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能力アフター  作者: 佐藤同じ
49/55

能力アフター05話12

投稿します。

同時刻、

桂橋ジャンクション、


「ずありゃああああああああーーーーーーーーーーーー!」


ドガガガ、グワガアアア、ドガアアアグワッ、

数台のM9グレイハウンドがまとめて吹き飛んで行く。


「もう一丁ーーーーーーーーー!」

大暴れしているアルファ2こと、朧 理世。

その彼のレシーバーに、連絡が入る。


『アルファ2!戻ってください!インターバルです!』

チームのオペレーター、オレンジ団子頭、設楽 郁恵だ。

「ああ?こっからじゃねーか!」

ぶっきらぼうにわめく、朧。

『うるさい。大人しく戻って来い!バカ理世!』

アルファ1、千里 詩吟の不機嫌な声が聞こえる。


「たく、よお〜〜。」

後方、ベンツV220dの前に、現れる朧。

「お疲れ様です!朧さん!」

郁恵が、傘をさして、タオルと栄養ドリンクを渡す。

「めんどくせーなー。」

不詳不承に、ドライビングシートに身を投げる朧。もう、上着は脱いでしまっていて、ワイシャツ姿だ。

隣りのナビシートで、詩吟がタオルを顔に乗せて休んでいる。


「朧さんは、15分休んで、戻ってください。」

サイドドアから、オペレーションシートに戻る郁恵。

「郁恵ちゃん。私は?」

ついでに、詩吟が聞く。

「詩吟さんは、後17分後です。」

朧より、大分前に休んでいるのだがそれでも、これだ。

ため息つきそうになる詩吟。


郁恵がやっているのは、二人のパフォーマンス マネジメントだ。

M9ばかりの敵なので、他のチームでも、ある程度戦線を支えられる。そのおかげで二人をある程度休ませることが可能になっていた。

いくら、相手が物量で、押して来ても、これなら、少しずつでも、押し返す事ができる。


「虚弱体質くんは、大変だな。」

ヘラヘラと、詩吟をからかう朧。

「うるさい。」

見向きもしないで、うなる詩吟。


特筆すべきは、朧 理世のタフネスぶりだろう。

短時間でも休憩を取れば、能力キャパシティまでも、みるみる回復する、恐ろしい継戦能力を見せていた。

ほっとけば、彼一人で敵を一掃できそうだ。


『イオタチーム!補給に入ってください!』

郁恵から、連絡が入る。

「了解です!松田さん!ピットインです!」

ヒロミがチームに伝える。

「やれやれ、やっとかよ〜。」

ブツクサと戻る鈴森。


「デルタチーム!ピットアウトです!内環側のサポートお願いします!」

『了解。』

「フォクスチーム、斉木さん!井口さん!イオタに、合流してください!」

『了解。』

これは、負傷者の出たチームの、再編成だ。


郁恵ちゃんは、ここに集まった5つのチーム、全体のサポートもしている。

ひとりひとり、全員のキャパシティを把握している彼女のオペレーションは、かなりの精度を誇り、隊の損耗率を大幅に、軽減している。

ここまで細やかで、配慮がいき届いたサポートは、以前、


「制定部隊のオペレーターと一緒にすんなって。」

と、ナメた口を叩いていた、白衣の少年でもマネはできないだろう。


一方、

SCADA前、2月橋、


こちらは、別な意味でサポートが、困難な状況に、陥っている、山下しん。

アタッカー全員が、高速戦闘を繰り広げていて、ほぼ一般人の彼では状況確認も困難な状態になっていた。


「ったくよ〜〜!」

大体が、彼女達に、戦わせて己が後方待機なのも、気に入らない。

突っ込んでって暴れられたら、自分的には満足だが、それではただ単に彼女達の足を引っ張るだけで何にもならないだろう。情け無い話だ。

と言って、アダムの速度調整された、映像をのんびり見ていても、なんのサポートもできない。


「しゃーねー!」

少年の黒い瞳に、光点が灯る。

彼のしょっぼい、Cクラス、ブースト能力。それを、自身の視力強化に回していく。

続けて、重ねがけを繰り返していく。

これは、ハウリングによる神経破壊を呼ぶ危険な行為だが、知った事じゃない。

こうでもしないと、彼のレベルでは、実用レベルに達しないのだ。


正確に言えば、少年は、思考加速も、こなしているのだが。


ひとり、ジタバタ、右往左往して、やっとこさ、那智達の見ている世界が、白黒で見えてくる。多分、色情報まで脳みそが処理できないのだろう。


隣で野川智由先生が、興味深そうに、彼を眺めているのには、気がつかない。


「リン!」

爆発を後に、疾走する那智。

リンクした、相棒から、次のターゲットの指示が来る。

一網打尽にしたい所だが、相手は、細かく移動する上に、こちらも移動しないとキャンセラーの集中照射という、地味な嫌がらせを受ける事になる。

どうやら、彼女は、1番のターゲットにされているらしい。


「ラストーーーーーーーーーー!」


グワオオオアア、

ウネウネとパイプが走る向こうに、見える倉庫の端の窓を吹き飛ばす那智。

打ち合わせ通り、彼女は、厄介な敵スナイパー達の掃討に励んでいた。


ハヤブサくん3号の映像では、彼女は、し巻達とは、大分離れてしまっている。

『那智!し巻達と合流しろ!』

どうやら、狙撃の心配は無くなったようだ。


「え、、、、どこ?」

キョロキョロと、パイプやタンクの並ぶ周囲を見渡している少女。どうも迷子のようだ。

『リン、、、案内してやれ。』

なぜか、のんびり川辺を歩いているリンが頷く。


「くーーーーたばれえええ!」


グアラババババーーーーーーーーー、

ポニーテールの凶悪な、しずくが、100億キロワットの落雷で柵に囲まれた変電施設を吹き飛ばす。

中身は紫煙だが。

防衛していた敵兵達も吹き飛んでいる。

彼女は、固定式の巨大キャンセラーを潰して回っていた。


『どんなあんばい?紫煙。』

進捗を聞く。

「しんかー。大体、終わったぜー。問題は、本隊だなー。」

面倒そうに、紫煙。


『了解。しずくに変わってくれ。』

「大丈夫?しん?なんか変だよ?君。」

変わるなり聞いてくる少女。

どうして、こいつはこんなに、カンがいいのか、わからない。

音声だけだろうに、


『問題ねーよ!後はみんなの支援するだけでいい。合流を急げ。』

「う、、、うん。」

とりあえず移動を開始するしずく。


ここで意識が飛びそうになる、少年。

頭がガンガンしている。彼女達のレベルに合わせるのは、全くもって命がけだ。

ブチブチと頭の中で何かが壊れていくのを感じる。


「速度調整しましょう。高速思考の停止を忠告します。」

膝のノーパソから、ナメた事をぬかすアダムの声がする。

「うるせー!ヌケたこと言ってると、ぶっ壊すぞ!アダ公!」


後方の援護すらできないじゃ、何のために来たのか、わからない。死んだって諦めるものかと思う。


「え、、、、、、?」

ここで、頭痛がウソのように消え去る。重圧がかかっていた思考が、視野がクリアに透き通るような感覚が広がっていく。


ついに、限界突破し、覚醒の時が来たーーーーーーーーー!


と、叫び出しそうな、少年が気がつく。


隣りの保険の先生の瞳が、優しい緑光を放っていた。


「チ、、、、チーセンセー、、、、、」

どうやら、彼女が、オンタイムで壊滅していく、脳細胞を治癒してくれているらしい。

信じられない回復能力の行使である。


「ほら、ガンバンな。」

面白そうに笑う女性。

よくもまぁ、こんなバカな事を止めずに、手伝ってくれるもんだ。


ちょっと泣けてくる。

那智が、制定部隊に姉が女神様と奉られている。とからかっていたが。その隊員の気持ちがよくわかる。


チーセンセーマジ女神!!


「サンキュー!センセー!」

そう、問題はこれからなのだ。


プラズマフィールドを展開する残り7台のM9グレイハウンドを前面に、最後のM10エイブラハム重機動兵器が攻撃を繰り返す。


何が問題かというと、その信じられない部隊配置だ。

すぐ後ろに、大小幾つものガスタンクが並んでいる。石油の精製プラント群、コンビナートに立て籠っているのだ。


確かに、那智や紫煙の高出力攻撃は、封じられるかも知れないが、ちょっと間違えば、自分たちも、あっという間に木っ端微塵吹き飛ぶだろう。狂気の沙汰だ。


「フン。大分、楽になってきた。」

高速移動を細かく続ける、し巻の姿は、ゆっくり歩いているようで、決してそうではない。

「そろそろ仕上げるにゃ、八重。」

同様にリラ。

二人ともBクラスの能力者だ。那智達よりもキャンセラーの影響を強く受ける。

それがM9達をすでに半分に減らしているのだから、凄まじい戦闘巧者であるのは事実だろう。

『ま、、、待った!八重、、、、先輩!那智達が合流するまで、もう少し、、、』

思わず声をかけてしまう、白衣の少年。


彼女達は、あのAクラスの王城たまきでさえ、攻めあぐねた殺戮兵器M10エイブラハムを前にしているのだ。


「まぁ、見てろよ。しん。那智に任せてたら、ここら一帯火の海だぞ。」

楽しそうにし巻。

『そりゃそーだけど!』

『なんだとーー!し巻先輩も酷いすー!』

割り込んでくる那智。

いいから、お前は、とっとと合流しろ。


「ボク達も、少しは仕事しないとにゃ。後輩にしめしがつかないにゃん。」


うっすら笑うリラが輝き始める。

変身が始まった。


和久井リラの、それでなくても抜群のプロポーションの腰がさらにくびれて始め、手足が伸び、ブラウンのフワフワロングヘアーが白くフワフワ発光を始める。

こがね色に光る瞳の瞳孔は、夜目にも分かるほど縦長へ変貌する。昼ならさらに細く見えるだろう。

白く光る頭から、まごう事ない猫耳が、ピンピンと起立し、腰から同じく白く発光する長いシッポが生えてくる。

輝く、しなやかな大型4足獣が、嵐の中に音もなく降り立つ。


「フニャ〜〜〜〜ン。」

顔をこする、リラ猫。


「ね、、、、ネコ憑きか、、、、、」

やたら、変な知識に詳しい、少年が絶句する。


パーソナル ダウンロード。

非常に稀有な例だが、能力者の中では、ある概念にのっとって、それに付随する能力を発揮する者がいる。伝説の妖怪とか、悪魔とか、民話のモノノケとかだ。


キツネ憑きとか、悪魔憑きとか、恐れられる昔話っぽいのもある。

確か制定部隊の朧 理世も、その一種のはずだ。


彼女の場合、ネコ憑きだろう。それも、極めて特殊な。

アルカで実際に見るのは、彼も初めてだった。

とても、可愛い!


「ケモ耳キタ♪───O(≧∇≦)O────♪♪♪ーーーーーーーーー!!」

絶叫する少年。

「うるさい!」

車内でわめかれて、ハタ迷惑な智由。


「死ね!変態!」

オープンチャンネルで響き渡る少年の雄叫び。心底、いやそーに吐き捨てる、し巻。

「八重!行くにゃ!」

低い位置から相棒が、顔を向ける。

「おう!」

突進を開始する二人。


「トルネーーーーーード スクエアーーーーーーーーーッ!」


グアアアアオオオオオオオオオオオオ、

風を操る能力者。し巻の起こす、二つの竜巻が、次々とM9達を巻き上げ、吹き飛ばしていく。

後ろの、爆発反応盾を構えるM10に、襲い掛かり、二つの風の龍がぶつかり火花を散らしていく。


グオドドドドドドドド、ギャカアアアッ、

執拗に絡み付き、反応盾の爆発装甲を消費させていく。

彼女の攻撃は、本体ではなく、盾自体を狙ったものだった。

盾を失い、胸の20㎜バルカンも潰された、エイブラハムが右の2連砲を向ける前に、音速を、突破した、白い衝撃波が、その胴体を貫いていた。


身体強化、及び身にまとう破壊のエネルギー。

それは、朧の攻撃パターンに共通項が多い。

爆散を許さぬ、急所を貫いた光の槍は、M10の後ろにリラ猫の姿で、地に降り立つ。


対M10専用とも言える、見事なコンビネーションだった。

知識と技術で能力を補う、お手本のような攻撃と言える。さすが一高の鬼の風紀委員長と副委員長だ。


ところが、彼女にとって、それはついでの様なものだった。


「にゃおお〜〜〜〜〜ん!」

おたけびを上げて、ジグザグに、疾走するリラ。そのままパイプの走るガスタンクの下に飛び込んで行く。

身を潜めるテロリスト達の真っ只中だ。


「リ、、、、、リラ?」  

正気の沙汰じゃない。凍りつく、しん。


「爆☆チャーーーム!にゃん!」

キラキラと輝く星が、ガスタンクの下の闇に溢れる。


「な、、、、んだ?」

目を凝らす少年。わけがわからない。


「オオオ、、、、」

「ワッツ?」

うめく敵兵たちの只中に、光る金色の瞳。


「さあ。ボクのために、戦い、殺し合うにゃ。外道共。」

薄く輝く、美しき女猫が、冷たく笑う。


混乱が始まった。


バラララララ、タタン、タタ、


闇に瞬く、マルズ フラッシュ

「止めろ!」

「ファッツ!セル アウ!」

「ノォ!」

「裏切り者め!」

テロリスト達の悲鳴と怒号か響く。なんとか、仲間割れを起こしているのが分かる。

半数以上が、狂ったように味方を撃ちまくっていた。

70人以上の敵兵が、ゆるやかに自滅していく。


何かの精神コントロールだ。

"魅了”だろうか。

やっとその正体に思い至る、少年。


「パーソナル仙狸か、、、、」

なんて、マイナーな、パーソナルダウンロードだろう。アングリ口を開ける、しん。

リラの能力は、中国のネコのサキュバスのような妖怪だ。 


能力自体は、瀬里奈の精神コントロールの下位互換、程度にしろ、身体能力、戦闘力は、桁違いに高い。


でも、普通に猫又でよくないか?と思う。リラは実は妖怪ハカセなんだろうか?そうは見えないけど。

そう言えばシッポは1本で、二又じゃなかった。


と、どうでもいい事を考えてる少年を、しりめに、事態は、予期せぬ第二幕を迎えようとしていた。

また来週。

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