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能力アフター  作者: 佐藤同じ
52/55

能力アフター05話015

投稿します。

横殴りに叩きつける雨風が、川崎側の潮の強風を運ぶ。

真昼のように明るい、ポロイダル磁場コイル巻線建屋、その前の冷凍機建屋、そして、計測建屋の前に立つ、あらた達が見える。

彼我の距離は400メートル。

身を隠す素振りは無い。


油断なく目配りをしながら、しんの隣に近づく那智。

「あんた、、、、本気で、戦うつもり?」

少年は気づかないが、ケンのある言い方の割に、微妙に心配そうだ。


「たりめーだろ!打ち合わせどーりだ!」

自信満々に胸を張る、白衣の少年。

「お前はヒョロ長ノッポ!しずくは、水使いの赤ジャケの女だ!」

「ハ、ハイ!」

那智の隣のしずくが裏返った声で、答える。なんか、頼りない。

「で、オレがあのハゲだ!」

ニタリと笑う。


(調子に乗って、、、)

 コイツは、姉のサポートによって、高速戦闘にある程度対応できる様になっている。とはいえ、それで何とかなる相手じゃない。

「紫煙が負けたんだよ。並の相手じゃないってわかってる?」

「だからな、紫煙としずくを殺したかもしれん相手だ。オレが許すと思ってんのか。」

目が据わってしまっている。


『はぁ?なんだそりゃ!頼んでねーーよ!』

しずくの頭の中で、紫煙がわめく。

(珍しい。紫煙ちゃんが照れてる、、、、)

彼女の感情の奥の戸惑いを読み取って、フヨフヨと笑う、しずく。

『何かおかしい?しず姉!!』

「なんでもないよ〜〜」

楽しそうだ。


少年の様子を見て、これは、あかん。とあきらめる那智。

「いーけどさ。でも、智由姉だって、死んだら、生き返らせらンないんだよ。」

「ウッセーーーーよ!お前こそ、へまんなよ!むこーの最大戦力が相手だ!」


やれやれと、彼から少し離れる那智。

「ヘイヘイ。わかってるって。」

彼の向こうの、リンと智由を見る。

「リン、智由姉、コイツのこと、頼んだよ。」

無言で頷く、リン。

「アンタも、気をつけて。」

踏ん切りを付けて、智由がうなずく。

もう、ここに居る皆でなんとかするしか無い。


「まかせ、、、、」


グワゴッッガアアアア、


那智が言い終わる前に、辺り一面に、凄まじい爆発が起こった。

「ドヒャアーーーー!なんだ!なんだ!」

白衣の少年が派手にすっ転ぶ。

周りの駐車場の車が、破壊され、ひっくり返り、散乱している。

あらたの爆裂だろうか?

しん達、5人の周辺の地はえぐれ、街灯は、へし折れ、倒れた車が、けたたましいセキュリティーアラートを鳴らす。


「ほぉ、、、」

関心したような、ジノ

「あらあら。」

楽しそうな、エイダ。

「反応する、、、か。」

無表情に、あらた。


「会長ーーーー!あんた!ちょっとせこいよ!!」

煙の向こうの方で、ライトブラウンのセミロングの少女がわめいている。


今のは、あらたの炎、不知火の奇襲による、包囲攻撃だった。

しん達5人を囲む、かなりの範囲、数の飽和攻撃だったはずだ。

それが、ことごとく防がれていた。

那智が、炎で相殺したのだ。

咄嗟の反応速度もさるものながら、不知火の性質上、一発の迎撃ではすり抜ける可能性がある。

つまり、彼女は、同時展開で、2発以上の爆裂を持ってそれぞれの不知火に対応したわけだ。

背筋が凍るような、桁違いの能力だった。

アジア最強を冠するのは、伊達ではないらしい。


「せっかちな男は、モテないよ!」


グワアアアアッ、


那智の周囲に、炎のリングが2つ、交差するように、発生した。

どうやら、炎の盾の高機動タイプらしい。高速回転し、直径も変化し、攻防を兼ねる使い勝手のいい形態のようだ。

「も、、、モテないのか!」

後ろでひっくり返っている、少年が、どーでもいい事に突っ込んでくる。

集中してるのだから、少し黙ってて欲しい。


向こうで、長身のあらたが、ヒョイと上を指差し、トントンと空に階段がある様に上空に登っていく。

よく見ると、彼の足の下に、赤い炎がゆらめいている。

あらたが、那智に匹敵するか、それ以上の力を持っているのなら、二人の戦いは周囲に壊滅的な余波をもたらす。

ここから、距離を取りたいのだろう。

それはいいが、余裕しゃくしゃくなのが、気に入らない。

「じょーとーじゃん。」

ゴオ、

身体のあちこちから、炎を噴き上げて飛翔を開始する、少女。


「さて、しずくちゃん。私達も、移動しよーか。」

ゴオオオオ、

風を集めて、嵐の上空に、舞い上がるエイダ レスター。


「しずく!」

尻もちをついたままのしん。

「行ってくる!」

その横顔には、強い決意しか見えない。いつもの気弱な少女は、そこに居なかった。

風を巻いて天翔ける少女。そして、凶悪なサイコパス。


二人の戦場は、激しく波濤砕ける荒波の嵐の海原だ。

豪雨の中、間欠的に走る稲妻の光が、二人を照らす。

「さぁ、遊ぼう。お嬢ちゃん。」

エイダが笑う。

「はああっ!」

集中するしずく。

風雨が激しさを増していく。


「チーセンセー!リン!」

跳ね起きる、しん。

モノクロの彼の視野に、何の前置きもなく、動き出すジノ フィッシャーが映る。

いつの間にか、右にサブ マシンガン、左にハンドガンを持っている。

黒いロングコートが魔鳥のように翼を広げる。


唐突な、絡みつく殺意がここまで伝わるようだ。


リンが頷く。

「いいよ!しん!」

智由が答える。

彼女とリンが、例のショットガンを慣れない手つきで構える。


「やるぞ!」

少年が両の手を振ると、バラバラと何かが辺りに転がって行く。


バシュ、ゴオオオオオオーーー、


反応生成ガスが、爆発的に一帯に広がり、可視光から赤外線まで遮断し視界を遮る。

テロリスト達から拝借した、発煙弾だ。

この暴風雨の中、煙幕など立ち所に吹き流されると言うなかれ。

高速戦闘が可能な能力者にとって、一瞬でも視界を奪うことは、大変なアドバンテージになる。

こっちは、リンのサーチによって敵の位置は丸わかりなのだ。

「右から回り込んでくる。」

ポツリとリンからの通信が来る。

「チーセンセー!リン!挟み込め!」

平然と突っ込んでくる、ジノに嫌な予感を感じながら叫ぶ少年。

「、、、、、、、!」

なんとか、声を押し殺しポンプアクションをする智由。

白煙の向こうに黒い影が動く。

(見えた!)

突き出すように散弾銃を構え、引き金を引く。


グワアアアン、

銃口は何故か、上空を向いていた。

訳もわからず、天地が一回転する。

「キャッ!」

しこたま、背中から地面に叩きつけられる。

衝撃で、込み上げる胃液を飲み込む。


バラララ、

銃声がして、手元に転がるショットガンがバラバラになった。

「クッ、、、、、」

不織布マスクを外し、目を凝らす。

嵐に千切れる煙幕の向こう、笑いながら銃を構える男が見えた。

リンも同様に向こうで倒れている。彼女の銃も破壊されていた。


「連携は良かったが、相手が素人ではな。」

ジノ フィッシャーの遠隔格闘技だ。

彼の銃は自分たちでは無く、左の方の煙の塊を真っ直ぐ捕らえていた。

「能力の、、、、格闘技か。」

煙の向こうから白衣の少年の声がする。

「オレも多少、この手の心得があってな。柔術、とかな。」

笑うジノ。あからさまな挑発だ。こちらを完全に舐めきっている。


「なんだ。お前、腕試ししてーのか。」

煙が薄れ、破壊され転倒した乗用車にSAMR /M16狙撃銃を乗せた、白衣の少年が現れる。

サイトは、黒衣の男を捕らえたままだ。

ジノはサブマシンガンで少年を捕捉している。


「いーぜ。」

サイトから目を離す少年。

「一つ指南してやろー。」

ボンネットがメチャクチャに破壊され、ひっくり返る車から自信満々に姿を現す。

リン達と違い、高速戦闘など最初から、相手にならないのだ。

隙を見て、狙撃でも、と考えたのだが、こうなってはしょうがない。もともと狙撃スキルなど、ありゃしないのだ。射撃で当てる自信など全然なかった。まだ、肉弾戦の方がまだマシってもんだ。


「ありがたい。」

サブマシンガンを捨て、ハンドガンをホルスターに収めるジノ。

以前、地下の酒場で中継で見た、彼の体技。

AAAを相手に脅威的な立ち回りを見せていた。

武術をベースにする人間なら、一度は体験してみたいものだろう。

タイプ カイジョウ クロス クオーター コンバット。

戦闘狂というわけではないが、ジノは目的よりおのれの興味を優先していた。


吹き荒ぶ、風雨の中、荒れ果てた駐車場で対峙する二人。

「え〜〜〜〜。」

ヘンテコな展開に、とりあえず、上体を起こす智由。

リンもなんとか起き上がっている。彼女にもどうしたものかという戸惑いが見える。


「きなさい。」

どこかのカンフーマスターのように、手のひらを前に、クイクイと挑発する白衣の少年。


「ツッ、、、、」

吐く息と共に飛び込む、ジノ フィッシャー

超高速、変則的な歩法と共に、霞む様に少年に重なる。


バン、

ジノの見えざる手が、いなされ、誘導された。

(バカな、、、、)

連動する、肉体がバランスを崩し、半回転する。

数メートル先に、水しぶきを上げて、なんとか受け身をとる。

「、、、、、、、、」

理解できない。

向こうに立つ少年を見上げる。何が起こった?どうして?


「あんた、一流だけど、やりやすい一流だな。殺気が強すぎだ。」

疑問に答えるように、奇妙な事を言う白衣の少年。


黒いロングコートの水滴を払いながら立ち上がるジノ。

つまり、自分の殺気を読んで、念動の遠隔組み打ちを捕らえた、と言うのだろう。


「面白い、、、、」

本物だと思う。とんでもない怪物が隠れていたものだ。こんな超能力者の街でなければ、存在が埋もる事はなかっただろう。正真正銘、達人の領域に足を踏み込んでいる。ある意味彼にとって、高位能力者よりも興味を引く存在だった。


「もう一つ。」

白衣の影が続ける。

「お前の能力、技は、ただの力の変換だ。合気ってのは、それ以外に理を求めるもんだ。」

超能力者の街にひそむ、とてもチグハグな怪物が、嘲笑する。

「それを教えてやる。」


ゴクリと息を呑むジノ。

丸い小さなサングラスを外し、胸ポケットにしまう。

「フフフ、素晴らしい、、、、見せてくれ、、、、、、、、」

しぶきを上げて、変則的な高速移動に移る。

「その、オリエンタル マジックを!」


ゴオオオオオオオ、

一気に最高速まで加速していく。

少年の動き自体は、まるで遅い。自分の十分の一以下だろう。捕まえて、肉体ブーストに合わせ、念動も加え、ゴリ押しで押しつぶす。

認識する前に脊髄を捻じ切る。


悪寒が走った。


超高速の彼の動きが見えているように、ゆっくりと白衣の少年の手がジノの手を吸い込むように、掴もうとしていた。

まるで、ジノの動きをあらかじめ予測していたように、動作を組み立てている。

引き戻そうとするが、もう遅い。速度に比例して、莫大な運動エネルギーも相乗しているのだ。

行動変更などできるわけが無い。

ノロノロと彼の手が、猛スピードで迫るジノの手首をドンピシャのタイミングで掴み、ほんの少しのベクトルの変換を加える。

それと同時に、白衣のそでから、金属のワイヤーがスルスルと伸びるのが見えた様な気がした。


グワバッ、グババババーーーーーーーーーーーー、


衝撃がジノの意識を粉微塵に粉砕する。

「ゲッ、、、ガハッアアアッ!!!」

ジノが知るよしは無いのだが、ワイヤー針式のスタンガンだ。いわゆる、テイザー銃である。少年の白衣のオプションだろう。

実に不快そうに顔を歪めるしん。


「お前、バカだろ。オレがテメーと遊ぶと思ってんのか。」


感電し意識のない男をその加速のまま、方向操作し、脊髄に致命的な衝撃が加わるよう、こんしつ丁寧かつ正確、慎重をきして、逆しまに頭から地面に叩きつける。


ズグオオオオオオオオオオーーーーーーーーン、


衝撃と王冠のような水しぶきが細かく輪を広げ、ジノ フィッシャーがコンクリートに身体を突き刺していた。

一瞬硬直したそれは、バラバラと破片が落ちるのに合わせ、くたりと腰を折った。

「、、、、、、」

もはやなんの感慨もなく、それを見つめるしん。

バカな男だ。

普通に戦えば、なすすべてもなく、少年は撃ち殺されたであろう。

彼を過大評価し、格闘戦にこだわった故の敗北だ。ザマーミロ!

とはいえ、少年がそうするよう、ハッタリと挑発を続けたせいでもあるが。


「え、、、、ええ〜〜〜〜、、、、、」

智由にも、彼が何かのギミックで敵を感電させたのが、見えていた。

「ま、まあ、、、、いいか。」

拍子抜けしたように見える先生。ここから何か凄い技の応酬でも始まるかと思ったのかもしれない。

まあ、そんな事はなかったのだが。


ゴオオオオオオオオオオオオオオ、


横殴りの暴風が逆巻く青黒い海面を叩き、身の丈を越す荒波が砕け、飛び散っていく。

川崎に面するここは、幅2、5キロに満たない人工の入り江だが、海運を担う重要な役割を持っている。本来は、海口の波力発電所のフロートシステムによって、水量はコントロールされるのだが、そこがテロリストに占拠されている今、シケの鎮火は望むべくも無い。


どす暗い暗雲が、時折眩く発光し、凄まじい雷鳴と共に、イナズマを走らせて行く。

その空と海の間で、二人の能力者が、血みどろの死闘を繰り広げていた。


「沈め!ウオーターーフォーーール!」

エイダ レスターが右手を振るう。

海面が盛り上がり、空に落下する滝がポニーテールの少女を飲み込まんと押し寄せる。

後方に飛びながら、風を集めるみず希しずく。


その彼女をさらに後方から奇襲する数条の水の槍。

時速マッハ3を越すウオーターカッターである。

滝は囮だ。死角から少女を襲う、必殺の刃。


バシャアアアン、

打ち砕ける、ウオータージェット。

「なに?」

戸惑うエイダ。防ぐでもなく能力が消失していた。

元より水流の扱いに特化していた、しずくは、現在その方面の能力がカンストしていた。

程度の低い水の能力は、干渉し打ち消すことが可能だ。

地力の違いは明白だった。


「風神!」


ギャオオオオオオオオ、

少女の腕のひと振りが、直径100メートルの竜巻を一息に呼ぶ。

「こ、この!」

エイダが慌てて風の盾を周囲に纏うが、防御ごと海面に叩きつけられる。


「雷神!」

次のひと振りは、天空よりのイカズチの束だ。総出力は、日向まこのそれに匹敵する。


グワラッグワアアアアッ、

「サ、サンダーーフォール!」

飛び上がりながら、必死に、天空より稲妻を呼ぶエイダ。

空間を爆発させながら、衝突するイカズチの竜たち。


「龍蟠月下!」

グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーー、

海面が盛り上がり、いくつもの水柱が上がる。それがたちまち変貌を遂げていく。


キシャアアアアアアアアアアアアアアアアア、

金属を擦り合わせる咆哮が響く。


嵐の暗雲が切り裂かれ、月明かりさす嵐の海上に、のたうつ8匹の巨大な水龍たちが現れた。

その胴回りは、10メートルを越え、体表はマッハ3を超えるウオーターカッターの水流で覆われている。

天を裂き、地を穿つ、天災がみず希しずくによって具現化したものだ。

この気象条件、さらには、海上で彼女に挑むのは、まさに愚の骨頂と言える。


「冗談じゃないよ!馬鹿げた能力、次から次へドカドカと!」

滑空し距離を取る、エイダ。

あまりにも桁外れだ。まともに相手をしていたら、命がいくつあっても足りはしない。

「ウオーターーーーートルネーーーード!」


ギャアオオオオオオオオオオオオオオオ、

エイダの起こす水の竜巻が次々と、巨大な水龍達に食い破られていく。

嵐のアルカ上空、数キロ四方に渡って、のたうつ龍神達は、あまりに、圧倒的、超絶な破壊の化身だった。

決着はすぐにも訪れるかに見えたのだが。


キイイイイイイン、


「なに、、、、、?」

追撃するしずくを襲う、突然の頭痛。

水龍たちの動きが乱れ、海上で失速するポニーテールの少女。

「かかったね。お馬鹿さん。」

エイダが悪鬼の如く、笑う。


しずくにはわからなかったが、海上の荒波の上に、いくつもの、係留型の海洋ブイが浮いていた。指向性の能力キャンセラーだった。

彼女を中心に、シンカーで固定された、キャンセラーのブイ。

罠の真ん中に飛び込んでしまったわけだ。

一瞬だが、しずくの能力が乱れ、隙ができる。

高位能力者同士の争いは、その一瞬が、命取りになる。


「ウオータープーーール!」

十分に距離をとったエイダが、しずくを水の塊に閉じ込める。

ガボ、

喘ぐしずく。

「逃がしゃしないよ!サンダーーーーフォオーーーーーール!」


グワラガガガガガガーーーーーーーーン、

漆黒の暗雲がまばゆく輝き、200億キロワットのイナズマがしずくを直撃していく。

白熱した水球は光に飲まれ、爆発し、光に四散していく。

巨大な水龍たちが、力を失くし荒波に消えていく。


「アハハハハハハハハハハハハハーーーーーーーーーー!バカめ!力を振り回すしかないシロウトが!」

落雷に狂ったように笑う、エイダ レスターが照らされる。


「駆け引きも、戦略も無しに能力戦に勝てると思ったか!おじょーーちゃん!」


しずくのあった場所に追撃の落雷が、次々と集まり、凄まじい爆発が続く。

少女のかけらも残さず焼き尽くすつもりらしい。


実際のところ、しずくには能力に任せた、力のゴリ押ししかできなかった。AAの能力に目覚めて、まだそれ程の時間も経験もなかったのだ。能力戦の知略、駆け引きなど望むべくも無い。その弱点をエイダに見事に突かれてしまった事になる。


「アハハハハハハハ!チリも残さず消えちまいな!間抜けなAA様!」

勝ち誇るエイダだが、彼女は一つ忘れていた。

みず希しずくは、ひとりでは無い。


「ゴチャゴチャ、ウッっセーーーーーーんだよ!オバさん!」


グワラバリバリバリ、グワラガガガガガガギャアアアガガガ、


その少女を中心に凄まじい落雷のエネルギーが収斂していく。

「な、、、、、、ん、、、、、、」

絶句する、エイダ レスター


少女のポニーテールの前髪の下から、凶悪非道、極悪無道の人ならざる悪鬼の瞳がギラギラと光を放つ。

「こちとら、こっちか本職だ。電撃で殺ろーーって、百年はえーーーーんんだよ!」

天地割る轟音が鳴り響く。

彼女こそ電撃のAクラス、みず希しずくのもう一つの人格。みず希紫煙だ。


「しまっ、、、、、しえ、、、」

息を呑むエイダ。


ギャガアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン、

紫煙から放出された、莫大な天雷のエネルギーの全てが、まとめてエイダを吹き飛ばしていく。


「ギャアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーー!!」

そのまま嵐の海に墜落していくエイダ レスター。


天空の支配者を競う戦いは、こうして意外な決着を見る。


「、、、、、、、、」

物憂げに、波間に消えていく赤いジャケットの女性を見つめるしずく。


『しかしまぁ、ドンピシャで決まるもんだな。』

ホバリングのため、しずくと交代した紫煙が楽しそうに笑らう。

彼女が言うのは、対エイダのために白衣の少年が立てた作戦だ。


最初は、しずくの力押し、そしてキャンセラーというの予想外の妨害はあったものの、最後は、電撃の撃ち合いになると、予想し、紫煙に交代するという手筈だ。

水流操作ではとても敵わない、エイダは、風か電撃系どちらかをメインに対応するはずで、破壊力を優先し、電撃を選ぶだろうという予測がキミの悪いくらいに当たっていた。


『悪知恵は大したもんだ。伊達にしょーーね、腐ってねーな、あの男。』

ケラケラと笑う紫煙。一応ほめてるらしい。

「行こう、、、、紫煙ちゃん。」

ほぼ力を使い果たした自分に何ができるわけではないが。

「それでも。」

つぶやくしずく。

そして、しんや、那智も心配だが、果たして自分たちにどれだけの時間が残されているのか、わからない。

風を操り嵐の空を飛ぶ少女の前、荒波の向こうに、不夜城の如く輝く国際核融合実験施設が見えてくる。

また来週。

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