表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バルモラ騎士団  作者: Rinchu
第一章 領主の憂慮と死の言葉
1/3

第0話 錆びた剣

グリル・カサドール卿は書斎の机に座り、眉をひそめながら手紙を読んでいた。


「もし、先日の宴であなたが私に伝えてくれた情報が事実であるならば……」

グリルは、手紙の文面を途切れ途切れに小声で読み上げる。

「……それに応じた措置を講ずる――」

彼の口元がわずかに歪み、顔に刻まれた皺が寄り集まった。


グリルは手紙を暖炉へと放り込んだ。重厚な羊皮紙は一瞬、炎を押さえつけるように見えたが、やがて縮み、反り返り、黒く変色し、最後には貪欲な炎に呑み込まれていった。


彼は立ち上がり、暖炉の上に掛けられた一枚の絵画へと視線を向けた。

甲冑に身を包んだ一人の騎士(エントンカフ)が丘の上に立ち、足元に広がる幾千の軍勢に向かって、一本の錆びた剣を振りかざしている。


この絵画は、三十六年前の「第二の厄災」の後、カサドール家の先代当主がこの場所に掲げたものだった。


「最初の厄災」の後、この世界――フカラ・ヌラは、(エタ)々と精霊(フカラ)の庇護、そして恩寵を失った

それから一八〇〇年以上が経った今も、人類は錆による毒を治療する術を思い出せずにいる。錆びた刃物で傷を負えば、いかなる者であれ必ず死に至るのだ。


ゆえに、幾多の戦火をくぐり抜けてきたウルマエト大陸では、錆びた剣は勇武と勝利の象徴とされていた。


その剣を掲げる騎士の鎧には、はっきりとカサドール家の紋章が刻まれている。

後ろ脚で立つ獅子(カタンカ)が一本の骨を咥え、その足元には深緑の蔓が絡み合っていた。


そのとき、広い回廊の向こうから足音が響いた。

恰幅のいい男が扉を押し開けて入ってくる。


「た、大変です! 閣下!」

男は蒼白な顔で叫んだ。

「たった今、使者から口頭の知らせが……カルガル公爵が人を派遣してくるとのことです……それに、あのバディオグ・リストも同行すると……」


「……何だと?」!

グリルは目を見開き、歯を食いしばった。

「あのしぶとい老いぼれが……」


「すぐにヌロン侯爵へ手紙を書かねばなりません! 伝書鳩の準備を! 万事抜かりなく進めねば!」

書斎へと戻りながら、グリルは拳を固く握りしめた。


「……ああ、錆びた剣よ。どうか、我に加護を。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ