白い人
あれは僕が14歳のときでしたね。あのときは色恋沙汰なんて興味がなくてサッカーばっかりしてました。
勉強にも疎くて体育の授業以外は爆睡してましたね。
そんなことも懐かしい思い出ですね。
あの人と会ったのは中2の初夏でしたね。
その年の夏は特に暑くてその日はいっそうに暑かった。そのせいでサッカーの練習も早く終わってしまったのですが、その日はさすがに早く帰ろうと思いました。
しかし、帰ってる途中でだいぶ涼しくなってこんなんならもっとすればよかったなーと思ったのを覚えてます。
友達としゃべりながら歩き、しばらくして分かれ道で友達と別れて
のんびり鼻歌まじりに歩いていたら、いつも寄る公園がありましてね。
その公園の自販機でジュースを買って飲みながら帰るのが日課だったんですよ。
まあ、その日も寄ろうと思って公園に踏み入れたらいたんですよ、例の人が。
当時のその人を表すと、清純でしたね。
いつも黒髪三つ編みに白いワンピース、華奢で白い体はとても当時の僕の目には清楚に見えました。
最初は一目惚れだったんです。
ですが、動揺した僕はその人にひどいことをしてしまって、しかも謝らずに逃げてしまったものだから
家に帰った僕はすごく後悔してしまいました。
そっから、部活での帰路の際は必ず公園に寄ることにしたのですがどうもその人は現れない。
もう二度と現れないのかとすごく後悔してしまったのですが、
ある日、その人はひょっこり現れました。
その人を目にした瞬間これほどかというほど謝りましたがどうも反応がない。
怒っているのですか?と聞いても無反応。
どうしたらいいのかわからない僕はとりあえずしばらくあやまって反応がなかったため帰ることにしたんです。ふと、周りを見ると暗くなっていました。
帰らないのですか?と聞いても無反応。
しょうがないので自販機で買ったジュースを詫びですといって渡し、
帰りは気をつけてくださいねといって家に帰りました。
次の週もその人は現れました。
これは好機と思ってしゃべりかけようとしました。
でも、同時に迷惑ではないのかという不安もありました。
不安は消えない、でも、話しかけたい。
僕の気持ちは後者に傾きました。
最初はおはようございます、といいました。無反応。
今日は暑いですね、といった。無反応。
こんなところでなにされているんですか?といってみた。無反応。
なんなんだろう、僕は嫌われているのだろうか。
そりゃあそうだ、あんなことをしたのだから。
勇気を出して、僕のことは嫌いですか?と聞いてみました。
てっきり無反応だとおもっていた僕はあきらめていたのだが
今度はその人が首を横にふった。
反応があった。しかも嫌われていなかった。
そのことでとてもテンションのあがった僕はいっぱい話しかけました。
いっぱい話しかけた結果、どうやらその人は声を出したくないだけで別に話しかけられることが嫌なわけではないらしい。
どういう事情があるのかはわからないが、事情を飲んでやるくらいの男になれと父親はよく言っていました。それならばと、はいかいいえで選択できる質問を問いかけることにしました。
そのときの僕ははたからみても気持ち悪いくらいにやにやしていたと思います。
そしてあたりはすっかり暗くなりました。
いいかげん帰らないとと思い名残惜しくも帰ることにしました。
また会えますか?と聞いたらうなずいてくれました。
舞い上がってた僕は気づかなかったんです。
その人がとてもおかしなことに。