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十二話

投稿が完全に気分によって変わる・・・

そしてストックがああああ・・・

 翌日、俺は修練場に向かっていた。

 

「よう」


 背中に回って気さくに肩を組む奴がいた。

 この声には聞き覚えがある。

 それは、あの金髪不良だ。

 

「ちょっと、一緒に遊ばない?」


 目の前から取り巻きが三人、それと平野がいた。

 

「いいよ。遊ぼうか」


 遊びに誘われたから、その誘いを飲むことにした。

 

 

 

 

 そして、

 

「おま! えの、せいでっ!」


 建物の隅で、殴ったり蹴ったりするような音が聞こえる。

 

 殴られているのは、武刀。

 殴っているのは、クラスメイト。

 鈴木、山口、藤堂、平野、安藤、の五名である。

 

 平野が倒れている武刀を蹴る。

 武刀は、何も言わず蹴られる。

 だけど、


「いってぇ……」


 ボコボコに殴られ、蹴られたにも関わらず、起き上がる。

 これがずっとだ。

 蹴っても殴っても、未だに、ずっと立ち上がる。

 

 まるで、化け物のようだ。

 彼らはそう実感し、恐怖した。

 

 逆に武刀にとっては、特に気にするほどでもなかった。

 なんせ、こういった怪我はしょっちゅうあることだ。

 

 だけど、この五人は曲がりなりにも勇者だ。

 普通の人間よりも、身体能力が上がっている。

 

 痛みも、勇者になる前と比べると段違いだ。

 なのに、武刀は起き上がる。

 

 それを見た安藤は、考えを改めた。

 今まで手加減していた。いや、躊躇していた。

 もしかしたら、殺してしまうかも、と。

 だから、考えを改めた。

 本気で殺す気でやろう、と。

 

 安藤が一歩、武刀に近付いた時、

 

「何してるんですか!」

 

 女性の声が響いた。

 それは、結城先生だ。

 

「チッ!」


 邪魔をされて、安藤は舌打ちをし、取り巻きを率いて立ち去る。


「待ってください! まだお説教はしてませんよ」


 去って行く五人に、結城先生が怒るが、彼らは耳を貸さなかった。

 

「もう……」


 その姿に結城先生は落ち込み、武刀の元に近付く。

 

「大丈夫ですか?」


「ええ、まあ」


 結城先生はしゃがみ、武刀に両手を向ける。

 手の平から緑色のオーラが武刀を包み、傷を治していく。

 先生の能力は女神の微笑み(キュアル・スマイル)、回復する能力だ。

 

 今のように、暴行されることは良くある。

 その全てが安藤達に、だが。

 その度に結城先生は現れ、怪我を治してくれる。

 だけど、結城先生はいつもより元気がないように思えた。

 

「先生、ありがとうございます。何かありました?」


「うんうん、なんでもないよ」


 笑顔で顔を横に振り、否定する。

 だけど、その笑顔が偽りのように思えた。

 

「そうですか? ならいいんですけど。俺でも相談に乗りますよ」


「ありがとね」


 治療して怪我が消えると、立ち上がる。


「ありがとうございます。もし先生が困っまっている所を見たら、次は俺が助けますね」


 お礼を言って、離れる。

 

 

 

 

 

 治療をした武刀が離れていく後ろ姿を見ながら、ため息を吐く。

 勇者召喚をされて、私は唯一、大人だ。

 みんなを引っ張ったり、仕切ったりしないといけない。

 

 だけど、ここ最近上手くいくことがない。

 みんな強い力を手に入れたせいか、手に負えきれなくなってきた。

 

 女の子にセクハラ紛いの事は勿論、イジメも増えてきてるように思う。

 ああ、私、先生失格だな……。

 

 しっかりしないといけない、と思ってはいる。

 けど、そう考えるにつれてそれがプレッシャーとなって重りとなり、自由になりたい、と考えたりもする。

 

 私、どうしたらいいんだろう……。

 

 考えるけど、答えは見つからない。

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