいた。
「なんですか?」
「他の場所には連絡してるんですか~?」
「増えるんでしてないです!」
みんなが心の中で、ナイス! とヴァルの選択にガッツポーズをした。
「了解ですー」
手を左右に大きく振って、了承した姿を見せた。
三つの塊に分かれると、全員が運命を左右する、戦争という名のじゃんけんが行われた。
彼女達は、主である武刀から離れて約一ヶ月。
会えない事で禁断症状が発症し初めている者もいて、そこに会えるという権利。
枠は少ないが、死んででも勝ち取るために彼女達はじゃんけんをした。
その結果、地獄絵図となっている。
勝ち残った三人は立っているが、それ以外は力尽きて倒れている。
生き残ったのは三人。
一人は黒い学生服を着た、白い扇子で口元を隠している外国人の中学生。
一人は緑色のスカートを着た、緑色の髪ツインテールをした女子小学生。
一人は身体のラインでる服を着た、スラッとした外国人の大学生だ。
これでメンバーは決まった。
今の時間は十九時。そろそろ主が転校した高校に行ったほうが良い頃合いだ。




