すりー。
高峰は、私と陽葵の超能力グループの主任である。
厳しいけど、私が6歳の頃に知り合った、数少ない人なのだ。
「ケイ、訓練するぞ」
そういう高峰の口調も、声も何もかも大ッ嫌いだからね・・・、
ま、少しだけ昔話をしたほうがいいのかもしれない。
私は4歳の時には微弱の超能力を持っていた。最初はB~Cの普通に生活するには支障のないレベルだったのだが、5歳の頃に同じ幼稚園で働いていた母親を殺された。
その時の記憶は曖昧だが、泣き狂った私は殺した相手を瀕死の状態にまでにしたらしい、気づいたときは怯えて震えるオトモダチだった。
「なんで怯えているの?」
「なんで泣いているの?」
怖いものを見るような、世界の終りを見ているような顔をしたトモダチはいう。
「この子はケイちゃんじゃない、ケイちゃんを返して」と。
その時、警察が来て幼稚園の先生は言う、「この子を連れて行って」と。
何をするのかもわからない、黒い制服を着た男の人たち。
先生、私に指を指して、どうするの?
目の前にした超能力は、ある一部の人が囁いた言葉によって私たちを苦しめた。
『この子は人間じゃない』
誰も味方がいない。それを幼い私は把握している、暗い暗い闇の中で。
黒い黒い部屋の中で、
何日も食べていないご飯。
汚れた白いワンピース。
誰もいない、お母さんの匂いだけ残った部屋。
ピンポンピンポンとうるさいチャイム音。
全てに嫌気がさした。
そんな時にドアの開いた音がやけに大きく、耳に届いた。
その時、既に保護されていた陽葵に出会った。
「汐谷ケイちゃんだね?」
そう言ったのは『タカミネ』と名乗った男の人だった、その横に居る自分と同じくらいの身長の可愛らしい男の子。
「僕は、ケイちゃんを助けに来たんだ。」
そう言っているタカミネは、少しだけ開いたカーテンのあいだから漏れるひかりで神々しくなっていて、カミサマを見ている気分だった。
「この陽葵も同じだよ。」
そう言うタカミネの言葉の意味はわからなかったけど、ひとつだけわかったことがあった。
「いいかい?ケイちゃんは一人じゃないんだよ、僕らみんなケイちゃんの仲間なんだよ」
「ナカマ?」
ナカマの意味がわからない私にはよくわからない言葉。
「トモダチ」
そう言った、タカミネの声に安心して、私は今生きている。
うん。