この部屋で
やめろやめろ、そんな奴。
女泣かせるなんてろくでも無えよ。
この人口多過の時代だってのに、何でお前はそんな奴を選らんじまうんだよ。
馬鹿だなあ。
布団に飛び込んだ昨日の夜から、彼女は泣き止まない。
早く泣き疲れて眠ればいいのに。
俺の大切な彼女はろくでも無い誰かの「ため」に泣く。
誰かの「せい」じゃない。
彼女がそうしたいからそうするのだと知っている。
でもせめて言ってやりたい。
お前に好きっていってもらえる奴は間違いなく幸せだよ、と。
どんなに伝えたくてもそれは無理ってもんだ。
俺は言葉を持たないから。
彼女に買われたあの日から、俺はずっと彼女の部屋にいる。
あんな奴より、俺の方がよっぽどお前のこと。
彼女はまだ泣き止まない。