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スクールデイ♂

 10.スクール・デイ♂



 今日から学校へ通う、なんかずいぶん久しぶりな感じがするが、実際には二日空いただけだった。

 朝起きて、ご飯をいただき、ハルが迎えに来てくれて一緒に登校することになった。

 女の子と二人で登校するとか初めてなので緊張してしまう。


『悪いな、迎えに来てもらっちゃって』

『気にしないで、いつもイツキと一緒に登校していたから日課になっているのよ。それに一人だと学校に行きづらいんじゃないかと思って』ふっと笑いながらこちらを見てくる。

『バ、バカにするなよ。それくらい俺だって一人で大丈夫なんだよ』

『そう、変、じゃなかった。ユウキはしっかりしているのね?』何かを思い出すような遠い目をしている。っていうかその前の変ってもしかしてその後に態ってつけようとしたんじゃないよね?まだ怒ってらっしゃる?

『イツキは・・・態じゃなかった、ユウキとは違ってこういうときなかなか踏み出せない子なのよ。昔、学校を風邪で一週間休んだ事があって、治ったから学校行けるってことになり朝いつものように迎えに行ったの、最初は元気ないつものイツキだったんだけど、なんか学校が近くなったら忘れ物しちゃったとかで先に行ってと言われたわ。その時は全然気が付かなかったので、校門の所で待っていてもいつまでも来なかった。心配になり、学校そっちのけでイツキの家まで戻ったの、でもイツキは帰ってなくて、行き違えてしまったのかと思って学校へ戻ろうとした時に途中にある公園でイツキの姿をみつけて駆け寄ったら、あの子泣いていたの。何でだと思う?』

 突然質問を投げかけられたので慌てて考える『そうだな、学校が、いつも自分が行っていた学校と変ってしまっていないか心配になったからかな?』それはきっと今の自分のことなのだろうと、言った自分に気づかされる。

 ハルを見てみると驚いた顔をしていった『・・・正解、全く同じ。同じ顔で同じ事言われると本当に別人なのか疑いたくなるわ、とても変な感じ』

 黙っているとハルは話を続けた。

『知らない間に学校が変ってしまって自分の事を皆忘れちゃったんじゃないかって。何とか説得して頑張って学校に行かせることは出来たけどね。』

『どうだったんだ。どうだったんだ?学校では』

 優しい声で思い出を楽しむかのようにハルは言った『すぐに慣れたわ、変わってない事に安心して泣きそうな顔で笑っていた気がする。本当に泣き虫なんだから』

『そ、そうか』

『なに?あなたも泣くの?』からかう様に言ってくる。

『んな分けないだろ、バーロー』って、どこぞの探偵みたいな言葉が出しちゃった。

 そんな、しんみりしたような冗談のような話をしていればすぐに学校に着くもので、少し緊張したりする。




 学校に着くとハルとは一度分かれる、ハルはそのまま教室へ、俺は一度職員室へ行ってから先生と一緒にクラスへ行く事になっていた。


 職員室の扉を開ける『失礼します』

 扉を開くとそこはがやがやしていて誰もこちらに気づかない。

 右手の方では『うおぉー』という気合と共に解答用紙に○×を付けてテストの点数を着けていたり。左手では朝ごはんの争奪戦を行っていた、おそらくじゃんけんで目の前に積まれているおにぎりを奪い合っているのだろう。

 その様子を職員室の一番奥から優しい表情で見ていたおじさんが立ち上がったかと思うと何かを言っている、言っているが、何も聞こえない。周りが騒がしいので聞き取れない。おそらくそろそろ時間だと言う事を促したいようだ。そして俺全く気づかれねーなー。

 優しそうな顔が一変して怖い顔に変り手を大きく上に振りかぶる。思いっきり机を叩きつけるつもりだと思った時には机を叩いていた。・・・誰も気が付かない。あ、手痛そう。シュンとしちゃったじゃないか!すると後ろから声を掛けられた。

『おや?何の用かな生徒君』

 やっと気づいてもらえたと思って振り返るが視界には誰も居ない。あれ?っと思っていると下から声がした。見てみるとお腹の辺りに頭がありこちらを見上げている、何だこの超絶カワイイ生き物は!と思っているとタバコの香りがプンプンする。何新しい香水?

『あの、今日転校してきたユウキと言います、とりあえず職員室に行くようにと言われて来たんだけど』先生なの?敬語使いづらいんですけど。

 すると、キミかぁと言ってこちらをじろじろ見てくる。しかもなんかにやけてるんですけど、あとタバコ臭い。

『まぁ良いキミは私のクラスだから一緒に行きましょう。準備してくるからそこで少し待っていて』

 気が付くと職員室は静かになっていた、優しい顔のおじさんも他の先生も、もう皆移動してしまったのかもしれない。自分の担任以外を残して。

『やっべー、屋上でタバコ吸いすぎて遅くなっちゃった、ダッシュするよ?』言うなり職員室から出て行った。

『ちょっ・・・ま、ったく教師が廊下を走るな!』とりあえず文句はいっぱいあるが、ダッシュで付いていく、それにしても、小さいくせに早いな。後ろから追いかけている間に鐘が鳴り小さい先生がクラスの中に滑り込んでいく。

 教室の前に着くと中から『せんせーい、廊下は走っちゃダメなんですよー』というおそらく生徒の声が聞こえてくる。

『皆見ていないのに人を疑うなんて。そんな人に育てた覚えは先生にはありません』

 おーおー、思いっきり走ってたのによく言う。

『はーい先生、俺が先生走ってるの見ました』と言ってクラス中に入る。

 するとクラスほぼ全員の視線が俺に向けられる。この感じとても嫌だな。不審者を見るような感じ、遠慮なく興味を向けられる。

『あら、あなたは誰かしら?』先生のくせに意地悪だな、知ってるだろ。イラっとしたので、そのまま勝手に自己紹介をした。

『今日から転校してここの学校に通う事になったユウキです。よろしくお願いします。ね?先生』全員に向かって言った最後は先生に向けて確認だ。知ってましたよねーって事。

『ユウキ君だ、イツキの親戚で、先日からこの街に来たばかりなので皆色々教えてやってくれ。あとイツキは突然だが隣の街の学校へ転校した』

 先生の言葉の前半ではざわざわしていた教室が後半で一気に静かになった。

『では、ユウキ、キミはそこの席に座ってね』

 一番前の真ん中の席が空いていてそこに座り授業を受ける。休み時間になり何人かのクラスメイトに話しかけられる。

 違和感しかない。そこは知っている顔だらけなのに、知らない人ばっかりなのだ、正直言って奇妙でしかない。なんか何を話したのかも分からない。隣町の話とかをてきとうに話した。

 いつの間にか放課後になっていた時間はすぐだった様に感じるが、身体、というか精神的な疲労をを感じる。何人かに挨拶され何人かに挨拶を返して、そこで思い出す。そういえば授業が終わった後に担任が解散の挨拶をする時この後俺とハルに職員室へ来るようにという事を言っていたような気がする。

 後ろから声を掛けられる。

 そこにはハルの姿があった。

『チーリ先生に呼ばれたね、帰る準備が出来たら行こうか』

 そういえば同じクラスなのだった。一番後ろの席の窓際に座っているため全然自分の席からは確認できなかった。それに教室内では話すのがこれが初めてだった。

『おう、準備は出来てるからもう行こうか』二人でクラスを後にする。


 職員室に行くとチーリ先生の姿はなくほかの先生に聞いてみると、タバコを持ってどこかへ行ったそうだ。どれだけタバコ吸うんだよ。

『たぶん屋上へ行けば居るんじゃないかな?』朝もそんなこと言っていたし。しかし屋上は生徒入っちゃダメだったような。

『行きましょう、待っていてもいつ帰ってくるか分からないし』と言うハルに先を促され前を歩く。屋上の場所が変わってなければ分かるから良いんだけどさ、一応今日転校してきたばかりなんですけど?

 問題なく屋上に着く扉が少し開いていて覗いてみるとチーリ先生の姿が見えたのでそのまま扉を開けて屋上へ出る。

『先生、呼び出しておいて屋上でタバコを吸うなんてどういうことですか?』話しかけるとこちらを見て笑った。

『ごめんごめん我慢できなくて、ごめん、ね?』理由が理由じゃなかったらきっと惚れていた。でも、可愛く言っても許さないんだからね!

『っていうか屋上は生徒入っちゃいけないのよ?ハルちゃんだってクラス委員なんだから自覚を持ってね』怒っているそぶりも見せずにこちらの非をたしなめる。おい、自分の胸に手を当ててから言葉をチョイスし、そして改めろ!

『先生私は悪くないです、この転校生ユウキがきっと屋上にいるから行こうというので仕方なく・・・とめたのですが』

『嘘付け!むしろ促したように見えたぞ?』

『ふふふ、からかい甲斐のあるリアクションね。先生ごめんなさい私も悪かったわしっかり止めておけば』

『分かれば良いのです』めっちゃ笑顔で言う。

 なんか納得イカネーな。

『それでなんなんですか?話ってのは』もうこのことは諦めて話を進める事にした。

『うん、誰もいないしここで話してしまうわ。イツキ一応あなたはこの学校の剣術部に入ってもらいます。話の筋としては転校してきた理由をうちの学校の剣術部が優秀なのでより良い環境での活動を希望したという事にする。そしてイツキは勉強のために隣街の優等生の集まる学校へ行ったということにする、いわいる交換留学ならぬ交換転校みたいな?』上手く言えたと自己満足した表情でいらっしゃる。

『私を呼んだのはなぜですか?』ハルが先生に聞く。

『それはイツキとずっと仲良くしているハルちゃんが事情を知らないのは不自然というものでしょ?』

『そうですね』

『納得したかな?』

『何で俺が剣術部であったことを知っているんですか?』不思議に思った事をそのまま聞いてみた。

『それはキミの保護者と仲良しだからデース!色々話は聞いたよ?』とても楽しそうに言うので、これは初日の事を知っているんだと直感して、恥ずかしくなる。

『ま、話はそこまでだ、近日中に剣術部に入部届けを出しておくように、ほら、いつまでも屋上にいたらダメでしょ、帰った帰った!』


 屋上を追い出されて、そのまま学校を後にした。

 剣術部懐かしい、部長のキノは元気にしているかな?と気になってしまう。少し楽しみになってくる。


 俺の新しいスクールライフはこれからだ。


読んでいただき、ありがとうございまあした。感想やレビューを書いていただけたら幸いです。辛口なものでもお願いします。

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