4. もしかして・・・
私たちはショッピングモールへ着くなり宮野は
服屋へ私を引っ張っていった。
「なにっ?いきなり・・・」
「なにって?!服選んでるの!わかるでしょ?」
時計はもう11:30。お腹もすいてきた。
それでも宮野は私に様々な服を合わせては“ちがうかなぁ・・・”と直してゆく。
「明日、きていく服!選んどきなっ!」
「えぇ、なんで~別に普通で・・・」
「いいからっ!あと、仁崎さんの顔まっすぐに見てみな。
目を見るんだよ。まぁ、それは大丈夫だろうけど。」
私は人と話すとき、人と話していなくても人をじーっと見てしまう。
なぜかはわからない。でも、じーっと目を見てしまう。
話すときは癖で、もとから目を見るようになっている。
「こんな感じ?」
「うんうん、いいねぇ~決定っ!」
私は服を持たされて、更衣室へ放り込まれていた。
私のきた服は、少しおとなしい感じのワンピース。
夏らしい。
「少しかかとのあるのも選んできたよ。」
と、宮野はサンダルまで持ってきた。
「そのまま履いてみて。」
「う・・・うん。」
履いてみると、その“少し”の高さが私にはきつかった。
「もうちょっとかかとが低いものってない?」
さすがに歩いて足をくじくと大変だ。
「う~ん。じゃあ、こんな感じのは?」
履いてみた。これなら大丈夫。
「これにする。」
「よしっ!これでOK!じゃ、もう着替えていいよ。」
私は更衣室の中に入りもともと着てきた服を着る。
着替えが終わり、私が外に出ると宮野は自分のものを見ていた。
「あ、着替えた?じゃあ、買おうか。」
「えっ、いいよ。私のだし。」
いいの、いいの。宮野は私の手に待っていた服とサンダルを持とうとする。
「今年の誕生日プレゼントってことで。そろそろだしね。美代。」
私自身が忘れていた。そういえば、私もうすぐ誕生日だ。
「あ・・・ありがと~!宮野~」
「いやいや・・・」
宮野は少し恥ずかしそうにした。
「じゃ、宮野の誕生日プレゼントも買わないとね。」
「わっ私のはいいよ。」
「だめ。いつもお世話になってしまってるし・・・
こんなに買ってもらっちゃったんだから。」
宮野の誕生日は私の誕生日の1週間後。あまり離れていない。
「なにか好きなもの。言って?それか・・・私が選んじゃってもいい?」
大体の宮野の好みは知っているつもりだ。
それから私はいろんな店を見て回った。
「もう、12:30だよ。なにか食べない?」
「うん・・・」
ちょうどかばんや、財布などを手にとってみていた。
今日は決まらなそうな感じだった。
「何食べる?美代。」
そーだね・・・・なにがいいかな・・・
そう考えていた時に、今日店の中でいいお店があったのを思い出した。
「あそこはどう?食べ放題っ!」
「いいねぇ~」
今日はお財布の紐がゆるい。こんな日は
少し贅沢をしてみるのもいい。
「けってーい」
今度はその店に足を向ける。
「ここだね。」
「うん。」
「いいにおい・・・」
「うん。」
私たちは一旦店の前に立ち止まり、金額を確認する。
「時間無制限。2000円ちょっと安い?いや・・・高いかなぁ~」
「まぁ、今日は贅沢しちゃいましょっ!」
そのまま店に入った。
店員はすぐに来て、私たちを案内した。
「ごゆっくりどうぞ。」
まず、二人で飲み物を入れに行った。
私はカフェオレで、宮野はコーヒー
こんな時は、いつも。
いったん、席に戻って今度はお皿を持って食べ物を取りに行った。
和・洋・中・・・
様々なものが並べられている。
パン。ごはん。スープ。寿司。
私のお皿には、パンや肉、ほかにもピザなど、
組み合わせは全く考えないで皿に盛った。
私のほうが早く席に戻った。
宮野が来るのを待って、私はじっと皿を見ていた。
「あ、ごめん。先食べててくれても良かったのに。」
「大丈夫。宮野はどんなのとってきたの?」
宮野の皿を見るとなんとまぁバランスのいいこと!
「野菜がいっぱい。すご・・・」
私なんて好きなものいっぱい取ってきた~
というと、宮野は笑って美代らしいね。といった。
食べ放題は、すごく美味しかった。
「ふぅ~お腹いっぱい。」
「わたしも・・・」
私と宮野は最後のデザートを食べてもうお腹いっぱい。
会計は、私が持った。
「あんだけ買ってもらったんだもん。今日は私が払う。」
ちょっと無理矢理に宮野の反対を押し切った。
「・・・ありがと。」
「どういたしまして~」
「あ、宮野、私今度プレゼント渡すね!それまで秘密~」
宮野は、じゃ、楽しみにしとく。
と言って、店を出た。
もう、2:30、そろそろ帰ることにした。
「じゃあ、美代。あの漫画今日絶対読んでよ!あと・・・そういえば時間は・・・」
何時くらい?ときかれたので、大体の時間を言った。
「大体、2時くらい。電話するね。忘れてたら、2:30には電話して・・・」
忘れないようには努力します。
「OK。じゃあ、2時。」
「うん。また明日~」
ショッピングモールから少し離れたところにあり公園で
私たちは別れた。
手を振って、宮野は振り返る。
私はその少しあとに自分の帰り道についた。
歩いていると一人のせいかいろいろなことを考えていた。
小さな男の子とすれ違う。
家族で歩いている小さな女の子とすれ違う。
カップルとすれ違う。
私はすれ違うたびに、仁崎さんのことを考えた。
家に帰ってから、私は服の入った袋を開けてもう一度
着てみることにした。
「こんな服は初めて・・・かも」
あまり服に興味を持たなくて自分でこれかな・・・
と思ったものを買っていたから、宮野に選んでもらったのは嬉しかった。
明日。
これを着ていく。
「わすれないうちに・・・」
机にペンと、紙を置きメモを書く。
『明日午後2時宮野に電話。&昨日買った服を着ていく!』
さて、あれだけ言われていた漫画を読もうか。
カバンから貸してもらった漫画を取り出す。
「・・・優しいソラ。」
1巻で終わっている話らしい。
どんな話なのかな・・・
恋愛系の漫画もあまり見たことのない私は
あまり想像もせずに、本を開き
その中身に私は動揺させられた。
「もしかして・・・」
今回は挑戦じゃなくなってる・・・!
すみません。なんとか挑戦に向けて!!
・・・頑張ります。
恋愛ものだよ・・・・・ほんとに。