7話 出会い その7
「どうするの?アノ君本気で忘れてるんじゃない?」
「じゃあ俺が行ってくるよ」
俺が席を立ち訊きに行こうとするとアミは俺の肩に手をかける。
「どこ行こうっていうの?」
「いや、アノのとこだが?」
アミは勢いよく俺の肩を強く引っ張り振り向かされる。
「シュン君があんな濁った場所に行ったら人生ダメダメになるよ!」
「お前あそこを無法地帯かなんかと誤解してないか?」
アミはプイっとそっぽを向く。
「だって、シュン君が女の子に囲まれている姿なんてこれっぽっちも、これっぽっちも見たくないんだから」
「あぁ、はいはい」
つっぱったら何されるか分からないのでここは身を引いて席に座る。
「でもどうしようっか?早めに文芸部の事は知っておきたいし、文芸部に行ってみる?」
「アノが行かないなら行かないっていう展開になるって思ってたわ」
「面倒くさそうな顔してたね」
「だってさぁ、ソシャゲとかのリーク見てからガチャとかどうしようかって決めるじゃん?それと同じで誰が何をしているのか知ってから行ってみたいじゃん?」
「安心したいと?」
端的にまとまれて共感を求めようとした自分がばかばかしく思えてくる。
「偏見だけど、文芸部って文化部なわけだろ?なんかパッとしないっていうか、なんて言うか、その」
「出会いを求めてるの?」
うん。
「仮入部だとしてもその部活の人たちと知り合いになってしまうだろ。そうでもない人と知り合いになるのはちょっとね」
その子と遊んでいると後々アミがその子に何するか分からないからな。
「あっ、あの、すみません、文芸部に入るんですか?」
後ろから透き通ったような声が聞こえて後ろを振り向く。
そこにはロングな髪をたなびかせ茶髪なのにどことなく大人っぽさを醸し出している何人かに来たら全員が美少女と答えるであろう容姿が立っていた。
「え、えっと、そうですね。・・・あの、どちら様ですか?」
「あ、私は1年の柏原ユリです。私も文芸部に入ろうかなって思ってたんですけど、一人だとアレなので、良かったら一緒に体験入部に行きませんか?」
「俺は、いいけど」
何かしらいやな雰囲気を感じてしまい恐る恐るアミの方を向き顔色を確認するが、
「私も、別にいいけど?」
思ってたのと違かったわ。
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