プロローグ
「どうしよう。目が覚めない。」
三徹でオフラインのネトゲして限界だから布団で眠った…はずが、気が付いたら短剣だけ持って草原に佇んでいたのが主人公である。なんとなーく見覚えのある草原に、主人公もといルナルナは『これは夢だ…廃人にもなると夢までゲームになるもんだねぇ…』なんて決めつけをして頬を抓った。痛いが、景色は変わらない。そして冒頭の台詞に繋がる。
「というか何だろう夢のはずなのに視界の端に凄い見覚えのある青緑色のモニュモニュというかドロドロした何かがい」
る、まで言わせて貰えない。青緑色のドロドロ───ゲームで見慣れた序盤で定番のスライムが空に伸びたかと思うと、ルナルナに覆い被さってきた。
「いや普通に苦しいんですけど。…これ夢じゃなかったのッ!?」
ようやく目の前のことが夢ではないと気付くと途端に恐怖が彼女に襲ってきた。必死に短剣を刺したり手足をジタバタさせてもがく。が、暴れれたことによって余計に呼吸が苦しくなる。
金槌になった気分で青緑色の液体の中で藻掻くルナルナが伸ばした腕が。何かに掴まれたかと思うと、彼女を青緑色の液体から引っ張り出した。そのまま勢いよく放り投げられて、べしゃりと背中から着地。
「うぇっ、スライムって池とかの不味い水の味する…」
着地したときの背中の痛みよりも口の中に入った青緑色の液体を吐き出すと、小学校にあったビオトープの池に頭から落ちたときのことを思い出して顔をしかめる。
そんなことより、彼女を助けた存在。
「せぇい!!!」
それは甲冑を着た男。彼がスライムに向かって両手剣を振り下ろす。ばしゃん、と両手剣を叩きつけられたスライムが弾けて生き物のような動きを止める。スライムを仕留めたのを確認すると両手剣を背中のホルダーに仕舞い、男はルナルナのいる方へと身体を向けた。
「君、大丈夫か?」