迷子になった
●:うわ……
●:これは……
「ちょっ、お兄ちゃんどうなったの!?」
お兄ちゃんが光に包まれた瞬間、私の前でその姿が掻き消えてしまった。
●:テレポーターの罠に引っかかった
●:ダンジョンのどこかに、ランダム転移させられたと思われる
●:最悪、石の中に転移して即死する罠だぞ
そんな……。
「な、なんでこんなことに……?」
神様達が見ていたのに、いきなりこんなことになるなんてあるの?
そもそも即死級の罠は、もっとダンジョンの深いところじゃないと、出てこない……って。
●:あの罠、隠蔽の偽装がされていた
●:ごめんね
俺達ですら直前にならないと気付かないレベルの、巧妙さだったんだよ
●:そんなことができるのは、我々と同列の……
●:おい!
「神様と同列?
どういうことなんですか……?」
●:え~と……
●:神々の全てが、善性という訳では無いということだよ
●:邪神というか……君達風に言うと、アンチみたいな存在がいるかもしれないってことだ
そいつにお兄ちゃんが目をつけられた……ってこと?
「じゃあそのアンチから、誰かお兄ちゃんを助けてくれるんですか!?」
●:それができないんだよ
●:我々は、直接世界に対して介入してはいけないことになっているんだ
●:できることといえば、君達のような存在を介して、影響を与える程度だ
「でも、このダンジョンを作ったのは、神様の誰かなんでしょ!?
それにアンチは、直接お兄ちゃんを罠にはめたんじゃないんですか!?」
●:……ダンジョンを作ったのは、我々ではない
●:そいつは、神々の決まりを守らない
●:そもそも罠については、人間の協力者にやらせた可能性もあるから……
つまり私達が、自分で解決しなくちゃならないってこと……?
というか、ダンジョンを作るような存在が……しかも神様達の決まりを守らない存在が、この世界に介入しているってことだよね……?
もしかして、今後この世界そのものが、ダンジョンみたいにされてしまう可能性もあるの……?
だとしても、それは神様達が直接対処することはできないみたい……。
それならば、どうすればいいのか……。
「もしかしてお兄ちゃんに、そのアンチの対処をさせるのが、この配信企画の本当の目的なんですか……?」
●:それは……
●レナ:お兄さんが強くなれば、将来的にはそれを依頼することも考えていました
何事も無ければ、このままの生活を送ってもらうつもりでしたが、そうもいかなくなってしまったようです
ごめんなさい
「やっぱり……!!」
こんなやり方は気に入らない。
だけどこれのおかげで私達兄妹は生き返ったのだから、強く文句も言えなかった
それよりも今は、お兄ちゃんを助けることが最優先だ。
「お兄ちゃんがどの辺にいるのか、それだけでも分からないのですか?」
ダンジョンの中では、スマホも使えないから、通話やメールで安否確認をすることすらできない。
でも、神様達のスキルなら──。
●:妨害されているのか、ちょっと分からない……
●:「念話」で呼びかけても、通じないし……
●レナ:一応、死亡すればあなた達の部屋で復活する術式を仕掛けていますが……
「くっ……」
この状況だと、復活も確実に働くとは思えない。
お兄ちゃんが生きたまま、どこかに閉じ込められて出られなくさせられることだってあり得る。
それ以前に、お兄ちゃんには死んでほしくないよ……。
色々と痛くて苦しい思いをするんだろうし、復活できるから死んでもいいという話にはならないんだ。
こうなったら──、
「探索者協会に、捜索願を出します」
悔しいけど、茲富さんのコネをフル活用させてもらおう。
「う……?」
気が付くと俺は、ダンジョンの床の上に転がっていた。
気を失っていたのは、数分程度だろうか?
ダンジョンで長時間気絶していたら、とっくの昔に魔物の餌になっているはずだし。
周囲には誰もいない。
水杜とも、完全に引き離されてしまったようだ。
「転移トラップに引っかかった……?」
直前の神々の反応からしても、そうだと思う。
おそらくここから出口まで辿り着くことは、簡単ではないだろう。
しかもゴブリンなんかよりも強力な魔物が、周囲に徘徊している可能性がある。
「……よし、覚悟を決めるか」
今あるポイントの全てを使ってでも、必要なスキルを手に入れた方がいいな。
出し惜しみをして死んでしまったら、ポイントの借金が増えるだけだ。
とにかく今は、生還することだけを考える!
あれ……なんかポイントがかなり増えてる……。
昨日俺が寝ている間に、水杜が何かやった……?
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本物の化石が当たるガシャポンを何度やっても、モササウルスの歯とゴニアタイトが出ない。小さなアンモナイトとサメの歯ばかりが増えていく……。




