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不良の方がよっぽど扱いやすい


 トップアイドルに昇り詰めた奢りが赤星を麻痺させていた。

「困るんじゃないですか? 『テイクプレジャー』に続いて俺たちまで解散したら、事務所は」

 この時、赤星駿太19歳。すでに大人を揺さぶる(すべ)を知っていた。

「なんだったら、俺だけ抜けてもいいですけど、あとの連中でやっていけますかねえ・・・」

(この野郎〜)

 飯倉は19歳の若造を睨みつける。だが、相手は自分の価値を(かさ)に大人を舐めてかかっていた。

「わかりました。俺、ラバーズ辞めます。でも、もし社長にどうしても残ってくれって言われたら、お互い辛いので、マネージャー変えてくれって言いますね」

(そうじゃないんだ、駿太・・・俺に向けても仕方がないんだ)

 飯倉はこの若者が心配になった。マッキーの二の舞になるんじゃないかと。だが、こうなった若者にどんな言葉を掛けても改心させてやれないことを飯倉は過去の苦い経験からわかっていた。本人が痛い思いをしない限り。飯倉は心で呟く。

麻疹(はしか)だな、アイドルの。マネージャーがいくら頑張ったところで、罹らんことには免疫はできん・・・)


 赤星駿太はラバーズ事務所を退所した。海堂丈太郎とメイコはそんな赤星を引き留めなかった。二人を前に、赤星がラバーズとの個人契約改定を申し出て、報酬の9割を自分に寄越せと要求したからである。丈太郎は激昂し、その場で赤星に契約打ち切りを申し渡した。そしてマッキーに告げたのと同じセリフを赤星に浴びせかけた。

「日本で同じ仕事はもう二度とできんぞ、覚えておけ!」

 赤星は嘲るように言って席を立った。

「覚えておきま〜す」

 同席していた飯倉は思った。

(不良の方がよっぽど扱いやすい)


 この日をもって『エクストラパラダイス』は解散。赤星駿太が芸能界に戻ってくることは二度となかった。なお、『エクストラパラダイス』のバックで当時踊っていたジュニアの吉岡雅樹、笑原拓海、來嶋詩郎、福田剛士、門川慎之介、日下部悠斗の6人は『エクストラパラダイス』解散のあと急遽、海堂丈太郎から呼び集められ、『笑門来福(しょうもんらいふく)吉日(ヨッシャー)』の結成を告げられたのであった。




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