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謎の粉末


 民間旅客機のパイロットである日下部悠斗を『笑門来福⤴吉日』に戻すには、いまの会社を退職させなければならない。が、飯倉はそこは慎重だった。

「無理はさせられまい」

「彼抜きでやりますか?」

「とりあえず5人で進めたいな」

「雅樹はいまの事務所をたたんで持っている仕事を片付けるのに半年は欲しいと言ってます。MC業を降りるつもりでしょう。アイドルに専念するために」

「拓海も似たようなことを言ってる」

「すると、5人で再始動するには早くても半年先ということですね? 詩郎たちにはこのことは?」

「もう話してある」

「慎之介はどうでしたか?」

「みんながそれで同意するならと」

¬「大人になりましたね」

「究極を目指したいんだろ、あいつも」

 梶が頷く。

「さあて、いくか」

 よっこらしょと言って飯倉が立ち上がる。額の汗に加え、その顔も少し青ざめている。心配そうに眺めながら、梶も湯呑みを置いて立ち上がる。背広から財布を取り出す。お代を支払い、二人は店を出た。空は晴れている。だが、飯倉の影だけなぜか色を失って落ち着かない。

 彼等が出た後、座っていたテーブルを店の女の子が片付けにやってくる。外国籍っぽいその女の子が飯倉の食べ残した親子丼を見てニヤリと笑う。

(may has reached a lethal dose -致死量には達しているはず-)

 短期バイトの彼女の囁きを拾う者は誰もいない。彼女のポケットに隠された謎の粉末の正体を知る者がいないのと同様に。



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