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あの似非アイドルグループは絶対に復活させちゃなんねえ


 曽我の計画は鶴岡を介して政界を引退した緒沢謙次郎を動かすことだった。引退したとはいえ、緒沢の政界と放送事業への影響力はまだまだ強大で、彼をその気にさせることで、民政党に吉岡と笑原を獲り込んでもらうのが曽我の企みだった。無論その本当の目的は、『笑門来福⤴吉日』再結成を阻止することである。そのためには水面下で鶴岡に働いてもらう必要があった。緒沢から民政党の選挙対策本部に圧をかけてもらうよう。併せて、吉岡と笑原が逃げないようNHCの会長立石健三にも手を回すよう。その謝礼は鶴岡には十分に渡してある。曽我は鶴岡と謀ってこの計画を隠密裏に進めていた。そこにさらに元アナウンサー朝比奈莉夢もNHCに潜り込ませ、立石の動向を探らせていた。

「これであの浮かれた時代への回帰は防げるな」

 しかし鶴岡はこれを素直に肯定しなかった。

「だったらいいんですがね」

「なんだなんだ、不景気なこというじゃねえか、え、鶴ちゃん」

 鶴岡は慎重だった。

「気になることがありましてね」

「気になること?」

 鶴岡の言葉に、曽我は不図嫌な予感が頭をよぎった。それは以前使った闇ブローカーのことである。『HAPPY DAYS 100⤴』を追い詰めるために使った組織が、今度は曽我たちを揺すり始めてきたからである。蛇の道は蛇。闇ブローカーは曽我たちの奸謀を知り、それを飯の種にしようと企み始めた。黙っていて欲しければ保全金を払えと。つまり口止め料である。しかし曽我はこれを無視し続けていた。だが、鶴岡の言った気になることとはそのことではなかった。

「飯倉たちと(つる)んで吉岡と笑原を奪おうとしている者がいるみたいで・・・」

 それならば闇ブローカーではない。曽我は少し安堵した。

「誰だ、その連んでいる奴とは?」

「田能村っていうんですが」

「知ってるぞ、田能村なら。NHCのプロデューサーじゃないか」

「いまは芸能事務所を営んでいますがね」

「ああ、それも知っている。しかし、なんでNHCを辞めた奴が飯倉と連む?」

「合うんでしょ、飯倉と考えが。聞けば、田能村、金に動かされている放送事業が嫌で出たとか」

「なにをキレイごとを! その象徴が『笑門来福⤴吉日』だったじゃないか。あの馬鹿げたグループを復活させたいのか、奴らは!」

 曽我の怒りを鎮めようと鶴岡は執りなした。

「ご安心ください。うちが渡しませんから」

「頼むぜ、鶴ちゃん、あいつらだけは絶対に復活させちゃなんねえんだ!」




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