1話 出会い その1
「あ~、もう帰りて」
足取りが重いまま通学路を歩く。
入学して半月。
中学を卒業して、俺は地元の学園に進学し、わけあって今は弟と二人暮らし。
友達と呼べる存在は何人かできてクラスの雰囲気にやっとなじめてきた頃、部活の勧誘合戦が始まっていた。
この学園はそれなりの進学校であり、文武両道を掲げている学校でもある。
周りには規則正しく田んぼが並んでおり、学園の近くには山や木々が多い茂っており自然が感じれる場所となっている。
生徒は基本的に何かの部活や同好会に所属しなければならない規則となっている。
まあ、何かしらの部活に所属していた方が面接や作文、小論文を書くときに有利になるからいいけど、あまりきつい部活には入りたくないなと思いつつ校門をくぐっていく。
校門をくぐった先には部活の勧誘合戦が行われていた。
「こんにちわ!サッカー部ですっ!僕たちと一緒に芝生の上で青春の汗を流しませんか?ぜひ入ってください!よろしくお願いしますっ!」
「こんにちは!競輪部ですっ!足腰鍛えてますね!ふっ、ふふっ、そういう人はぜひ私達の部に入った方がいいですよ!あっ、待って!せめてビラだけでも!」
「柔道部です!私達と一緒に恋の固め技をしませんか?格闘技をしていると自然にモテますよ!絶対モテますから!」
少し歩いただけで色々な部から勧誘される。
所々詐欺みたいな感じで勧誘してくるため「あっ、どうも~、どうも~」と流しつつ、そそくさとその場を立ち去る。
正直言ってあまり運動部に入ろうとは思ってもいない。
別に運動が苦手だから入りたくないということではない、むしろ運動は得意な方だと思う。
言ってしまうと、二人暮らしで家事分担はしてるもののそれなりには大変であるため疲れている状態での家事は本当にきついであろう。
つまり、楽したい。
その条件で考えると、帰宅部あたりが妥当だと考えるがあいにくこの学園には存在しない。
中学生の時にこの学園の部活動は一通り名前だけ見て覚えているが未だにどこの部活に所属しようか決まっていない。
メジャーなとこで運動部だとさっきの勧誘された部活と陸上部や水泳部。
文化部だと吹奏楽、新聞部がある。
このメジャーというのは、ただ単に有名であることを指す。
ただ、メジャーだといろいろきつくなるということは分かりきったことであるため俺は日頃の生活に支障が出ない範囲の部活に入りたい。
「あっ、シュンくぅ~ん!!」
考え事をしていると後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
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