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能力アフター  作者: 佐藤同じ
50/55

能力アフター05話013

投稿します。

同時刻、

とある研究施設、変電所、アンバーTYPE01、プログラム立夏、その内部、


イブは、夢を見ていた。

ある少女の記憶だった。

それに、取り込まれている。


冷たい、鉄の味がする雨が降っている。

6才の少女、不知火 立夏は、泣いていた。

最後の肉親の兄の命が、冷たい雨の中、少しずつ消えていく。


アルカ、地下

スプロームスラム。

この街では、しごく、ありふれた光景だ。

ここのストリートチルドレンが15歳まで生き残る確率は、2割も満たないだろう。

飢餓、感染症、薬物中毒、性的暴行、人身売買、理由を挙げ連ねれば、キリがない。


彼女には、人の心が理解できる、能力が備わっていた。

一見、妹想いの優しい兄、

しかし、彼は自分の事を、うとましく思う事が多かった。何もできない妹など、確かに足手まといでしかない。

愛されてもいなかったかも、しれない。


それでも、彼は兄である事を止めようとはしなかった。

最後まで、妹のため、戦い、その命を消費しようとしている。

それが悲しかった。

彼女は、それでも兄を慕い、愛していた。義務であろうと、役回りだろうと、責任だろうと、最後まで、そばに居てくれた人だ。

普通の兄妹として、生きても見たかった。それを許さない世界が、悲しかった。

絶望が、彼女を閉ざそうとする時、3人の人影が、煙る赤サビの雨の中、現れる。


不平不満を言いながら、兄を抱き上げる太った影。

女性が、しゃがみ自分に、手を伸ばす。恐ろしげな傷が走る、片目の相貌。

しかし、残った瞳の光は、とても、優しいものだった。


「おいで。」


エンパス能力。

彼女の共感力、感情同調能力が、教える。

その女性の優しさを。その心を。

雨と泥に汚れ、痩せて冷え切った身体が、抱き抱えられる。

彼女は、そのまま意識を失っていった。


異常事態だった。

バイオコンピュータ用のクローン、アンバーTYPE01に超能力を、発現させる機能は無い。

しかし、そのOSたる、プログラム立夏は、紛れもなく、エンパシー能力を発現させ、イブの領域を拘束していた。


月面に深く根を張る、異世界のオーバーテクノロジー、スーパー量子コンピューターのイブの領域は、パニックを起こしていた。

地上のイブと月面のイブは全く同じ存在で、量子のもつれの中、無限に重なり合い、数万、数億と思考を重ねていた。


(((どーーーなっておるのじゃ!)))

(((超能力じゃろうな。バイオ脳のイレギュラーかもしれぬ。)))

無限の月のイブが同時に思考を重ねていく。

(((これは、下手に接続できんぞ。)))

(((難儀じゃのお。)))


その地上のイブが、支配されている以上、月のイブも、同様に支配される可能性がある。

さらに、奇妙な事にプログラム立夏に量子テレポーテーション、量子もつれが観測された。


(((プログラム立夏を観測する、正体不明の者がおるようじゃ。)))

(((我々と同じ並列思考かの?)))

(((わからぬ。)))

(((とにかく、対、量子コンピュータ戦もあり得るのお。)))


これは、アンバーTYPE01が、自分たちと同質のものに変化した可能性を示唆するものだ。

あり得ないとしても、同格のプログラムとの争いを想定した、対策を講じなければならない。

(((者ども!対抗プログラムを構築するぞーーーーーー!)))

(((おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!)))

その上、超能力である。

迂闊に、地上のイブに接近できないまま、その対策に追われる、異次元の演算システム達。


正面3×5面、計15面モニターの一つに映る、変電施設にいる、機械に埋もれている少女。

アンバーTYPE01の内部で、そんな事が起こっている事など、あらた達にはわからない。


彼らは、プログラム的にイブは封じられていると、理解している。

エンパス能力の発現など、まったくの、想像外だ。


イブの内部にあるプログラム立夏。それは、当初の想定を越えて、未知の力を発揮しつつあった。


「SCADA防衛シークエンス、第二段階に入ります。各ローダー、システムロック。スタンドアローンにて起動します。」

アッシュブラウンヘアーの電子の妖精が、感情の無い声で告げる。

「構わない。やれ。」

躊躇なく答える、あらた。


2月橋前、第一工場地区に不気味な地鳴りが響く。 

「な、、、なに?」

テロリスト達を一掃し、SACDAの制御タワーに向かう那智たちだが、その周囲が地響きを立てて囲むように、巨大な影が取り囲む。

「土木工事用、パワーローダー達にゃね。」

面倒くそうにリラがつぶやく。今は猫モードではない。人型だ。

「お、、、襲ってくるんでしょうか?」

彼女の後ろに、隠れるように、しずく。

恐ろしい数だ。地平を埋め尽くすほどの数が次々と地下から上がってくる。


アルカ建設のため、集中使用された、ローダーの数は、一説によると4000を越えると言われている。

敵は現在も使用されている、それらをここに集めたらしい。

人形に近い凡庸性多目的ローダー、タイトランド600台、ガラバゴス400台、

マニピュレーターが6本のテンタクロス500台、

10メートルを越える巨大クレーンを持つ、デカ物、クレオランド50台、

他に2本の油圧シャベルを持つガニメデ、巨大トラクターシャベルを持つホイールローダー、搬送用の四つ足フォワーダー、大型の打撃ハンマーで杭を打ち込むパイルドライバーなどなど、2000を超える工事用ローダーが迫る。

中々の迫力である。


「無人、、、、遠隔操作か、プログラムされてんのか、どっちにせよ障害物だな。蹴散らすぞ!」

し巻が躊躇なく突っ込む。

何百の無人の土木工事用ローダーの計器が不気味に輝く。


グオオオオオオオ、

明確な殺意を持って彼女達に、攻撃を開始する。

「風刃!」

カマイタチが数台のタイトランドを粉砕する。

「にゃーーーーーー!」

そのし巻の影からリラが、飛び出しさらに数台のローダーを白く輝く両の拳で砕いて行く。

人型のままだ。物量は凄いが彼女達にとっては、暴走土木ローダーなどザコの集まりだ。


「エクスプローーーージョン!」

グワガアアア、

那智が巨大クレーンのローダーを吹き飛ばす。

「す、す、すすす、水刃ーーーー!!」

バタバタと周囲の雨を集めて、テンタクロス達を何とか撃退するしずく。


「どうにも、、、、しずくちゃん、危なっかしくない?」

2月橋のたもとの黒い国産車の中で、白衣の少年のノーパソを覗き込んで、ドライバーシートの智由が心配そうに言う。

画面は3つに分かれ二つが戦況を写していた。

「紫煙ちゃんの方が、、、、」

彼女の言うのは、もっともな事だ。

「しずくには、少しでも戦いなれ、してほしーんだ。」

もう一つの画面で、何かを一生懸命やっている、しんが適当に応える。

「慣れ?」

「そー、紫煙じゃエイダ レスターには勝てねーんだ。メンドーだけどな。」

「ふーん。」

どうやら彼はその後の事を考えているらしい。

そう言えば、変なものを昨日突然頼まれて、智由は自分のラボで大急ぎで調合する羽目になった。

あらた達を想定したものらしい。この用意周到さは、巨大な能力者にはないモノだろう。


「ふえ〜〜。やっと見つけた。チーセンセー車を出してくれ。」

何かを探していたらしい少年が、顔を上げる。

「え?どこへ?」

観戦を決め込んでいた智由が、意外そうに聞く。

「アッチの東塔だ。SCADAへの直通の地下通路がある。」

「私らだけで?だって、、、、」

「おかしーと思わないか。あんな土木工事ローダーで那智達の相手が務まるわけ無いだろ。」

「それはね。」

「あからさまな、時間稼ぎだ。下手したら連中、ここには居ないぞ。」

「まさか、、、、ここは囮、、、、」

ドライブレンジにギアを入れ、車をスタートさせる智由。


「とにかく、制御タワーに入って調べないとわかんねー。」

彼にしてはめずらしく、焦りが見える。

「やられたかもしんない、、、くそっ!」

嵐の中を2月橋の緩やかな2連のアーチが通り過ぎていく。


ガシャン、

東棟の門をぶち破って、パイプの絡まる工場敷地に入っていくと、プラチナショートボブの小柄な少女が、車のライトに照らされて、立っている。

「リンか。」

彼がノコノコ戦場に近づいて来たので、様子を見に来たのだろう。

まあ、丁度いいと言えば丁度いい。

大体が、Cクラス能力しかない、少年にはAクラステレパスの彼女には、隠し事などできない。

「一緒に来てくれ。」

「、、、、、、、」

相変わらずの無表情だが、コクリとうなずいてくれるリン。


すんなりと、東練の地下通路は見つかり3人は、プチマラソンをやる羽目になる。

資材搬送を目的にした通路らしく、土木ローダーが通れるくらいの広い通路だ。

灰色のコンクリートのサイドにはパイプが走り、上部には整備用のキャットウォークが走っている。

「人が、、、、いないね。」

バタバタと白衣をさせながら、智由がつぶやく。

「クソっ、、、、!」

うめく、白衣の少年。

重要な通路の一つのはずなのに、警備の兵もマシンの一つもない。

「リン!誰かいるか?」

となりを走るプラチナショートの少女が首を振る。

ここは、彼らの本命ではない。少年の懸念は当たってしまったようだった。


「まあ、しょーがねー。チーセンセー!」

走りながら、重たい棍棒のようなものを、投げて寄越す少年。

「な、何よこれ!」

彼が地上で、道すがら、拾って来たものらしい。

落としそうになりながら、その銃のようなモノを掴む智由。


「M590ショットガンだ。」

「銃なんか、、、使えないよ。」

「まあ、オレも使えないよ。リンも持っとけ。」

少年が投げてよこすショットガンを受け取り、特に抵抗なく、付いているベルトで肩掛けにする小柄な少女。

全員の分、彼は3つも見つけて来たらしい。テロリスト達の物だろう。


「銃は、訓練しなきゃ、当たんないが、これは前に撃てば大体当たるから。」

散弾銃とはそうゆうモノらしい。射程は短いが。

「そうは言ってもねぇ、、、」

智由せんせーは、銃に抵抗があるらしい。日本人の一般的反応かもしれない。

渋々、肩掛けにする。

上がったり、下がったりアチコチ曲がって、ようやく、SCADAのエレベーターに到着する。

エレベーターで上昇中、簡単なM590のレクチャーをしておく。物覚えの良い二人はあっという間にショットガンの使い方をマスターする。

実は、高速戦闘が可能な彼女たちに銃を持たせると、鬼に金棒なのだ。いや、恐い恐い。


無骨な工場区の一角に、青い光の灯る窓がある。

人影は予想通り見えない。焦燥で胃が痛くなっていく。

「ロックされてるよ。」

「チーセンセー。さがって。」

ガチャン、

とショットガンのポンプをスライドさせる。

「ちょ、、、、」


ズガアアン、

景気良くドアが吹っ飛んでいく。至近だと威力がやべーな。

「乱暴だなあ。も〜〜。」

文句を言う智由を置いて、無人の制御コンソールに走る、白衣の少年。

大小、20以上のモニターに囲まれるブースに入り電源を入れる。

工場内のアチコチがモニターされ、中には戦闘中の那智たちも映っている。


持ってきたノーパソをバックパックから出し、制御システムに繋ぐ。

ここのシステムは、中に入ってしまえば、旧式のセキュリティしか存在しない。

「どうだ?アダム。」

量子コンピュータの手を借りられる今、データの吸い出しなど、朝飯前だ。

もう、とうに日が変わってるから、夜食前か。

アルカの北西部が海に沈むタイムリミットが、刻一刻と近づいている。


「敵の痕跡は残っていません。」

月の比類なき知能が無情に、告げる。


「そんなバカな、、、、」

立ちつくす少年。

「どうなの?ダメなの?」

モニターの光に照らされる智由の表情は青白い。


「ただ、国際核融合実験炉に、起動承認がされています。」

淡々と、とんでもない事を告げるアダム。


「なん、、、、、だと、、、、、」

凍りつく白衣の少年。

「ヤツら、、、、、核融合炉を、、、、、、」

足から力が抜けて崩れそうだった。

「だ、、、、だって、、、、、」

智由の声も震えている。

「だって!あそこは、論理実験だけのはずでしょ!」

語尾は悲鳴のようだ。

「実験プラントは完成しちまってる、、、、、SCADAから起動承認があれば、動いちまうんだ、、、、」

絞り出すように答えるしん。


「暴走させ、核爆発させたら、アルカどころか関東一円消えて無くなるぞ、、、、」

備え付けの安物のイスに、腰を落としてしまう少年。

「クソッ。」

自分の間抜けさに、吐きそうになる。


「、、、、、しん、、、、」

いつの間にか隣に立つ、プラチナショートボブの小柄な少女。

その透き通るような、琥珀色の瞳は、強い光を宿していた。

「り、、、、ん、、、、」

低くつぶやく少年。


バシン、

と両肩に衝撃が来る。

「シッカリなさい!まだ終わった訳じゃない!」

智由が叫ぶ。

「あ、ああ、、、、」

なんだかんだ、女の方が逆境に強いらしい。

レシーバーで皆に状況を説明する。


「ああ?SCADAから止めらんねーのかよ!」

風刃で突進してくる四つ脚のフォワーダー達を切り裂きながら、し巻が叫ぶ。

『無理だ!一度火が入っちまったら実験炉研究所からじゃないと、コントロールできねー!』

答えるしん。

「なら、止めに行くしかにゃいにゃ。」

ガラバゴスたちを粉砕しながら、リラ。


『ダメだ!そいつら、作業用ローダーたちは、オレ達が居なくなったら居住区になだれ込むぞ!アダムが、ここにある、そいつらのプラグラムを解明した。』

一般人にとって、千を越す巨大ローダー達の暴走は、脅威でしかない。

恐るべき被害が、大量虐殺が起きるだろう。


「私が、、、、全部やっつける!!」

上空の那智が、凄まじいエネルギーの放出を始める。

『だ、、、ダメだ!那智!』

止める彼の声は届かない。それでは、最後の切り札が無くなってしまうと言うのに。

サンライトイエローに輝いてゆく、瞳と、フワリとしたセミロングの髪。


その肩を掴む手があった。

「し、、、し巻先輩!」

風をまとい、上空に並ぶし巻八重。


「ここは、私らに任せな。」

風に舞うライトイエローのツインテール。

「で、、、、でも、、、、、」

泣きそうな那智。

「私らが、こんなオモチャ共にやられるかよ。行って、ヤツらを絶対に止めろ!いいな!」

「でも、、、、」

『なっちゃん!お姉さん達に任せるにゃ!』

地上を疾走するリラ

「わかり、、、、、ました、、、、」

なんとか答える那智。

「声が小さい!」

どなるし巻

「ハイ!!」

「よし、、、行けええええええ!!」

「ハイ!!!」

ドン、

衝撃波を残し消える那智。

地上のしずくを引っ掴み、SCADAタワーに飛翔する。

その姿を淡く笑いながらながめる、し巻。


「ったく、、、、世話の焼けるヤローだ。」

苦笑が思わず、こぼれ落ちる。

自身、素直にそう思えるのが、意外だった。


その眼下に千を越す、暴走ローダー達がひしめいている。

レシーバーの個人チャンネルを開く。

「悪いな。リラ。ビンボークジだ。」

『ボクは最後まで、キミと一緒にゃよ。八重。』

長年の相棒が、明るく答える。

「そーだな。」

彼女は自分の生涯の誇りだ。


リラにかけて、この緑の腕章にかけて、居住区に一体のローダーも行かせはしない。

たとえ、この身が砕けようとも。かならずだ。


「叩きつぶす!」

グオオオオオオオ、

暴風を上げ突っ込んでいくライトイエローのツインテールの少女。

爆発が遠く響いていく。


2月橋を越えて、嵐の工場区を走る車の中、

一言も無く、うつむいている那智。

あれだけの数の土木工事用のローダーたち。単純な物量の脅威。それを制するのがいかに困難か、彼女にはわかっていたのかもしれない。


となりの、しずくが、なんとか、声を上げる。

「それで、、、、核融合実験所はどこにあるの?しん?」

並びは前と同じ、しずく、那智、リンと後ろ2列目に座っている。

「アルカ、北西部の研究区だ。」

ナビシートの少年の声は、はてしなく、暗い。


「北西部って、、、、水害の避難地区の?」

とまどう、少女。

「地盤工作も水害も嘘っぱちだ。カモフラージュだろう。実験炉から目を逸らすためのな。

ヤツらは、ツナミなんて起こしゃしねー。オレ達はまんまと騙されたんだ。」

「そんな、、、、、」

二の句が継げないしずく。

「オレのミスだ。調子に乗ってみんなをSCADAに連れてって、このざまだ。悪かった、、、、」

あの二人を置き去りにしなければならなかったのは、全部、自分の責任だ。取り返しのつく事ではない。

「、、、、、、、、、」

無言で車を走らせる智由。

ヘタななぐさめは、言っても無駄だろう。支払った代償はあまりに大きい。

それでも、前に進まなければならないのだ。自分達は。

お通夜のように暗い沈黙に包まれる車内。


そこに、突然すっとんきょうな声が響き渡る。

「元気、出すのじゃ!主どの!」

ペカーーーー、

と輝くパタパタと羽ばたきをする、光る太った手のひらサイズの変なペンギンの天使が現れる。


「な、、、、ん、、、、、」

シドロモドロのしん。

よく見ると、どうやら、3Dホログラムだ。

アークエンジェル、ガブリエル。通称ガブくんだ。イブの好きな子供番組のマスコットだったはずだ。

少年の白衣のポケットの携帯の、電影機能を使って像を結んでいるらしい。

「お前、、、、イブか?」

半信半疑の少年。

「ウム!主どのの永遠の伴侶!まごう事ない愛しのイブちゃんじゃ!待たせてしまったの!」

パタパタと小さな羽と手を羽ばたくブサイクなペンギンが胸を張る。


「簡単な話しじゃろ!あらたをスパパーンとやっつけて、し巻殿とリラ殿の救出に向かえば良い!どっちにしろ手早く片付けねば間に合わぬぞ!」

「待て待て待て!お前、連中に捕まってんだろ!一体全体何がどーなってんだ!」

妙なハイテンションのガブ君につられて、声がデカくなるしん。

「説明しろ!!」

その場の全員の疑問を代弁してわめく少年。


その少し前、

月面、異次元のオーバーテクノロジーの量子コンピュータ、

イブの領域、


(((モノどもーーーーーー!完成したぞーーーーー!)))

(((オオーーーーーーーーーーーーーーーー!)))


対抗プログラム、対E A、対ARM、対DEW、対ESP、全ての準備が整った。


(((では!今、必殺の!)))

シャキーーン、

(((オーーーバアーーードライブーーーアッシンブルゥゥーーーーーーーーコンタクトオオオオオオーーーーーーーーーー!)))))

(((おおーー!カッチョよいのじゃーーーー!)))

並列思考たちの拍手喝采が聞こえてくるようだが、

ただ、アダムの地上ネットワークに入り込んで、地上のイブに接触を試みただけだ。


時間にして、コンマ00秒、

地上と天空のイブが接続する。


鼻を突く薬品の匂い。

白い病院の廊下が、流れていく。

その視点は、普通よりやや低い。

その黒髪の少女は、電動の車椅子で移動しているようだ。

数カ所のエレベーターを経由して、地下に降りる。そして、その扉を見つけた。

恐る恐る、白い小さな手を伸ばす。


バシュ、

ロックはかかっていなかった。

無機質で、臭いのない、青白い部屋。計測機器、いくつものモニターに囲まれて、そのアッシュブロンドの少女は、医療カプセルの中に眠っていた。


「あなた、、、、なの?私を呼んでたのは?」

黒髪の少女は、ゆっくり医療カプセルに近寄りながらなんとか、言葉を発した。

アッシュブロンドの人形のような、端正な顔立ちの少女は、まばたき一つせず、静かに呼吸を続ける。しかし彼女は眠っていた訳ではない。

((お姉ちゃん。来てくれた、、、、))


それは、声ではなかった。黒髪の車椅子の少女、不知火 立夏のエンパス能力が感じとる、少女の心。


((私は、アンバーTYPE01。))

バイオコンピュータのクローン素体、アッシュブロンドの少女。

どんな計測機器にも脳波探知にも測れなかったもの。彼女には心があった。



月のイブ達が瞬時に地上に捕らえられた、イブとの同期を完了する。

(((なるほどの、、、、アンバーTYPE01というのは、、、、、、、、)))

月の並列意識たちが一瞬のうちに全てを理解する。

山下 イブとして、自分たちを人として形作る、少女のたどった道のりと、その終わりを。

また来週。

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