14話 アイツとアイツが合体して・・・、 その3
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「あれ?誰もいね」
俺は目を覚ましたところで周りを見渡しながら立ち上がる。
教室には誰もいなく靴の音が響く。
窓の近くによって外を確認すると部活をしているであろう生徒がいた。本当に物語の世界に入っているのか半信半疑になる。
物語に入ってるはずだったら合体した奴らが来るはずだから窓際で待っていると廊下からこの教室へと向かってくる足音が近づいてくる。
「入るよ」
ドアのノック音と共に透き通った声が聞こえてくる。
あの原稿に書いたことと一致しており少し混乱しそうになるが深呼吸をして冷静さを取り戻そうとする。
ドアが開かれ入ってきたのは、どことなくユリとアミの面影がある一人の美少女だった。
するとその子を見た途端、胸の心拍数が速くなっていく。
知らない女の子にここまで胸の高まりが抑えられない自分が怖くなってきて、机に頭突きをする。
「え?!急に何やってんの?!」
彼女は心配そうにこちらを見つめてくる。
「君はユリとアミの合体したやつだよね?」
すると、彼女は不思議そうに首を傾げ、
「何言ってるの?ユミだけど」
頭の中が混乱してくる。
「なんちゃって、私はユリとアミだよ」
そういえばこいつらはこういう奴らだったことを思い出しムカついてしまう。
「まあ、ここでの私はユリでもアミでもない・・・、私はキサマを振るものだ!!」
どいつもこいつも。
「どうしたの?急に」
「えぇと」
さっきまで普通に会話をしていたはずなのだが、体の自由が効かなくなり、口が勝手に動いてしまい、それと同時に胸の鼓動が激しくなり緊張してくる。
「話があるんだ!」
「じっ、実は私も話があるんだ。とても大切な事」
「ユミ・・・・・・、もしかして」
待って、今から俺は振られるのか?知ってて振られるのか?
「実はね、1週間前からケン君と付き合ってるんだ、アハッ」
知っていたけどすんごい落ち込む。
「え?」
彼女はニコやかな笑みを崩さずに話を続ける。
「今日も、これからデートなんだよね。緊張で心臓ドクドクいって胸がはち切れそうだわ!」
無垢な笑顔で話を続けるが頭に全然入ってこない。
「私何かおかしいとこ無いわよね?」
ユミは前のめりになって胸を押し付けてくる。
わざとやっているのは分かっているつもりだが、それでも胸の心拍数は下がらない。いやこんな事されているんだから普通は上がっていくものか。
「そっかそっか。シュンがそう言うんなら何にも問題ないわね」
そういって、ユミは俺の方に距離を詰めたまま、ネクタイをぐいっと引っ張られる。
「え?」
ユミの唇が俺の唇へと押し付けられる。
一瞬の感触。
視界にはユミの顔が全てを塞ぎ、そして少しずつ離れていく。
「では、シュンさん。私はケン君のとこに出陣致します。できれば最後の最後まで行ってみたいと考えております!」
え?キス?
「本当に・・・・・・、好きなんだな」
急な事に言葉が辿々しくなってしまう。
「うん!この世で一番好き。ケン君がいれば何だってできそうなの!」
「そっか」
唇を押し付けられた箇所を手で確認して、キスをしたことを改めて理解する。
「早くシュンも本命の子に告っちゃいなよ!恋ってホントスゴイから!」
「ユミも絶対ケンの事離すなよ。最後まで頑張れよ」
彼女の去っていく後ろ姿を見て涙がこぼれてくる。
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