二話
誤字脱字があったら、教えてください
部屋を出ると、左に立っている秘書のような女性がいた。
百七十台の長身。
綺麗めな顔立ちで、小顔。目は藍色。
さらさらとした金髪が腰まで伸び、白いシュシュで一つに纏めてある。
黒のレディーススーツ、黒のタイツを着こなし、男を誘惑するような身体、スーツからはちきれんばかりの胸、スカートをピッチりさせるスカート。
「ずっと待っていたのか? ヴァル」
「はい。私は主と共にあるのですから」
綺麗な女性に、こんなことを言われると非っ常に嬉しい。
ちょっと照れてしまう。
「そ、そうか。ありがとう」
「じゃあ、帰りましょうか」
「う、うん」
綺麗なヴァルの、いつも見ない可愛い笑顔に、見惚れて頷くことしか出来なかった。
魔術極東本部での用事が終え、車に乗って帰宅している。
俺は十七歳。車の免許を手に入れることができないので、運転はヴァルにしてもらっている。
「今回の要件はなんだったんですか?」
運転しながら、ヴァルは聞いて来る。
そのため、こちらに顔を向ける、なんていう悪行はしない。
前を見ながら、聞いて来る。
「英雄候補にいる高校に転校しろ、ということだったよ」
「それはまた、厄介ですね」
「そうなんだよ」
本当にうんざりする。
この転校は、探すのが目的であり、一人暮らしだ。
そのため、皆に注目されると任務の達成が難しい。
注目をされないためにも、今の同棲、というかハーレムを続けるわけにはいかない。
女の子と一緒に歩いているのを見られた日には、高校で質問攻めされるのが目に見えてる。
「当分会えないことをあの子達に言うと、五月蠅いですよ」
「知ってるよ」
それもまた、想像できる。
「何か、埋め合わせしないと駄目だよな~。何しよう……ヴァルは行きたい所ないか?」
窓の外を見ながら考えていたが、決まらなかった。
だから、ヴァルに聞く。
今思えば、ヴァルは他の子に譲るせいで、自分のしたい事ができないことが多い。
「そ、それなら、その」
ヴァルは顔が赤くなり、声が徐々に小さくなる。
これは、恥ずかしくなったときのヴァルだ。
「ゆ、遊園地に、その、行きたい、なあ、と」
「遊園地、か……」
みんなと遊園地に行ったときの光景を妄想する。
まず、多いから一気に行くのは無理だ。
班のように、分けて行かなければならない。
そうなると、金が水のように流れていくことが想像できる。
まあ、それはこの仕事の報酬で達成できるので、お金に関しては問題ない。
「いいよ。行こうか」
「やった!」
小さい声で、ヴァルが嬉しがる。
いつもは大人びて、皆の前ではお姉さんのように振る舞っているが、今は子供のようだ。
それがまた、好きだ。
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