プロローグ 日常会話
放課後、俺は文芸部へやり残した用事をするために足を運んだ。
「うい~」
俺はやる気があるのかないかの中間の声でノックをして文芸部に入ると、一人の美少女が座ってパソコンを慣れた手つきでいじっていた。
彼女はユリ。
同学年で、長身であり、出るところは出て締まっているところは締まっており、茶髪ロングのサラサラと流れる髪質がどことなく大人っぽさを漂わせている。
すると、彼女はこちらに気づき何かをたくらむような目でにちゃにちゃと見てきた。
この時の表情は、何かろくでもないことを考えていると脳が一瞬で理解した。
「よお、よぅ、今文芸部のサイトにいいもん書いてるんだけど見てくかい~?いや、見ない理由なんてないよなぁ?」
「あ~ん?おめえの書く物はどうせしょうもないんだろ?いいわ」
「え~、別にいいじゃない。でなきゃ、私の着替えばったりイベントを消化したことを部活のみんなに言いふらすよぉ~?」
「うっわ、そういうことすんのか」
このままだと本気で言いふらしてしまいそうなので恐る恐る見ることにした。
◇◇◇
「え…?いきなrお!♡おぉ…♡♡イっ!♡」
彼はいきなり抱きつき〇〇の中に〇〇〇を〇れてきた。
「だっ、ダメだよっ♡こんな所でぇ…♡んあっ♡」
「大丈夫だよ、こんな所に人なんて来ないし…、ましてやこんな時間帯にね?」
遠藤君に「放課後、体育館の倉庫に来てくれないか?」と言われ、特に用もないから来ることにしたがこんなことになろうとは思ってもみなかった。
「今日はほとんどの部活は休みだし、先生の見回りも19時くらいにしか来ないからそれまで君の体しっかりと見させてもらうよ?」
「んっ♡そっ、そんなのっ♡ダメだよ♡お…♡」
「君が悪いんだよ!そんな体して焦らしてくるんだからっ!」
「まっ、待って、んっ♡そんなの身に覚えないよっ♡」
「君の事、入学した時からずっと好きだったんだ!」
「待ってぇ♡」
〇の動きが激しくなる。頭が真っ白になっていく。
「僕の愛、全部受け止めてねっ!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!♡」
〇〇の中に入っているものが体のすべてを敏感にしてしまい、気持ちよくて何も考えられなくなってしまう。
「ハァ、ハァ、……愛しているよ、シュン君」
◇◇◇
「てな感じでどうよ?」
ユリは、自信満々の表情を浮かべ俺に感想を求めてくる。
「俺以外に誰もいなくてよかったなとだけは言えるね」
「あっ、やっぱり兄弟の禁断の恋愛のほうがよかった?私は、これにベッドインを加えようと思っているんだけど?―――」
俺の言葉を無視して話は勝手に進んでいく。
これ以上話が進んでしまうと吐いてしまいそうだ。
俺自身普通にBLを見ているとを見ていると気持ち悪くなってしまうが、ギャグ視点に切り替えることにより「何やってんだこいつら、ハッハッハ!」と笑いながら流せるが自分の名前が入っている以上その視点で見ることが不可能になってしまう。
「あのなぁ、文芸部のサイトにR18のBLを載せているとみんなにドン引きされちまうよ。あと、俺の名前を出すな!もう一人の自分を見ているようで悲しくなってくる」
「何よ、シュン。文芸部のサイトを開設したのにアクセス数が伸びないから書いてあげてんじゃない。あと、R18じゃないわ」
「は?何言ってんだよ。思いっきり放送禁止用語使いそうなとこを〇でごまかしてんじゃんか」
「あのねシュン、これは想像を豊かにさせる文章なんですよ」
「ん?」
「例えば、『彼はいきなり抱きつき〇〇の中に〇〇〇を〇れてきた』ていう文章があったじゃん?」
「んあ」
「頭がピンクな人はHになるけど通常な人は『彼はいきなり抱きつきふくの中におててを入れてきた』になるの。つまり、男がくすぐってただけ」
俺は自分の失態にようやく気が付き廊下に声が聞こえるくらいに頭を抱えて叫ぶ。
「やっぱ、シュンの頭の中ってそうなってるんだ。これだから童貞から抜け出せないんじゃないのかしら?」
またにちゃにちゃした表情を浮かべ小馬鹿にしながら見てくる。
「童貞言うな。でもよ、おててはなくね?こんなのほとんどの人引っかかるだろ」
苦し紛れに反論をする。
「確かに、さっき考えたことだから自分でも言っててそれは無いなと思ったわ。キリッ」
「キリッ、じゃねーわ!俺の純情な心を弄ぶな!」
「じゅっ、ふっ、純情な心って、ふっ、なんだよ、ふっ…、シュンには3分の1の純情な感情もないだろ~!アハハハハハッ!」
めっちゃくちゃ笑われ心のHPが少し削れる。
「あっ、シュンがシュンってなったぁ~!アハハハハハハッ!」
HPの50%の割合ダメージが来る。
「そういえばなんでアクセス数上げようとしてんだよ。別に今のままでいいだろ」
脱線していた話題を元に戻そうと赤らめていた顔をポーカーフェイスにして訊く。
「だってぇ、この学園の文芸部の名を世に知らしめればみんなの目が尊敬のまなざしに変わって文芸部もまともなのが増えてお小遣いUPも夢じゃないって思ったんだから仕方なくない?」
「いやいや、こんなもん載せてみんなの目が変わるんだったら苦労しねーわ!」
ユリがカタカタと動かしていたノートパソコンを取り上げる。
「『ユリの福音書3章1節』あなた方の中で罪を犯そうとしている者がいたら全力で阻止しなさい」
ユリはノートパソコンを取り上げられてしまったことに腹を立ててしまったのか机の上に置いてあった文房具を全力投球してくる。
俺はそれを鮮やかな身のこなしで華麗にかわし、ユリの書いたBLを削除する。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!何すんのよぉ!!!」
「いいか?俺はお前の事を思ってやってるんだわ」
本当は、自分の事だけを思ってやっていることだけなんだけどな。
「まぁ、いいわ。そんなこともあろうかと先にプロローグはアップしておいたから」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!!」
俺はすぐさまそっちのほうを消そうとするがアクセス数のカウンターに目を奪われてしまう。
「アクセス数2万!?」
「ねぇ?すごいでしょ!」
ユリは再び自信満々の表情で俺を見てくる。
「なんでプロローグだけでこんなアクセス数が増えんだよ」
「この世はBLに飢えてるのだよ。本当は、お前もそうなんじゃないのかね?ん?」
「俺の反応を見てそれを言えるとはな」
「私は女同士でもいけるけど?」
「聞いてない聞いてない」
俺はため息をしながら自分の席に腰を落ち着かせる。
「そういえば『シュンは何しに文芸部へ?』」
「あっ」
ユリのせいで色々忘れていたけど用事があることを思い出した。
「そうだよ、俺は」
「待て、皆まで言うな。分かってる。分かってるから。私の体を求めてきたんでしょ?いや~ん、エッチ」
「確かに他の女なんて目に入らない、お前が俺の運命の相手だったんだ。これからは、お前だけを見てやるよ」
「うわ~、エッチ(変態)」
「引くな!ノれよ!ノって来いよ!」
俺が決め顔で決め台詞を言ったのにもかかわらずユリはジト目で身を離している。
「んで?結局なんなの?」
「今落としている女をまだ落とし切れていないからな今日中に落としたいだけよ」
そういって俺はこの部屋の隅にあるPCの方へ移動しギャルゲーを起動させる。
「またそれをやるんですか」
ユリは汚物を見るような表情をしながら温かい紅茶を注ぐ。
「ふっ、男にはやらねばならない時があんのさ」
「そのゲーム4角関係になんじゃん。その上バッドエンドしかないんじゃなかったっけ?」
「お前ぇ…、勝手にやるのはいいけどネタバレすんのはやめてくれ」
「素人童貞にはお似合いかな?」
気分が悪くなってしまったので温かい紅茶でほっと一息つくことにする。
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