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国民的アイドルグループの解散が確定した日


 そこへ詩郎が慎之介を援護する。

「僕たち、独立して自分らで事務所作ろうって話し合ってるんです」

 詩郎は慎之介と剛士の表情を伺い一緒に頷いた。

「事務所を出て、次のステップに進みたいんです」

 丈太郎が詩郎を睨んで言う。

「できると思ってるのか?」

 恫喝だった。ラバーズ事務所には退所したタレントへの制裁がある。自分たちを裏切ったタレントには徹底して芸能活動を邪魔する。ラバーズ事務所の威光を翳し、各テレビ局に裏切り者の起用をやめさせる。起用しようものならラバーズタレントをそのテレビ局に出さない。それはテレビ局側にとっても大きな痛手だった。よって、ラバーズの裏切り者が芸能界で活動できなくなるのはこの世界では必定だった。

 それを慎之介も詩郎も剛士も知らないわけではない。だが、彼らは賭けてみたいと思った。

 ここで初めて日下部悠斗が発言した。

「関係ないっす」

 メンバーが悠斗を見る。

「俺、どっちみち辞めるんで、芸能界」

 丈太郎は悠斗に訊ねる。

「芸能界を辞める?」

「はい。ずっと考えてました」

「なにをするつもりだ?」

「パイロットになりたいんです」

「愚かな・・・」

「でも、もう決めたんで」

 丈太郎はメンバー全員を眺めてから最後にこう言った。

「出ていくやつは勝手に出てけ! だがな、俺の目が黒いうちはこの世界で飯はぜったい食わせん」

 国民的アイドルグループの解散が確定した日だった。



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