後方の苦痛と前方の……
心臓が燃えている
いや、もしかしたら
とめどなく殴られているのかもしれない
とにかく熱く
とにかく痛い
胸をかっ開いて取り出したい
早くしないと
滾った熱は身体中を犯してしまう
ほら、きた
喉が熱い
目が熱い
頭が、痛い
喉がきゅるきゅると音を立てて締まり
息が出来なくて死にそうになる
でも簡単に死なせてはくれない
痛みと苦しみ
解放と回復
それを何度となく繰り返してきた
何度味わっても慣れる事はない
毎回まっさらな気持ちで苦しめられる
そんな俺を迎えに来たのは
穏やかで優しく
まるで天使のような絶望だった
暗いけど心地よい
全てを救ってくれる闇だった
苦痛の末の終着点
もう熱くない
もう痛くない
もう、苦しくない
身体を乗っ取っていた熱さは嘘のように消え失せ
胸には黒くて冷たいモノが残った
それは受け入れてはいけないもモノだ
しかしそれを拒む力はもうなかった
「ありがとう」
さらなる崩壊を知りながら
俺は進む
絶望を振りかざして




