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話が違うだろ!


 深夜零時を回ったラバーズ事務所。アイドルの卵たちは夜半のレッスンも欠かさない。トップアイドルグループ『笑門来福⤴吉日』解散後、ポスト『笑門来福⤴吉日』を狙って次々と新たなグループがここラバーズ事務所から生まれていた。純真な彼らは誰よりもたくさんスポットライトを浴びることを願い、日夜厳しいレッスンを続けている。かつての『笑門来福⤴吉日』がそうであったように。

 その夢見る少年たちの頭上では彼らをマネジメントしているエギュゼクティブたちが悪巧みを画策していた。

「彼から連絡があったわ」

 海堂メイコが兄である社長の海堂丈太郎に呟く。この部屋には二人の他誰もいない。

「あの件か?」

「ええ、そうよ」

 彼とは民政党代議士緒沢謙次郎の私設秘書鶴岡のことである。

「検察庁がうちからのルートに本腰入れ始めたって」

 聞き耳を立てられていないかと思い、丈太郎は気が気でない。

「声が大きい」

 メイコはぐるりと部屋を見渡してから言った。

「兄さん、ここは大丈夫よ」

 この部屋は音漏れも通信傍受もないことを確認している。

「誰が検分した?」

 メイコは自信ありげに言った。

「Q3が」

「なら間違いはないな」

 その隠語は社内警護を意味する。Q3とは機密情報を守る役割の人間のことで、ラバーズ事務所お抱えの元公安調査庁の役人である。国家の機密管理を任されていた最高レベルの警護人を雇えるほどにラバーズ事務所は潤いまた政治と癒着していた。

 そこでようやく丈太郎は安心して癒着元を口にする。

「緒沢側からはなんと?」

 メイコは顔を曇らせた。

「あの話は次の機会に回して欲しいと」

「話が違うだろ!」



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