告白
その日から本当は公園から近づくのをやめようとしたんです。
でも、学校から家に行くには必ず公園のそばを通らないといけなかったんです。
おそるおそる公園に行ってみました。でも彼は現れませんでした。
ほっとしたのと同時になんともいえない感情におそわれました。
もう、彼とは会えないのだろうか。
自分で望んだことのはずなのになんでそんなことを考えてしまうのだろう。
僕は男に興味はない。でも、また彼に会いたいと思う自分の感情はなんなのだろう。
やっぱり僕は・・・・
ある日いつものように淡い期待を持ちながら公園をチラ見しました。
すると彼が、いや、あの人がいました。
出会ったときと同じ白いワンピース、三つ編みの黒髪、髪は彼として出会ったときは男の子らしく短かったのでたぶんかつらであるのでしょう。
そして僕が一目惚れしたその美しい顔。
きれいなその人を見た瞬間、会いたいと願っていたくせにへたれな僕はとっさに逃げてしまった。
「待って!田中さん!」
「・・・・なんですか?」
想定外のことが起こった、その人が声をかけたのです。
その人の声は高いが確かに男で、事実を突き付けられたようなそんな感じがしました。
でもその一方で心地いい感じがするのは気のせいなのだろうか。
「えっと、この間は騙したりして申し訳ございませんでした。もうあんなことはしません。嫌われてしまったとしても仕方ありません。でも、でも・・・・」
その人、いや、うめちゃんの声は震えていました。
緊張しているのが目に見えました、でもそれ以上にたぶん僕は緊張していました。
僕の手は震え、膝もがくがくしていました。
うめちゃんはとても必至でした、その言葉に偽りなどはないように見えました。
「・・・・最初はあのことを友達に相談したら復讐してやろうという計画にいつの間にかなってしまって、こんなこと、僕ははじめてだったから、遊び感覚でやってたんだ。でもなんだか田中さんの話を聞いているうちに話すこと自体が楽しくなって。そしてなんだか月日を重ねていくうちに田中さんが・・・・田中さんのことが、好きになってしまったんだ。でも自覚すると同時に出てきたのは罪悪感だった。僕は田中さんをだましてる。田中さんはたぶん僕のことが好きだけど、それは僕が女だと思ってるからだ。いろいろ考えたけどやっぱりだますのはだめだ、素直に真実を言おうと思ったら、最悪な展開になってしまった。すごく後悔した、もう田中さんを傷つけたりしない。でも、離れたくない。だから、僕を女として、田中さんのそばにいさせてほしいんです。」
その言葉を聞いた僕の言いたいことはもう決まっていた。
「・・・・ふざけるな!!」
「えっ?」
「なんで、君を偽りのままそばにおかないといけないんだ!これ以上ごまかされるのは嫌だ!」
「・・・・・・そうだよね、ごめん。じゃあもう会うことはないね。さようなら。」
「待て!!」
僕はうめちゃんの手をつかんだ。
「俺はもう、君のいない日なんて考えられない、それはもうここ数日で証明ずみだ」
「え?でも、そばにはおけないって・・・・」
「誰がそばにおけないっていった!俺は偽られるのはもう嫌だっていっただけだ」
「それって・・・・!」
「うめちゃん、一緒にいたい。俺と偽りなく付き合ってくれますか?」
「・・・・はい・・!」
うめちゃんは泣きそうになっていた。僕も泣きそうだった。
でも、幸せだった。
「あ、ごめん。うめちゃん。」
「なーに?」
「一発なぐらせて」
「えっ?」
そういって僕はうめちゃんのきれいな顔面に正拳突きをくらわせた。
そう、僕は
ただのキチガイだった。