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能力アフター  作者: 佐藤同じ
37/55

能力アフター04話010

素材集めが、

大変です。

「ウソだろ、、、、、、、」


その朝、川崎の自宅でアダムの一層に潜って、徹夜で情報を攫っていた、白衣の少年に、匿名希望から驚くべきメールが届く。


[グールハ、暴力団同士ノ争イデ壊滅シタワヨ〜〜〜]


アルカに留まることを決めた彼だが、よく考えたら、グール達の事を忘れていたのを思い出して動向を、探っていた分けだが、思いもよらない結末が告げられる。

グール達に関しては、メンバー構成がある程度わかったくらいだ。


[嘘ダト思ウナラ登校シテミナサ〜〜イ]


「クソッ!」

訳がわからない。

こんな都合のいい話は無いのだが、同時にそれは恐ろしい事実を示している


階下に降りると、イブとしずくが朝食を取っていた。


「あ、おはよう!珍しいね。自分で起きれたんだ。」


今日は、紫煙が休みでしずくが、身体担当だ。

地味子さんが、明るく笑う。

前髪で表情は分かりにくいが。


しかし、地味子さん。当たり前のようにこの家の家事を担当している。

オレの監視も兼ねているのかもしれないが。


「モググ、モグ、モモグ〜〜」

トーストを食べながらイブが何か言っている。


「食べながら喋んな〜イブ。しょーかにワリーぞ。」


「見て見てしん!」

コマーシャルだったチャンネルを変えるしずく。


テレビは見慣れた学園のグラウンドが削られ、大穴が開いているのを映している。

周りに立ち入り禁止の柵が立ち、消防、パトカー、テレビ局、そして野次馬が集まって大騒ぎしている。


「ガス爆発だってな。あぶねーなー。」

キョロキョロと、自分の朝飯を探す。


「ちょっと待ってて、持ってくるから。  なんだ知ってたんだ。」

なんだか残念そうな、地味子さん。人を驚かせたいのだろうか。


学園に行ってみろ、と匿名希望が、言っていたのはこの事だろう。調べると色々不審な点の多いガス爆発事故だ。


十中八九、能力者の仕業だ。

では、何があったのか。


「今日は、イブに付いててくれ。しずく。」

目玉焼きをトーストに乗せながら、しん。


「学校は?」

もう、食後の紅茶を飲んでいる、しずく。一応、制服姿だ。


「どーせ休みだろー」

休校は、彼女にも予想が付いているだろう。後で学園から連絡が回ってくるはずだ。


「な、なんじゃと!嫌じゃ!学園に行きたい!」

顔色が変わるイブ。


「イブちゃん。危ないから。ね、」

フォローに入るしずく。


どちらにしろ今日は、安全のためイブには、家に居てもらう。

しかし流石に寝不足だ。

コーヒーを無理矢理、胃に流し込む。


アクビを噛み殺し立ち上がる白衣の少年。


「ど、どこに行くのじゃ!主どの!」

血相を変えるアッシュブラウンの少女。


「ちょっと学校、覗いてくる。しずく、よろ〜。」

リビングを出て行くしん。


「昼には戻りなさいよね。」

ヒラヒラ手を振る地味子さん。


「ずるいのじゃ〜〜!!」

ドアに、ガブくんのぬいぐるみを投げつけるイブ。

大切にしろよ。おい。


「ギャアアアア!ガブくんが〜〜〜!!」

ドアの向こうで、自分で投げておいて、悲鳴を上げているイブ。


朝からにぎやかである。


京葉線を降りて、研究練が続く通りを抜けると、思った以上に、破壊された天宮第一学園が見えて来る。


グラウンドに開いた大穴は、野球のバックネット跡を中心に、通りと駐車場まで達し、おおよそ直径300メートルはあるだろう。

校舎の窓は、割れて、再び悲惨な姿をさらしている。


「お前ら!今日は休校だ!!とっとと帰れ!」

体育のハートマン軍曹が、学園からの連絡に気付かず登校してきた、うっかり者の生徒たちを蹴散らしている。


「みなさ〜〜ん。危険です〜〜近寄らないでくださ〜〜い。」

間延びした声が聞こえる。

向こうで四課の牧さんが、野次馬を相手に奮戦している。


四課といえど所轄なので雑用も仕事らしい。牧さん自体はかなりのエリートらしいが。

まあ、昨日の今日でご苦労な事だ。


「何やってんの!あんた!」

突然声がかかる。

見るとブラウンのセミロングの炎姫様が腰に手を当て立っている。

隣には那智とセットで無口な、プラチナショートボブのリンの姿も見える。

彼女達も制服姿だ。


「なんだー那智。お前らも間違って登校して来たのかー?」

生アクビしながら聞く少年。


「な分けあるか!私らは仕事だ!牧さんたちの手伝い!」

緑の腕章をアピールしながら、那智。


「ふーん。そんで、なんか分かった?」

とりあえず聞いてみる。

「、、、、、、ノーコメント!」

少し質問の意味を考え、ソッポを向く那智。


「これさーどー見ても、ガス爆発事故じゃねーよなー」

何か動揺している美少女。少し面白い。


「能力、、、、爆轟クラスの結果だ。」


「わ、わ、わ、私じゃないから!!」

真っ赤になって否定する少女。


「わかってるよ。」

あっさり、認める少年。

「え、、、、、そう?」

なぜか、意外そうに、那智。もっといじられると思っていたのだろうか。意外とMだな。


「なーなーちょっと中入っていい?」

駄々をこねてみる。

「ダメに決まってんじゃん!」

冷たい炎姫様。

「危険、、、、、、」

リンも首を振る。

「ケチー!まあいいや!」


「あ!こら!!」

するりと、白衣の少年が向こうに逃げて行く。

那智も追うが、野次馬の人混みにスルスル紛れるすばしっこさは相変わらずだ。


「牧姉さーん!」

四課の集団に突入する。

「あ〜しん〜〜」

ニコニコと手を振る黒髪、クリンクリン外ハネの牧、


「ねーねー!中見ていいすかーー!」

ありったけの愛嬌を振りまく白衣の少年。少し気持ちが悪い。


「い〜わよ〜〜でも〜〜中の人達の〜邪魔しちゃダメよ〜〜。」

たまに、この人は恐ろしくゆるい。

那智から、彼の観察スキルの異常な高さを聞いているので、後々の人材として狙っているのかもしれない。

しかし、表情からはそんな事はうかがえない、おっとりとしたお姉さんだ。


中に入り、すり鉢状の長い斜面を降りて行くと、

制服組と、MPDのマークを付けた監察官達が、現場を調べている。


「ふーん。」

とりあえず、薄い手袋をして、鼈甲色の伊達メガネをかける。これで、白衣だと、それなりに、科学監察官ぽく見えるものだ。


ピンセットで、土に埋まった金属片を拾い小さなビニール袋に入れる。

熱で溶けて変形しているが、サブマシンガンの殻薬莢だ。


穴の底の方を調べている、紺色の制服の監察官の一人に話かける。

六角形の変なメガネをかけた、太った小男だ。まあ少年の身長も同じくらいだが。


「これ、AKですかね?」

小袋の金属片を見せる。

迷惑そうに作業を続ける男だが、律儀に答えてくれる。

「56式7・62㎜弾ですが人民連の95式自動小銃ですよ。向こうでライフルの部品が出ました。」

これで、ここで何かあったのが確定される。


「おそらく、多人数での争いがあったようですね。痕跡は消してありましたが調べればわかります。」

追加で情報をくれる六角形のメガネの監察官。


人民連のグールと言えばフェイ ウォンだろう。

彼らは、ここで何者かと戦い全滅した。

ついでに、もう一つ聞いてみる、しん。


「それで、あの〜変じゃないですかね?この規模の爆発にしては、周りの被害が少ない。」


那智がこの位置でデトネーションをぶっ放せば、校舎は半壊しているはずだ。

同程度の規模で地面を削る威力のこれは、奇妙な事に、そこまでの破壊を周りに及ぼしていない。

「粉塵爆発の能力ですかね?」

かなり、稀有な能力者のはずだ。


「可能性は高いですな。Bクラスのその能力者は、ベトナムで確認されてます。」

なぜか、知識の豊富な監察官だ。


能力者の仕業である事も、理解している。どんな、調査で結論に至ったか、少年にも分からない。見た目によらず優秀らしい。などと、失礼な事を考えている白衣の少年。


「しかし、常識外ですよ。これは、」

よっこらしょと腰を伸ばす太った小男。

「自由空間蒸気雲爆発規模レベルです。そんな能力者は世界中でも、確認されていません。」


「FAE、、、、、、、」

思わず漏らす少年。

悪魔的殺傷率を誇るサーモリック爆弾の能力を持つ者がいる。


そして、それらすべてが、グール達をも全滅させる能力者達が、このアルカに存在しているのを示している。


それがアダムにも知られず。静かに息を潜めている。


例えようのない不安が、少年を襲う。柄にもなく足が震えている。


「あ!いたっ!!なーにやっとるかーーー!このバカーーーー!!」

上の方から、素っ頓狂な声が響く。


「この!待てええええーーーーーー!!」

「ウハハハハハーーーーーー!」

脱兎のごとく、逃げ出す白衣の少年。

激オコの野川那智が、土煙りを上げながら後を追う。


一人残される太った小男の監察官。

「なんだ、、、、、あれ?」


白衣の男とその少女は、瞬く間にどこかに消えて行った。



パーティは、宴もたけなわ、美しく着飾った貴婦人、そして紳士達がきらびやかな祭典に興じている。

ここは、アメリカ、ワシントンD.C.のホワイトハウスのイーストルーム。


純白の壁に金の装飾、巨大なシャンデリア、壁の肖像画には、難しい顔をしたエイブラハム リンカーンが描かれている。


エアズホームの学生、アリコ マーレイ達を招いたレセプションパーティだ。

アメリカの官僚トップ、国の重鎮達、その夫人とVIP達が楽しげに歓談している。


にぎやかな喧騒を避けて、隣りのグリーンルームに、逃げて来た白マントのハドリアSフィールズだが、眉間に皺を寄せ携帯で話をしている。


隣で影のように、小柄な美人秘書、祭が控えているのだが、

白マントの彼はドレスコードに、引っかからないのかと心配そうだ。


「うん、、、そうか、、、それで、容態は?、、、そうか、、、うむ、、、わかった」

不機嫌そうに携帯をしまう。

「いかがですか?ハドリア様、テレスティア様は?」

単刀直入に人民連の情報局員に負傷させられた博士の事を聞く祭。


「無事だ。野川姉妹に助けられたな。」

彼にしては、珍しく怒りを露わにしている。底冷えするような光を両目に宿していた。

思わず沈黙する祭。


そこに、にぎやかに、最悪なコンビがドカドカと、やって来る。

「おやおや、こちらに居られましたか。」

「やあ、ハディお久しぶりですな!」


まるで双子のような、かっぷくのいい、丸坊主のメガネコンビである。

後頭部に、白い髪の毛がわずかに残ってるのが兄のジャン ダレル国務長官。

大統領に次ぐ行政の実質的なナンバー2だ。


髪の毛がまるで無い方が、弟のウオルシュ ダレル。中央情報局、いわゆるCIAの長官である。

この二人が現在のアメリカの外交を、表裏一体となってコントロールしていると言われている人物だ。


古いアンティークの椅子に腰掛けていた、ハドリアが、ゆっくりと立ち上がる。


日本におけるCIAのイブに対する行動に、この二人がかんでいるのは、まず間違いないだろう。

少しタイミングが違えば博士を傷つけたのはCIAだっただろう。


息を呑んで、成り行きを見守る祭。


「やあ!ジャン!ウオルシュ!会えて嬉しいよ!」

絵に描いたような、友人を迎えるハグを交わすハドリア。


彼らのグリーンの軍服を、これでもかと飾る勲章がジャラジャラと音を鳴らす。

彼らは気付かないが、ハドリアの目はカケラも笑ってはいない。


「ハハハ。ハディ。今季もよろしく頼むよ。」

これは、大統領選の事だ。

「もちろんですよ。国務長官。我々アルカは全面的にリベラルの味方です。」

「それは心強い。君たちのような、革新的なグループは、人類の希望だよ。」

「それは、あなた達、二人でしょう。」

「いや。いや。ハハハハ。」

楽しげにテーブルのワインを取るジャン。


「ところで、例の件よろしく、頼みますよ。長官。」

こちらもにこやかに、ハドリア。

「おお。もちろん。もちろん。第二次量子コンピュータ不可侵条約だね。」

第一次はアダム、第二次はイブに対する世界的取り決めだ。


「各国アルカ、および、その産業複合体は、イブの人権擁護で動いています。」

談笑に、ジワリと猛毒が染みていく。


「次期選挙後も、あなたの大統領がそのままの姿であるのを、見たいものです。」

実に楽しげに、ハドリア。


「お、、、、OK。OK。分かっているとも。」

笑顔がひきつっている国務長官。


「ウオルシュCIA長官も、あなたのエージェントが、早々に日本から引き上げてくれると、嬉しいですね。」

「な、、、、なんの事かね。我々が条約違反などする筈なかろう。」

弟のハゲが苦しげに笑う。


「ハハハハ。冗談ですよ。冗談。」

ほがらかに、笑うハドリア。


「では、そろそろ、主役の彼女に挨拶に行きましょうか。」

「いや、、、確かに。凄いものですな。アリコ君は、、、、ほんと。」

なんとか、持ち直すウオルシュ


「ハハハ。日本にもいるのでしょう。凄い少女が。今度紹介して欲しいものですな。」

追従するジャン国務長官。

笑いながら部屋から出ていく三人。


疑心と猜疑、無味乾燥の談笑が遠ざかっていく。


鋭利で美しい曲線を描くプライベートジェット。ガルフストリームに戻ったハドリアは、忌々しそうにえりを緩めて、広い白いシートに身を投げる。


ダレス空港を静かな加速で、離陸していくジェット。


「お疲れ様です。」

軽いアルコールを用意する祭。

「すまない。」

興奮を収めようと、それを口にするハドリア。

長いまつ毛に紺碧の瞳。油断すると見惚れてしまうほどの、まともな彼は美男子だ。


「ティアの事で、少し感情的になった。いや、おとな気なかったな。」

自嘲して笑う。

「昔の研究仲間の博士の事です。仕方ないかと。」


少し祭が優しいな、と思うハドリア。


通路をはさんだ、隣りのシートに身を沈め、タブレットを操作する祭。


「その後、各国情報局の特殊部隊は日本からの撤退の方向で動いています。」

「ふむ。」

世界中のアルカが圧力をかけているのだ。しばらくは、イブの身は安全だろうと思う。


「うむ、そうだ。」

パン、

と手を打つハドリア。

「最近、いい紅茶の葉が手に入ったんだ。ティアの見舞いに持っていってやろうではないか!ウハハハハハ!」

「あ、あの、、、、あの方、コーヒー党では、、、、?」

「祭くん。」

難しい顔をして、ハドリア

「は、ハイ。」


「そんな事より、もうすぐ7月だよ。我々の全ての、集大成、東アルカの今後を占う大イベント、国際フォーラムが始まるのだ!ウハハハハハ!」


「ハ、ハイ!万全を期します!」

緊張する小柄な美人秘書。


「ウムウム、都内の病院だったな!いや、弱ってるあの女をからかえるのは、実に楽しみだ!」

「ハドリア様!」


夜空にハドリアの笑い声が響いていく。


7月に入る。


ついに、第17回国際アルカフォーラムが始まろうとしていた。


END

また、来週。

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