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能力アフター  作者: 佐藤同じ
35/55

能力アフター04話08

花火大会だー!

経験値祭りだー!

四方を工事現場の仮囲いに囲まれた敷地に、パイプや鉄材がうずたかく、積まれている。

地盤工事の途中なのか、所々に重機に掘り返された穴が見え、他は巨大なボードが敷き詰められている。


皮肉なもので、都市圏でこれほど広々と夕日を眺められるのは、本格的な施工前のこの様な場所くらいかもしれない。


鉄パイプの山の横、空腹なクマのようにウロウロとしている、金髪の女性。

対して、筋肉の塊のような大男は直立不動まま、ピクリともしない。


コンコン、

放置された重機をノックする影。


アッシュブロンドのロングヘアー、陶磁器のような、白い肌、透明などこまでも透き通るな青い瞳、天上の奇跡が具現化したような美貌の少女。


「はじめましてじゃな。テレスティア殿。」


夕日の中、所在なさげに立つ山下イブである。



ズザザ、

工事現場の整地に足を踏み入れる、那智。

「だ〜〜〜!またハズレかあ!」

そこには誰もいないコンクリートやら、鉄パイプが積んである工事場だ。


「マズイわね、、、」

さすがに表情が曇る智由。

コレで何回目だろうか。


意図的にリンのサーチが狂わされていた。

彼女の力が劣るというわけではない。李の術数学は、複雑な占術、遁甲を駆使して方角自体を迷わせる。

索敵精度が高ければ高いほど深みにハマっていくようだ。

「リン〜〜〜〜!」

彼女に泣きつく那智。

「、、、、、、」

相棒は無表情のままだった。


「こら!那智!」

妹を引き離す智由、こうなったら、総当たりのローラー作戦に切り替えようと思う。


「リン、、、、?」

ここで、那智は相棒の異変に気がつく。

彼女の薄い虹彩の瞳は自分を、いや、周辺も、何も見ていなかった。


「リ、リン!しっかりして!!」

結界を張っているヤツの術の影響かもしれない。彼女になにかあったら、、、、、


ス、

とリンの手が、那智をさえぎるように上がる。

大丈夫という意思表示らしい。しかし、一向に彼女の様子は変わらない。


その瞳は何を見ていたのか。


冬木リンは、静かに、静かに、怒っていた。


あの、少年が、ひどく、どうしようもなく、苦しんで、打ちのめされて、悲しんでいた。


心を探ったわけではない。

しかし、


彼女にはそれが、渦巻く濁流のうねりのように、驚くべきデテールの全てを持って理解できてしまった。

それが、イブを奪う敵への増悪に、自分を阻む術式への嫌忌に変換されていく。


彼女は見ていた。


己が、プロビデンスサーチの全能力をもって、秋葉全体に敷かれた李運陣の術式構成、性質の全てを。

開門からの八門。

天英からの九星

天干、地干、八神のすべてを。


術の特質。派生される類似の術式。予測される未知の術の演算。

単なる想像ではない。

彼女はその全てを、現実として見て認識してしまう。


もとより、あの少年を害する存在を許すつもりはない。


「もう、、、大丈夫。那智。」

やっと現実に戻ったような、相棒に安堵する那智。

依然、無表情のままだけど。


「行こう、、、、」

静かなる激流を胸に宿す少女は、高速移動に移る。


ちなみに、紫煙は那智達との合流に失敗したらしい。

今頃どこかで、途方に暮れているだろう。



「OOOOOOMY GOOOOOOODーーーー!!」

夕日の工事場に悲鳴が響く。

「アア!神様!なんて、なんて!可愛いの!!キャアアアアーーーーーーー!!」

「テ、テレスティア殿。」

イブをハグして離さない、金髪の博士。興奮の極みだ。とても今のイブには、付いていけないテンションである。

ライフルはどっかに放り投げてしまっている。


「フガ、」

アダムのグラサンから電影テキストが、ポップされる。

[テ、ティア。落ち着いて。]

気持ちは分かるが、今は安全の確保が第一だ。


「ええ!ええ!わかってる!わかってるわ!!」

やっとイブを解放する博士。

「わかってますとも!大丈夫!安心して!あなたは、私たちと居るのが一番安全なのよ!」

今度は彼女の手を取り、離さない。


「第一こんな国に居ても、能力の無駄!人類の損失よ!考えられないわ!!」

「そうじゃの、、、」

淡く笑うアッシュブロンドの少女。


「フガ、」

[行こう。]

テキストが流れる。


もう少し、なんとかならなかったのかと、無骨な、ロボットを操るアダムを眺めるイブ。

グイグイと彼女を引っ張る博士。

「まずは、食事ね!何か美味しいものでも食べましょう!!」

どうもこの博士、葵たちと合流するのを忘れてるらしい。


やれやれと首を振る、アダム。

しかし彼も警戒をほんの少し緩めてしまっている。


「近くに美味しいスイーツの、、、、」

一瞬の出来事だった。


ボシュッ、


くぐもったサイレンサーの音が、博士を撃ち抜いていた。

「がっっ、、、、」


長い金髪がスローモーションのように、イブの前を流れていく。

「テレスティア殿⁉︎」

「、、、、、、、」

彼女を受け止めるイブが、博士の血に染まる。


「フガーーーーーーー!!」

二人と共に鉄材の山に身を隠すアダム。

M134に左手がトランスフォームをはたす。禍々しい6本のガトリングガンが銃火を結ぶ。


ドガガガ、

耳弄す轟音、圧倒的な殲滅力を誇る火線が、襲撃者たちを襲う。

「フ、フガ?」

しかしそれは、地を抉り、重機を破壊するだけだった。


ヒラヒラと雪のように舞う紙片が、M134の銃火を迷わせていた。物理的にありえない現象だ。

銃煙と埃と呪符が舞う中、その男が姿を現す。


「それは困るな。テレスティア女史。彼女は私たちと来てもらう。」

片目の李運陣だ。

博士を撃ち抜いたP99のサイレンサーを外している。


「えー、君たちは完全に包囲されている。諦めて投降してください。」

姿を隠す気もないようだ。自らの術に圧倒的に自信があるのだろう。


バギン、

斉射しようとするアダムの左手を正確に撃ち抜く。

攻撃はアダムの認識とはまったく別方向から来る。

まるでオカルトだ。

「フガ!」

破壊された、左上腕をパージし、博士のアサルトカービン銃を拾う。

戦況は最悪だ。


「ほらほら、ほら、アダム。早く出てきて治療しないと博士、死んじゃうよ。」

ヘビのように笑う。

とはいえ投降を待つつもりはないらしい。


仲間たちに、攻撃指示を出す。次々にグレネードランチャーが用意される。

正気の沙汰ではない。

これではアダムはともかく、イブは無事では済むまい。

「フ、フガ!」

[マズイ!お前だけでも逃げろ!援護する!]

イブとの間のみの直接会話に切り替えるアダム。

「でも、、、、、!ダメじゃ、テレスティア殿が、、、、!」

泣きそうに首を振るイブ。


ハンカチで押さえる右胸は、出血が止まらない。

弾は右肺を貫通している。彼女を伴う高速移動には、とても耐えられまい。


ヒューヒューと苦しそうな、テレスティアが血を吐きながら、伝える。

「逃げ、、、、なさい、、、、あなた、、、、だけでも、、、、、」


「ダメじゃ、、、、ダメじゃ!テレスティア殿!」

みるみると、血圧は下がり、瞳の焦点が定まらなくなっていく。

「逃げ、、、て、、、、私の、、、、イブ、、、、」


ここに至り、イブは、理解していた。

意識を、イブというパーソナリティを獲得する以前、

彼女をずっと見守っていたのは、テレスティアだった。我が子を慈しむ、まるで母親のように。

地上のこの身が滅んでも、彼女は助けなければならない。


「しかし、いいのですか?」

珍しく、無口なエージェントの一人が、李に尋ねる。

「いいんじゃない。アダム、意外と厄介だし。パーツを、イブの首でも、持ってけば。」


人民連の本音を言えば、イブの存在自体が、恐ろしいのだ。1パーセントのアダムで、地上のすべてが、まかなえるのだ。

他、98パーセントの存在など、人類には、想像も出来ない。意味も目的も。


「大人しく月で眠っていればよかったんだよ。月の姫はね。」


できれば生捕りが可能ならよかったが、まぁいいだろ。

楽に殺せそうだ。人質も無用だったと思う。


「月に帰りなさい。迦具夜比売命かぐやひめのみこと)

邪悪な笑みが広がる。

一斉にグレネードが四方から降り注ぐ。


「テレスティア殿!」

彼女を庇うイブ、その二人をおおうアダム、

「フガ!」

とても、守りきれないと観念する。


グア、グワアアアアッ、


炎の爆裂が、擲弾のすべて焼き尽くす。

「な、、、、に?」

驚愕する李。一瞬のうちにチームの半数も吹き飛ばされている。


「お待たせ!」


フワリとした、ブラウンのセミロング、白を基調とした天宮一高の夏服の少女が、舞う。


次にプラチナショートの少女。

フワフワのロングソバージュの教諭が空から舞い降りて来る。


「な、那智殿!リン殿!智由教諭も!」

涙声のイブ。とても信じられないのだろう。


「殺せ!」

一瞬の躊躇もなく、自らも発砲する。

再び呪符による陣を引き直す李運陣。異常事態だった。

隙をつかれたと言え、半数の味方を無力化されていた。しかし、この時点で彼は気付くべきだったのだ。

彼が相対した、能天気そうな、少女の正体を。


ギャガガ、


炸裂反応する炎の壁が、生き物のように、四方を舞いライフルの射撃を無効化する。


「チ、、、、上位の炎使いですか、、、厄介な、、、、」

味方に次の指示をする李。


「なんだかわかんないけど、悪いヤツね!任せて!!」

炎の陣を四方に展開する那智。


「智由姉!お願い!」

紅蓮に染まる工事現場。その炎は李の呪符を容赦なく灰にしていく。


「了解。」

緑光がまぶしく、智由のブラウンのロングソバージュを染めていく。

同じく光に包まれていく、瀕死のテレスティアマーレイ。


「ち、、、智由殿?」

能力の奇跡を、目の当たりにするイブ。


細胞の一つ一つが、惹起され、人の持つ身体の自然治癒力が、限界を越えてオーバーロードされて行く。

破壊された、肺胞が再生し、粉砕した肋骨が繋がり、より強い強度で構築を開始し、見る間に傷口がフィルムの逆回しのように塞がっていく。


これが野川智由の能力。

Aクラス、創傷治癒再生、回復能力である。

これまで二度、死に損なった白衣の少年が助かったのも、すべてこの力のおかげだ。

まさに、反則級のセーフティネットである。


三人を信じられないように見つめるイブ。

「どうして、、、こんな所に、、、、、危険なんじゃぞ!」

「なんかあったら、相談してよ。」

紅蓮に染まる炎姫が、優しく笑う。


「わらわが行けば、済むことじゃ!あれば迷惑がかかる!わらわは、そういう存在じゃ!」

それを、決して認めない野川那智。


「私ね、イブちゃんのおかげで、しんを死なせずにすんだんだよ。」

優しく、優しく笑う。

「助けるよ。どんな事をしても。それにもう、友達なんだから。」

「那智殿、、、、、、」


「それに、しずくだって怒るよ。勝手にあきらめたら。」

「うむ、、、、」

ポロポロと落涙するアッシュブロンドの少女。


そこに、場違いな大笑いが響く。


「ウハハハハハ!水臭いヤツだ!だからお前はバカだってんだ!!」


やっと口を自由にしてもらった山下しんである。

グルグル巻きにされて、小太りのオッサンに銃を突きつけられている。

破壊された、重機の影からなぜか、偉そうに出てくる。


「な、、、、何やってんの?あんた、、、」

絶句する那智。

まぁ、見ればわかる。人質だろう。


「チェックメイトです。」

呪符の眼帯で右目を覆った李運陣が笑う。

「イブのマスターは、見捨てられないでしょう。さあ、そこの少女を渡しなさい。火使い。」

ゴリゴリとベレッタを押し付けるオッサン

「ほらほら、撃っちゃうあるよー」

変な人民連もどきだが、危険なのには変わりない。


「こえーマジヤバイって!オレ死にたくねーーー助けてーーー那智ーーー!!」

恥も外聞もない見事な命乞いである。


「あんたねぇ、、、、」

ちょっと情けなくなる那智。

「、、、、」

同様にため息するリン

まぁ彼はそういう人間だと、諦めてもいた。


「だがしかーーーし!イブは渡すな!!二人とも助けてみせろ!!」

無茶苦茶を言って、炎のむこうの方で大笑いしている。


「なんで、偉そうなの?」

頭痛がする、那智。


同様に炎の向こうで、しん達の隣で長身の李が笑う。

「ダメですよ。仮に僕らを倒せても、」

ゆるりと、左手を広げる。


「CIAや、カナダのCSCI、UKのSIS、フランスのDGSE、ロシアのSVR、ありとあらゆる組織が周辺を包囲している。」


「ご苦労な話ね。」

つぶやく智由。

事実だろう。李の妨害がなければ、ここに殺到してきてもおかしくない。逃走は、現実的ではないかもしれない。

しかし、我が妹は、絶対に認めないだろう。


「ザルだね。この国は、話にもならない。」

獲物の前で、舌舐めずりする猛毒を持った蛇だ。


「ふーん。」

さして、関心が無さそうな、那智。

小声でリンに確認する。

「リン、私とリンクして。周りのクソヤロー共の位置情報を頂戴。」

「、、、、、」

少し躊躇するリン

「アキバのかなりの範囲になる、、、、、」

意味を充分に理解する、アジア最強を冠する少女。


「知ったこっちゃないわ。」

躊躇なく、笑う。


「逃亡は、無理だよ。早くその生体端末を渡したまえ!なにを庇い立ててるのか、知らないが、生き物とも呼べない、道具だよそれは。」


「、、、、、、」

悲痛に歪むイブ

「、、、、、、、、、!」

那智の瞳にオレンジの光点がともり、ブラウンの髪がサンライトイエローに変貌を開始する。


「人間もどきを、ね。」

糸のような、李の右目が笑う。


「ふっっっざっけんなあああーーーーーーーーーーーーーー!!」


ドン、

周囲を吹き飛ばす、荒れ狂う炎の暴風。


「どいつもこいつも!!雁首揃えて勝手に人ん家入って好き勝手やって、挙句女の子一人さらうってか!!ふっざけンじゃない!!」

天を突く、那智の右手。


「、、、、、、、」

何かを察したようなリン。


向こうの方のグルグル巻きにされてる白衣の少年に、手を合わせてお祈りをする。

どうやら、うまく、よけて。という意思表示らしい。


察した少年は、ああ、このパターンかと、諦める。


「なっっっめんンじゃないわよおおおおーーーーーーーーーーー!!」


グワギャアアアアアアアアアア、


天空をおおう紅蓮の輝き。上空数キロに巨大な火球が現れる。


「な、、、、に?」

コンマ数秒の知覚を有する李運陣にして、想像を絶する、能力の展開速度、及び規模であった。

(まさか、、、、特頂の、、、、)

後悔と共に術式の展開を試みる。いくら威力があろうと、当たらなければ、、、、、


「デトネーーーーーーーション!!クラスターーーーーーーーーー!!」


グワゴッッガアオオオオオオオオオオ、

ギャドドドドドドドドドドドーーーーーー、


メギドの炎が背徳の街、ソドムを焼くように。上空の凄まじい熱エネルギーの塊が分裂、拡散、放出され、次々に秋葉原の街を爆撃、破壊、蹂躙していく。


それは、リンの正確なナビゲーションにより、精密狙撃の精度を持って、各国のエリート情報機関を打ち滅ぼしていく。


超重爆撃の精密斉射である。完膚なきまでに、一人残らず壊滅していくスパイたち。

かえって彼らには不名誉だろうが、一人の死者も出ない、無力化だ。


地響きと共に、周囲一帯に、煙が立ち昇る。

被害を避けたにしろ、建物は瓦解し、道路は陥没し、地は抉られる。

残されるのは、内戦で荒れ果てた市街戦の後だ。


吹き飛ばされる李が、つぶやく

「やはり、、、、これは、、、特頂の姫でしたか、、、、やはり、今日は厄日だった、、、、、、」

彼の不運は、ここが、能力者のひしめくアルカ外であった事。現れた少女を過小評価してしまう。そして、彼は見ていた。

彼の呪術を、完全に無力化している、者の目を。

己が術式のあらゆる八門から、九星から、薄い虹彩の、数え切れない何百もの瞳が覗いていた。

それが、彼の術式を無効化し、全てを終わらせてしまう。


ただ、ただ、わけのわからない恐怖が彼を蝕んでいた。

その、何百もの薄い虹彩の瞳は、彼が意識を失うまで、冷たく、冷ややかに、李をじっと見つめていた。



夕焼けの秋葉原の街の空に、幾重にも煙りが棚引いている。

遠くに、サイレンの音が響き、パトカーや消防、救急車が集結して来る。


「急いで〜〜〜怪我人は〜最寄りの病院に運んでくださ〜〜い〜〜」

おっとりと、間延びした、四課の牧巡査部長の声が聞こえる。

どうやら、智由があらかじめ連絡していたらしい。

管轄が違えど、超能力がらみの事件は、特殊四課が優先される。


救急車の担架に固定される、テレスティア。

「テレスティア殿!」

駆け寄るイブを制する大男のアダム

[大丈夫だ。凄いものだな。治癒の能力者というのは]

フガフガと、うなる。


「後は、病院で安静にすれば直ぐに良くなるわ。」

少し離れて笑う、智由。

ストレッチャーが引き上げられて、救急車に向かうテレスティア。


「よかった、、、、」

寄り添うイブ。彼女の頬に触れるテレスティア。

「イブ、、、、、」


かけがえの無いない大切なものに、ありったけを込めて伝える。

「貴方を、、、連れて帰るつもりだった。」

「うむ、」

「それは変わらないけど、こっちに居たいなら、好きにしたらいいわ。ハドリアのバカにも良く言っといてあげる。」

それは、サヨナラの言葉。


「テレスティア殿、、、、、心が凪いでいた頃から、貴女がずっと接していてくれた事を覚えておる。」

頬の彼女の手を握るイブ。

愛おしく彼女を見つめる博士

「わらわにとっては母親の様なものじゃ。この身ついえる時は必ず貴女のもとへ還ろう。

必ずじゃ、、、、」

「バカ言わないの。幸せになりなさい。会えて、、、、よかった。」

ストレッチャーは、救急車のベッドへ、スライドする。


「い〜そ〜い〜で〜〜。」

せかす牧。

「フガ、」

[それでは、我々は?]

首を傾げる大男。

「兄妹じゃな。」

笑うイブ。

[では、また会おう。妹よ。]

フガフガと、救急車を軋ませて、テレスティアの付き添いに乗り込むアダム。

サイレンを響かせ発車して行く。


「派手に〜やったね〜〜那智〜〜」

黒髪クリンクリンの外ハネの牧が、工事現場、周囲の惨状を眺めて笑う。

「フン!」

我関せずと、そっぽを向く那智。


「迷惑かけるねー牧。」

智由と彼女は、学生時代の友人らしい。

「智由〜久しぶり〜〜」

再会を喜ぶ牧。


どうもこの姉さんが来ると、話のペースがのんびりして困るなと思いながら遠巻きにしている白衣の少年。ちなみに彼は軽症だ。あの猛攻のなか、ちゃっかり退避できたらしい。


「世界の秘密情報機関、大集合みたいじゃない。さすがに他国でこれだけ大立ち回りやれば、大問題じゃない?」

不機嫌に智由が聞く。まあ、当然だ。


「ど〜かしらね〜〜早速、上からは、もみ消しの圧力が〜かかってるよ〜〜」

事もなげにのたまう巡査部長。

「および腰だからね〜〜みんな〜〜。」


「はぁ、、、、やんなるね。ほんと、、、、」

ため息する高校保険医。


滅入るのはこっちだ。

「どうするイブ。まだアルカに居たいか?」

軽く聞く少年だが、これは、重要な意味をもっていた。


「もちろんじゃ!主どの!那智殿もしずく殿も紫煙殿もリン殿も、天地殿も、大切な友達がたくさんできたのじゃ。わらわはとんでもない果報者じゃ!」

幸せそうに笑う少女。

「そうか、、、そんじゃもうちょっとこっちに居てみっか!」

「うむ!」

無邪気に笑う少女を眺める白衣の少年。


この判断が正しいのか誤りかは、まだわからない。


その夜、

夕空が闇に落ちるアルカにて、誰にも知られない、記録にも残らない、凄惨な死闘が始まろうとしていた。


また、来週。

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