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真実への実り♂2

 26.真実への実り♂2



 お好み焼きパーティーが終わり帰ると先生と母さんそれとリンの三人で楽しそうに話していた。といってもバラバラな会話だった。

 リンはシノの良い所を楽しそうに話し、チーリ先生は昔の彼氏の事を話し、母さんは・・・イツキのことを話していた。

 なんかイラっとして先生とリンを無理やり家に帰した。

 部屋が今までにないほどに汚くなっている。仕方なくまず母さんを長椅子に寝かしておいて、片付けを始める。お皿はたくさん出ているし、テーブルにはマヨネーズやケチャップ、ソース、生クリーム、お酒などがこぼれている。何だこのカオスと化したテーブルは・・・。

 食器を台所に運んで、ゴミをまとめてテーブルを拭いて、床を掃いて、床を拭いて何とか元の状態に戻した。それから食器を洗い終えて、母さんをベットに運ぼうとして近づく。

『イツキ・・・あなた・・・ユウキ・・・皆で・・・ムニャムニャ』寝言かどんな夢を見ているんだろう、嬉しそうな寝顔だ。皆、その中に自分の名前が入っていて少しくすぐったいそれと同時にイツキのお父さんの事を考える。そういえば自分の本当の母親もどこかに・・・居るわけ無いか、確か事故で死んでしまったって親父言ってたもんな。



 翌日の朝もハルとツバキと一緒に登校した。昨日やったお好み焼きパーティーの事を話しながら向かっていると、できたら忘れたかったが、見覚えのある顔が正面に隠れもせずに立っていた。

『お久しぶり、ユウキ君で良いんですよね?少しお時間頂きたいのですが』そう言ってハルとツバキを見た。

『二人とも先に行っててくれ、すぐに追いつく』

『気遣いありがとうございます。元気そうで何より』

『えっと、確かバイオレンス・サンダーさんでしたかね?』

『どこぞのカードの事を言ってるんですか!俺たちはバイオレンス・ジェントルマンです』

『今日は一人なんだな?』

『ああ、基本一人行動が好きなんですよ、それに今日は平和的に話をしにきただけなんです。残念ですけど、仕事では仕方ありません』

『話って何なんだ?』

『私たちの雇い主に会ってもらえませんか?』

『俺を殺そうとした奴のところに行けってのか?冗談じゃない、怖くてそんな事出来るか』

『えーっ!それでは困ってしまうんですけどね、今回は無理やりって事も禁止されているので、大好きな暴力では解決できないんです』

『あ、そう話がそれだけなら、行かせて欲しいんだけど?学校に遅れてしまうし』

『待ってください、最後の手段が残されてるんですこちらには、ずばりボスからのお手紙です。これを渡せばきっと来てくれるって言ってました。どうぞ』

 手紙を手渡される。開いて読んでみる。

(はじめまして、ユウキ君、私は昔君の通っている高等学校の教頭をしていたものです。今は世の中を平和にするための組織の代表をしています。先日は手荒なまねをしてしまってごめんのぅ。まぁ色々な理由があっての事だ許してくれ。今回は君とゆっくり話したいんだけれど、その内容は君の本当の母親についてと君を元の世界に戻す事について、だ。どうだろう?興味あるよね?学校終わったらで良いから私の部下と一緒に来てくれ、待ってるよ)

『な、何だって?俺を元の世界に?それに母親の事ってどういうことだ?』

『知らないですよ?手紙の内容だって知らされてないんですから、とにかくどうなんですか?来てくれるんですか?』

『ああ、分かった。行くよ、学校が終わったらで良いか?』

『良いですよ、今日中に連れてこれれば問題ないそうですから、この場所でずっと待ってます、早く来て下さいね』

『ああ、考慮しておく、じゃあな』

『行ってらっしゃい』


 学校の授業の事は全く頭の中に入ってこなかった。考えていたのは、母親の事。思い出せない、全く記憶に無いのだから仕方が無いのだけれど、それをこっちの人が知っているってどういうことなんだ?まさか、母親もこっちの世界に?そういう事・・・だよな?

 とにかく話を聞くしかないだろう。気になる・・・。

『ユウキ!ちゃんと話を聞いてるのか?』気が付いたらチーリ先生が横にいて頭をチョップされた。

『痛い!何をするんですか』

『お前がボーっとしているからいけないんだろう?教わっている立場の人のやる気がないと教えてる人のやる気は一気に無くなるんだ。私の気持ちを考えてボーっとしろ!』

『すいません、気を付けます』確かに、チーリ先生の気持ちなんて今は考えてなかった。

『皆も、もっと私に優しくしなさい!教師命令です』

 まぁ何か変な事言い出したけど・・・昨日の婚活パーティーをまだ引き摺ってるとみた。

 はぁ、授業に集中って言ってもな、やっぱり考えちゃうよ。



 学校が終わり大事な用事があるということをシノに伝える。

『シノ今日はちょっと部活動に出れない』

『了解した、理由は何だ?』

『・・・会わないといけない人が居る』

『了解だ。勝手にしろ』

 冷たいな昨日の事怒ってるのかな?・・・いや最初からあんな感じだったな。最近ちょっと優しかっただけだ。いつも通り、か。

 それから、登校のときにバイオレンス・ジェントルマンと遭遇した場所まで行く事にした。それにしても長い呼称だなんか他の呼び方は無いものか。

『ありますよ?』

『うわ!いきなり話しかけるなよ、びっくりするだろ』っていうか心の中を読まれたのか?

 向かっている途中で横から声をかれられる。気づかれないとかどれだけ気配を消してんだよ。

『例えばですね、B・Jとか、あとは、私個人を呼びたいなら、シャープとでも呼んでください。もちろん本名じゃあないですけど、大体の人にはこれをオススメしています』

 それから、シャープと一緒にボスが居るという場所に行く事にした。

 少し距離を空けてついて行く、知り合いだとすら思われたくない。

 学校を通り過ぎ、橋を渡り、商店街を抜ける、その先にはもうこの間の時計塔と街の役所しかないはずだけど?やっぱり時計塔に実は隠された場所があってそこをアジトにしているんじゃないか?

『あ、私とユウキさんの出会いの場所ですよ!』

『嬉しそうに言うな、こっちは死ぬ思いをしたんだぞ』

 ってそっちに行かないのか?

『こっちですよ』

 ついて行くとそこは街役場だった。おいおいこんなところにあってたまるかよ。と思ったら正面の扉をぐるっと回って裏手に連れて行かれる。そこには扉があり、開けると地下に降りる階段が現れる。

 こんなところがあったのか?街の役場の下だぞ?

『これって認められているのか?』

『もちろんですよ、ここを作ったのが街役場の上層部らしいですからね』

 少し降りていくと、扉がありそこが開かれると部屋がある。テニスコート位の大きさの部屋に本がずらっと並んでいて少し薄暗い。

『待っていましたよユウキ』

『なんだ、どこに居るんだ?』姿が全く見えない、どこだ?

『ボス、ちゃんと椅子に座ってください』

『え?ああ、すまんな、よいしょっと』

『机から顔が生えた!』

 よく見ると、おじさんが机の向こうにある椅子に座っている。けれど顔と手しか机の上に出てきていない。何だこの生き物は。

『ちょっと待っていてくれ』そう言うと机の下に消えた。

 机の横から先程の顔をしたおじいさんが出てきた。小さい・・・それだけではなくてとても背中が曲がってしまっていて、余計に小さく見えてしまう。大丈夫なのか?

『はじめまして、私はボスという名前で、役職は特殊災害対策課課長をしているもんじゃ。もちろん公には出来ないけれど、ちゃんと認められた役職なんじゃよ』

『でも、ツバキの誘拐は納得できません』

『彼女には悪い事をした、心が痛んだよ、でも、このままだと世界のバランスが崩れてしまって厄災が降りかかって多くの人が死んでしまう、そんな事態になる前に解決したかった。まぁしかしちぃとばかし焦ったかもしれん、まぁ最後の手段にしておくとしよう、お主を殺すのはのう』

『まぁ、順を追って話すさ、そこに座ってくれ』

読んでいただき、ありがとうございまあした。感想やレビュー、評価を書いていただけたら幸いです。辛口なものでもお願いします。

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